特許権の存続期間の延長登録の例

医薬品等の特許権の存続期間の延長

特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了しますが、所定の場合、延長することができます。たとえば、医薬品等の分野では、特許発明の実施の前提として、他の法律の規定による許可等の処分が要求される場合があり、特許発明の実施をすることができないことがあるので、その場合には、5年を限度として、延長登録の出願により延長することができます。

ここでは、安全性の確保等のための処分に係る延長の例をみてみます。対象となる処分は、特許法施行令の第2条に規定されており、現状、薬機法の承認と、農薬取締法の登録となっています。

なお、薬機法(やっきほう)とは、「医薬品医療機器等法」とも呼ばれ、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。旧「薬事法(やくじほう)」です。薬機法には、次の規定があります。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)
(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)

第14条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
2~ 省略

 


延長登録要件としての「政令で定める処分の内容」

特許権の存続期間の延長登録を受けるには、第67条第4項の「政令で定める処分の内容」を明らかにする必要があります。この「政令で定める処分の内容」には、次の事項を記載します(特許庁審査基準)。

  • 延長登録の理由となる処分(たとえば薬機法に規定する医薬品の承認)
  • 処分を特定する番号(たとえば承認番号)
  • 処分の対象となった物(たとえば医薬品の場合は、承認書に記載された名称(販売名等)及び有効成分)
  • その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあってはその用途(たとえば医薬品の場合は、承認書に記載された効能・効果)

 


延長登録の例1

特許権の存続期間の延長登録の例1

 


延長登録の例2

特許権の存続期間の延長登録の例2

 


関連情報

 


(作成2022.02.04、最終更新2022.02.05)
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