令和元年意匠法改正(関連意匠制度の見直し)

はじめに

  • 令和2年4月1日施行の意匠法改正情報です。
  • 本頁末尾の掲載日時点の弊所把握情報です。最新かつ正確な情報は、特許庁ホームページでご確認ください。
  • 特許庁資料『「関連意匠 」 に 係る意匠審査基準の改訂に ついて (案)』を参考にしました。
  • 詳細版(最新版)はこちら→意匠法第10条の条文解読(関連意匠制度)

 


関連意匠制度の見直し

  • 本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報の発行の日前に出願された場合のみ登録が認められている関連意匠について、本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前に出願されれば、意匠登録を受けることができるものとする。
  • 関連意匠にのみ類似する意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠について、意匠登録を受けることができるものとする。

 


条文解読

第10条

意匠登録出願人は、
本意匠に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、
当該関連意匠の意匠登録出願の日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、
当該本意匠の意匠登録出願の日から十年を経過する日前である場合に限り、
第9条第1項又は第2項(先願)の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。

ただし、当該関連意匠の意匠権の設定の登録の際に、
その本意匠の意匠権が第44条第4項(登録料不納による消滅)の規定により消滅しているとき、
無効にすべき旨の審決が確定しているとき、
又は放棄されているときは、この限りでない。

  • 本意匠とは、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠をいう。
  • 意匠登録出願の日とは、優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日をいう。
  • 関連意匠を出願できる期間を、本意匠(後述の基礎意匠)の出願の日から10年を経過する日前までとする。
  • ただし、本意匠(基礎意匠)の出願から10年を経過する前であっても、消滅等した登録意匠を本意匠とする関連意匠は、登録しない。

 

2 第3条第1項第一号(公知)又は第二号(刊行物公知・インターネット公知)に該当するに至つた自己の意匠のうち
前項の規定(関連意匠)により意匠登録を受けようとする意匠の本意匠と同一又は類似のものは、
当該意匠登録を受けようとする意匠についての同条第1項(新規性)及び第2項(創作非容易性)の規定の適用については、
同条第1項第一号(公知)又は第二号(刊行物公知・インターネット公知)に該当するに至らなかつたものとみなす。

  • 関連意匠として登録される場合、自己の意匠のうち、本意匠(基礎意匠)と同一又は類似する公知意匠は、新規性及び創作非容易性の判断の基礎となる資料から除外する。

 

3 第1項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第3条の2(先願意匠の一部と同一類似の後願意匠排除)ただし書(出願人同一で意匠公報(秘密意匠解除公報を除く)発行日前の出願除外)の規定の適用については、
同条ただし書中「同条第4項(秘密意匠解除公報)の規定により同条第3項第四号(願書及び添付図面等の内容)に掲げる事項が掲載されたものを除く。)」とあるのは、
「当該先の意匠登録出願について第14条第1項(秘密意匠)の規定により秘密にすることを請求したときは、第20条第4項(秘密意匠解除公報)の規定により同条第3項第四号(願書及び添付図面等の内容)に掲げる事項が掲載されたものに限る。)」とする。

  • 関連意匠として登録される場合に限り、秘密意匠解除公報発行まで第3条の2(先願意匠の一部と同一類似の後願意匠排除)の規定を適用しない。 

 

4 第1項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、
当該関連意匠を本意匠とみなして、同項の規定により意匠登録を受けることができるものとする。
当該意匠登録を受けることができるものとされた関連意匠にのみ類似する意匠
及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠についても、同様とする。

  • 本意匠には類似しないが先の関連意匠には類似する意匠については、先の関連意匠を本意匠とみなして、関連意匠として登録を受けることができる。
  • このようにして登録された関連意匠にのみ類似する意匠、当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠についても、同様である。

 

5 前項の場合における第1項の規定の適用については、同項中「当該本意匠」とあるのは、「当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠」とする。

  • 関連意匠にのみ類似する意匠及びこれに連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠については、出願日が、基礎意匠(関連意匠に係る最初に選択した一の意匠(最初に選択した本意匠))の出願日から10年を経過する日前である場合に限り、意匠登録を受けることができる。

 

6 本意匠の意匠権について専用実施権が設定されているときは、その本意匠に係る関連意匠については、第1項及び第4項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

  • 本意匠に専用実施権が設定されている場合、その本意匠に係る関連意匠については、意匠登録を受けることができない。
  • 関連意匠を本意匠とみなして関連意匠の登録をする場合においても、本意匠に専用実施権が設定されている場合は、意匠登録を受けることができない。

 

7 関連意匠の意匠登録出願があつた場合において、当該意匠登録出願が基礎意匠に係る関連意匠(当該基礎意匠の関連意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠をいう。以下同じ。)にそれぞれ該当する二以上の意匠の意匠登録出願であつたときは、これらの意匠については、第9条第1項又は第2項(先願)の規定は、適用しない。

  • 基礎意匠とは、関連意匠に係る最初に選択した一の意匠をいう。
  • 関連意匠にのみ類似する関連意匠を登録可能とすることに伴い、最初に選択した本意匠と、本意匠とみなされた関連意匠とを区別するために、最初に選択した本意匠を、「基礎意匠」と定めた。
  • 基礎意匠(最初に選択した本意匠)の関連意匠、及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠については、先願の規定は適用しない。

 

8 前項に規定する場合において、第3条第1項第一号(公知)又は第二号(刊行物公知・インターネット公知)に該当するに至つた自己の意匠のうち当該基礎意匠に係る関連意匠(当該関連意匠の意匠登録出願が放棄、取下げ、却下されたとき、若しくは拒絶査定審決が確定したとき、又は当該関連意匠の意匠権が登録料不納により消滅したとき、無効審決が確定したとき、若しくは放棄されたときを除く。)と同一又は類似のものは、第1項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第3条第1項(新規性)及び第2項(創作非容易性)の規定の適用については、同条第1項第一号(公知)又は第二号(刊行物公知・インターネット公知)に該当するに至らなかつたものとみなす。

  • 関連意匠として登録される場合、自己の意匠のうち、基礎意匠に係る関連意匠と同一又は類似する公知意匠は、新規性及び創作非容易性の判断の基礎となる資料から除外する。
  • なお、基礎意匠に係る関連意匠とは、当該基礎意匠の関連意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠をいう(第7項)。

 


関連情報

 


(作成2019.11.24、最終更新2019.12.06)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2019 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.