特許庁減免措置の効果(どの程度お得かの検証)

中小企業・ベンチャー企業なら特許料金が格安に、で紹介したように、特許庁では、中小企業、中小ベンチャー企業、個人事業主などを対象に、特許料金の減免措置(軽減制度)を実施しています。

所定手続(出願審査請求料、特許料)の特許庁印紙代が「0(免除)」「 1/3に軽減」または「1/2に軽減」などになります。

減免措置の詳細は、中小企業・ベンチャー企業に対する特許庁減免措置をご確認いただくとして、ここでは、実際、どの程度お得になるのかについて確認してみます。

 


費用の基礎知識

まず前提として、「出願~審査~登録~権利消滅」の流れを確認しておきます。
概ね次のような流れになります。

特許出願出願審査請求実体審査(→拒絶理由通知中間処理)→特許査定設定登録料納付(第1~3年分の特許料納付)設定登録(特許権発生)→年金納付(第4年分以降の特許料納付)→特許料不納か存続期間満了(出願日から20年)により特許権消滅

この内、特許庁への支払いが必要な手続は、「特許出願」「出願審査請求」「特許料納付(設定登録料納付+第4年分以降の特許料納付)」です。特許出願時の印紙代を「出願料」、出願審査請求時の印紙代を「出願審査請求料」、特許権付与や維持の対価としての印紙代を「特許料」といいます。なお、念のためですが、手続を代理人(特許事務所の弁理士)に依頼すると、出願時、出願審査請求時、中間処理時、設定登録料納付時、年金納付時などに、それぞれ「代理人費用」が別途かかります。代理人費用は、現在自由化されており、各事務所で異なります。

特許手続の費用を考える際に、もう一つの前提知識として「請求項」の概念があります。
特許出願から登録までの流れに記載のとおり、特許出願は、願書に、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付して、特許庁長官に提出します。この内、「特許請求の範囲」という書類には、「請求項」と呼ばれる項に区分して、特許を受けようとする発明を記載します。たとえば、次のような感じです。

*特許請求の範囲の具体例(鉛筆)
【請求項1】 軸材の中心線に沿って芯が設けられた ことを特徴とする鉛筆。
【請求項2】 前記軸材が断面六角形である ことを特徴とする請求項1に記載の鉛筆。
【請求項3】 前記軸材の一端部に消しゴムが設けられた ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛筆。

【特許請求の範囲】の【請求項】の数によって、特許料金(特許庁印紙代)が異なる場合があります。
出願料は、請求項数によらずに一律料金ですが、出願審査請求料および特許料は、請求項数が多くなるほど、高額になります。
請求項が多くなると審査の負担が増すので、出願審査請求料は、高くなります。また、請求項ごとに特許権があるとみなされるので、独占権付与の対価としての特許料は、請求項数が多いほど高くなります。

さて、以上を前提に、特許料金の減免措置は、「出願審査請求料」と「所定期間の特許料」の免除または軽減を図る制度です。実際、通常料金(正規料金)がどの程度で、減免後の料金がどの程度になるか、確認してみます。

なお、特許庁発表の最新統計によれば、特許出願時における平均請求項数は「8.6」とのことです(2017年,PCT経由以外の出願)。そこで、ここでは、請求項数が「8」の場合について、みていきます。もちろん、発明の内容などにより、実際の請求項数ひいては料金は、多少上下します。また、特許料の減免は、「第1年分から第10年分」だけが対象ですから、この期間の特許料だけを比較してみます。

以下、2019年6月1日現在の情報です。

 


正規料金(減免なし)の場合

  • 出願料=¥14,000-
  • 出願審査請求料=¥170,000-
  • 第1~10年分の特許料=¥226,000-
  • トータルの正規料金(特許庁印紙代)は、¥410,000-です。

 

免除(但し第4~10年分の特許料は1/2に軽減)の場合

  • 出願料=¥14,000-
  • 出願審査請求料=¥0-(正規料金から¥170,000-お得に!)
  • 第1~3年分の特許料=¥0-(正規料金から¥11,100-お得に!)
  • 第4~10年分の特許料=¥107,450-(正規料金から¥107,450-お得に!)
  • トータルとして、正規料金から¥288,550-お得に!
  • 「市町村民税非課税者」などが対象です。

 

1/3に軽減の場合

  • 出願料=¥14,000-
  • 出願審査請求料=¥56,660-(正規料金から¥113,340-お得に!)
  • 第1~10年分の特許料=¥75,290-(正規料金から¥150,710-お得に!)
  • トータルとして、正規料金から¥264,050-お得に!
  • 「設立後10年未満で資本金3億円以下の法人」「従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下)の法人」「事業開始後10年未満の個人事業主」「従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下)の個人事業主」などが対象です。

 

1/2に軽減の場合

  • 出願料=¥14,000-
  • 出願審査請求料=¥85,000-(正規料金から¥85,000-お得に!)
  • 第1~10年分の特許料=¥113,000-(正規料金から¥113,000-お得に!)
  • トータルとして、正規料金から¥198,000-お得に!
  • 「従業員300人以下か、資本金3億円以下の製造業の企業」「従業員300人以下か、資本金3億円以下のソフトウェア業又は情報処理サービス業の企業」「従業員300人以下の製造業の個人事業主」「従業員300人以下のソフトウェア業又は情報処理サービス業の個人事業主」「所得税非課税者」などが対象です。

 


このように、特許庁による減免措置は、かなりお得です!

中小企業・ベンチャー企業、個人事業主の発展ため、特許庁がせっかく用意した制度ですから、ぜひ有効活用いただきたいと思います。

小山特許事務所(大阪)では、特許庁減免措置を積極的に活用してまいります。

 


(作成2019.06.02、最終更新2019.11.19)
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