- 商標登録は、商品やサービスに付けるネーミングやマーク等を保護します。
- 商標登録表示の解説と、身近に見つけた商標登録表示の例をご紹介します。
- 関連情報:特許表示とその例
商標登録表示とは
法律上、商標登録表示は、「登録商標」の文字と「登録番号」の表示により行うことが規定されています。つまり、「登録商標第○○○○○号」と表示して行います。
しかしながら、実際上、デザイン的観点から、「」(Registered Trademark、マルR、Rを丸で囲んだもの)の記号を、その登録商標の右上または右下などに小さく記載して行うことが多いようです。
具体的には、後述の、商標登録表示の例をご覧ください。
登録商標使用時の留意点
登録商標の普通名称化(登録商標であるのに普通名称や一般名称と認識されること)、および不使用取消(所定期間登録商標の使用がないことを理由とした登録取消)を防止するために、次の点にも留意します。
(1)「」の表示に加えてまたは代えて、その名前が登録商標である旨を脚注などで明らかにすること。
(2)特にカタログなど、文章中に記載する場合には、他の文字と区別し得る態様で記載すること。たとえば、括弧「」や引用符“”でくくったり、やや大きな太文字としたり、書体を変えたりすること。
(3)その商標が普通名称でないことを明らかにするために、その商標が付される商品の一般名称・普通名称を示すこと。たとえば、「マジックテープ」は商標であるから、その一般名称が「面ファスナー」である旨を明らかにして普通名称化を防止すること。
(4)他の語句と連結させて使用する場合には、それが一連一体の一つの商標であると認識されることがないようにすること。逆に、登録商標の一部のみを切り出して使うことがないようにすること。
(5)上記(4)に関連して、可能な限り登録商標そのものを使用すること。登録商標に装飾や変更を加えることで、登録商標としては不使用と認められ、取り消されることがないようにすること。なお、不使用取消審判を規定する商標法第50条における「登録商標」(登録商標の使用の範囲)には、登録商標と社会通念上同一と認められる商標が含まれ、たとえば「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」、「外観において同視される図形からなる商標」が含まれます。
その他、虚偽表示にならないように注意します。つまり、登録商標でない商標に、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付す行為などは禁止されます。たとえば、出願しただけで商標登録されていないのに「」を付すことは虚偽表示です。また、以前に権利を持っていたが、現在は権利が消滅してしまっている場合に、引き続いて登録表示を行うことも虚偽表示です。
虚偽表示に関連して、次の点にも留意します。すなわち、商品を輸出または輸入する場合には、輸出先(外国)または輸入先(日本)で、実際の登録がないのであれば、登録されていると誤認されることがないように配慮が必要です。
さらに、商標登録表示に関して留意すべき点は、たとえ登録商標であっても、指定商品又は指定役務以外の商品又は役務に使用するときは登録表示をしてはならない、という点です。商標権者は、「指定商品又は指定役務」について「登録商標」の使用をする権利を専有するに過ぎず、登録商標と非類似の範囲は勿論、類似の範囲でさえ排他権しかなく、事実上の使用が許される場合があるに過ぎないからです(商標法第25条、第37条第1号)。
なお、商標に「」ではなく「TM」と付されることがありますが、この「TM」は「Trade Mark」の略称です。「
」と「TM」の相違は、通常、「TM」が未登録商標に付されるのに対し、「
」が上述したように登録商標に付される点にあります。従って、商標登録前(出願後であっても登録前を含む)は「TM」を付しておき、登録後に「
」とすることが行われています。結局、「TM」は、それが付された名前が商標として使用されていることをアピールすることにあると思われます。
商品の販売等に用いる商品商標ではなく、役務(えきむ、サービスのこと)の提供等に用いる役務商標には、「SM」(Service Mark)が用いられるようです。
さらに詳しく知りたい方は、後述の、商標登録表示の条文、虚偽表示の条文をご覧ください。
また、特許表示については、特許表示とその例をご覧ください。
商標登録表示の例
以下では、身近に見つけた商標登録表示の例をご紹介します。
但し、法律上の商標登録表示ではないことも多いです。
法律上の商標登録表示は、上述した商標登録表示の解説をご確認ください。
ティッシュ箱への商標登録表示(2012.11.14)
- 商標「エルモア」の右下に「
」の表示
- 「
Registered Trademark―登録商標」の注記
- 参考:商標登録第1493631号
絆創膏の箱への商標登録表示(2012.11.14)
- 商標「BAND-AID」の右上に「
」の表示
- 商標「バンドエイド」の下に「登録商標」の表示
- 『「バンドエイド」は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの登録商標です。』の注記
- 商標「BAND-AID」の下に、「BRAND ADHESIVE BANDAGES」(ブランド絆創膏・粘着包帯)として一般名称・普通名称を表示
- 商標「バンドエイド」の上に、「救急絆創膏」として一般名称・普通名称を表示
- 「
J&JKK2008」の著作権表示
- 参考:商標登録第428856号、第1537538号、第5102583号
菓子箱への商標登録表示(2012.11.20)
- 「ともリンク【QRコード
