商標期間の計算(商標権存続期間・更新登録申請期間・後期分割登録料納付期限)

商標期間の計算の方法・仕方

 


目次

 


特許法第3条

特許法第3条の詳しい解説は、期間の計算(特許法第3条)特許法第3条の条文解読をご覧ください。

(期間の計算)
第3条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

  一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

  二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条第1項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

 


商標期間の計算例A(商標権の存続期間)

商標法第19条第1項には、次のとおり規定されています。

「商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。」

商標期間の計算例A(商標権の存続期間):設定登録日から10年

設定登録日(2021年3月4日)から10年

  • 上図のとおり、2021年3月4日に設定登録された商標権の存続期間を計算してみます。商標権の存続期間は、商標権の設定登録日から10年です。
  • 期間の初日(2021年3月4日)は算入しませんから、翌日(2021年3月5日)が起算日となります。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了します。すなわち、起算日2021年3月5日の10年後の応答日は2031年3月5日となり、その前日である2031年3月4日(火曜)が満了日となります。
  • なお、商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができます。更新登録の申請をいつできるのかについては、次の「商標期間の計算例B」で計算してみます。

 


商標期間の計算例B(商標権の存続期間の更新登録申請期間)

商標法第19条には、次のとおり規定されています。

「第19条 商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。
 2 商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
 3 商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。」

そして、存続期間の更新登録の申請期間について、商標法第20条第2項には、次のとおり規定されています。

「更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。」

商標期間の計算例B(商標権の存続期間の更新登録申請期間):存続期間満了前6月から満了日までの間

商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間(存続期間満了日:2031年3月4日)

  • 上図のとおり、2031年3月4日に存続期間が満了する商標権について、商標権の存続期間の更新登録の申請期間を計算してみます。
  • 期間の『逆算』が必要です。
    特許法第3条第1項において、「期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。…月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の【前日】に満了する。…」とあります。
    期間を『逆算』する場合、次のようになります。「期間の初日は、算入しない。ただし、その初日が丸1日あるときは、この限りでない。…月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の【翌日】に満了する。」
  • 存続期間満了日の2031年3月4日は、丸1日ありますから、初日を算入して、この日が起算日となります。期間を逆算する場合において、月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、前述のとおり、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の【翌日】に満了します。すなわち、起算日2031年3月4日の6月前の応答日は2030年9月4日となり、その【翌日】である2030年9月5日(木曜)が「商標権の存続期間の満了前6月」に相当する日となります。簡単にいえば、存続期間満了日の「月」と「日」について、月は「-6」、日は「+1」した日付となります。
  • そのため、商標権の存続期間の更新登録申請期間は、「2030年9月5日から2031年3月4日まで」ということになります。
  • なお、これは、2030年9月5日から6ヶ月ということになりますから、念のため確認してみます。2030年9月5日は、丸1日ありますから、初日を算入して、この日が起算日となります。この起算日から6ヶ月後の応当日は2031年3月5日となり、その前日である2031年3月4日が期限(期間末日:存続期間満了日)となります。
  • ご参考:特許庁「商標権の更新手続期間の注意」(pdfファイル)

 


商標期間の計算例C(商標登録料を分割納付した場合の後期分の納付期限)

商標権の設定登録を受けるために、登録料として10年分を一括払いしますが、希望により5年ごとの分割払いも可能です。この場合、前期分(前半5年分)を納付することで、商標権の設定登録がなされ、所定期限までに後期分(後半5年分)を納付しなければなりません。

商標法第41条の2第1項には、次のとおり規定されています。

「商標権の設定の登録を受ける者は、…登録料を分割して納付することができる。この場合においては、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に、一件ごとに、…円に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前5年までに、一件ごとに、…円に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。」

商標期間の計算例C(商標登録料を分割納付した場合の後期分の納付期限):存続期間満了前5年まで

商標権の存続期間の満了前5年まで(存続期間満了日:2031年3月4日)

  • 後期分の納付期限は、前記「商標期間の計算例B」と同様に、存続期間満了日から期間を『逆算』して求めることができます。
  • 「商標期間の計算例B」では、「商標権の存続期間の満了前6月から」を逆算により求めましたが、「商標期間の計算例C」では、「商標権の存続期間の満了前5年まで」を求めることになります。「商標権の存続期間の満了前6月から」と同様にして、まずは「商標権の存続期間の満了前6年から」を求め、その期間の前まで、ということになります。
  • 存続期間満了日が2031年3月4日である場合、分納後期の納付期限は、2026年3月4日となります。
  • 要は、前期が終了する前、つまり第5年目が終了(第6年目が開始)する前に、後期分を納付しなければなりません。

 


(作成2021.07.25、最終更新2021.07.31)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2021 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.