箇条書きでの句点「。」の有無

箇条書きで、句点「。」は必要か?

箇条書きする際、各箇条(項目)の末尾に句点「。」を付けるか否か、迷いませんか?

法律条文から考えてみたいと思います。

なお、前提として、『箇条書きの部分は、文体は「だ・である」調とか、名詞だけで叙述を省略したとかの簡略な表現とする』とのことです(梅棹忠夫・金田一春彦・阪倉篤義・日野原重明 監修『日本語大辞典』(講談社、1989年)「実用文書の書き方」の「稟議書」)。

さて、箇条書きの末尾の句点「。」ですが、法律条文を見る限り、ルールは、次のとおりと考えます。

  • 各箇条が「文章」になっているか、「こと」「とき」で終える場合、句点「。」を付ける。
  • 各箇条が「名詞」で終える場合、句点「。」を付けない。

 


法律条文の例

具体的に、条文を確認してみます。
特許法から、分かりやすそうな条文をピックアップしてみました。

第3条第1項各号では、各箇条が文章になっており、句点が付いています。

第29条第1項各号では、各箇条が名詞止めになっており、句点がありません。

第36条では、句点のあるパターンと、ないパターンとの両者が出現します。
第1項各号や第3項各号では、各箇条が名詞止めになっており、句点がありません。
第4項各号や第6項各号では、各箇条が「こと」で終わり、句点が付いています。

第38条の2第1項各号では、各箇条が「とき」で終わり、句点が付いています。

 

特許法

第3条第1項 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。
 一 期間の初日は、算入しないただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない
 二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了するただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する

 

第29条第1項 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
 一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明 
 二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明 
 三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明 

 

第36条 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 
 二 発明者の氏名及び住所又は居所 

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 発明の名称 
 二 図面の簡単な説明 
 三 発明の詳細な説明 

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
 二 その発明に関連する文献公知発明(…)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

5 第2項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。

6 第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
 二 特許を受けようとする発明が明確であること。
 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

7 第2項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

 

第38条の2第1項 特許庁長官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特許出願に係る願書を提出した日を特許出願の日として認定しなければならない。
 一 特許を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
 二 特許出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
 三 明細書(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面。以下この条において同じ。)が添付されていないとき(次条第1項に規定する方法により特許出願をするときを除く。)

 


関連情報

 


参考文献

(1)梅棹忠夫・金田一春彦・阪倉篤義・日野原重明 監修『日本語大辞典』(講談社、1989年)
   「実用文書の書き方」>「稟議書」
(2)『記者ハンドブック 第11版』(共同通信社、2008年)
   「書き方の基本」>「句読点」
(3)小澤達郎・前田敏宣 著『新版 文例で分かる公用文作成ハンドブック』(学陽書房、2018年)
   「句読点の使い方」>「句点の使い方」

 


(作成2019.06.11、最終更新2021.09.08)
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