】について」、「●本サービスは【iモード・Yahoo!ケータイ・EZweb】にのみ対応です。●掲載のサービス名は各社の商標、登録商標です。」
- 自社製品に他社の未登録商標または登録商標を表示
干し柿の包装への商標登録表示(2013.01.08)
- 商標「市田柿」の表示
- 商標「市田柿」、「地域団体商標登録」、「第5002123号」を記載したシールを貼付
- 参考:商標登録第5002123号(地域団体商標)
菓子外袋への商標登録表示(2012.12.09)
- 商標「Nestle」の右上に「
」の表示
- 商標「CRUNCH」の右上に「TM」の表示
- 裏面下部に「
登録商標<商標権者>SOCIETE DES PRODUITS NESTLE S.A.」の表示
クッションのタグへの商標登録表示(2019.06.29)
- 人型イラストの右下に「
」の表示
- 商標「MOGU」の右下に「
」の表示
- 商標「パウダービーズ」の右下に「
」の表示
- 「MOGU
およびパウダービーズ
は(株)MOGUの登録商標です。」との表記
- 参考:商標登録第6031551号、第4637976号、第4721005号
ゲームセンターの店舗入口看板への商標登録表示(2019.11.02)
- 商標「SEGA WORLD」の表示
- 商標「SEGA」の右上に「
」の表示
- 参考:商標登録第3036008号、第4211870号、第3036015号、第4443104号
雑誌での靴の広告への商標登録表示(2019.11.03)
- 「面ファスナー仕様のストラップで脱ぎ履きは楽々。」の表示
- 『「面ファスナー」とは、マジックテープ
やベルクロ
テープなどのように2つのテープの面同士で留めるものです。』の注記
- 商標「マジックテープ」の右上に「
」の表示、商標「ベルクロ」の右上に「
」の表示
- 製品の使用部品について、一般名称・普通名称と、それを説明するための他社の登録商標・周知著名商標を表示
- 参考:商標登録第1501016号、第4270217号、第5587084号
被服(セーター・ジャケット)のタグへの商標登録表示(2019.11.17)
- 商標「LeVI’S」(リーバイス)に「
」の表示
- 「
」の表示を一部切り欠いたり、半割に見えるようにデザイン
- 参考:商標登録第551494号、第685090号、第1222156号、第2580058号、第6006902号
折込広告へのフリーダイヤルの商標登録表示(2019.11.22)
- 「フリーダイヤル」ロゴマークに「
」の表示
- 商標権としては、ロゴ単独の他、ロゴと0120とのセットも存在
- 参考:商標登録第3143482号、第3110548号
- フリーダイヤルロゴマークご利用マニュアル(https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/business/services/voice-video/freedial-navidial/freedial/pdf/logo_manual.pdf)
商標登録表示の条文
商標法第73条(商標登録表示)
商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、経済産業省令で定めるところにより、指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物に登録商標を付するときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示(以下「商標登録表示」という。)を付するように努めなければならない。
商標法施行規則 第17条(商標登録表示)
商標法第73条の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。
虚偽表示の条文
商標法 第74条(虚偽表示の禁止)
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
二 指定商品又は指定役務以外の商品又は役務について登録商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
三 商品若しくはその商品の包装に登録商標以外の商標を付したもの、指定商品以外の商品若しくはその商品の包装に商品に係る登録商標を付したもの又は商品若しくはその商品の包装に役務に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したものを譲渡又は引渡しのために所持する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標以外の商標を付したもの、指定役務以外の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に役務に係る登録商標を付したもの又は役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に商品に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したもの(次号において「役務に係る虚偽商標登録表示物」という。)を、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
五 役務に係る虚偽商標登録表示物を、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
(作成2001.09.02、最終更新2020.04.10)
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