意匠の類否判断事例3(拒絶査定不服審判:包装袋)

意匠の類否判断手法(基本的構成態様と具体的態様の認定による形態の類似/非類似)を事例で確認していきます。

今回は、基本的構成態様が相違する場合です。

他の事例は、意匠の類否判断事例をご覧ください。

 


特許庁(拒絶査定不服審判):不服2012-3303

本願意匠は、引用意匠に類似しない。

  本願意匠 引用意匠
包装袋 包装用袋
本願意匠:包装袋 引用意匠:包装用袋
両意匠の【共通点】  全体形状を略縦長長方形で左右対称形の袋体とし、全体の上から3分の1ないし4分の1を上端に向かって漸次縮幅させ、その下側は縦長長方形状としたものであって、
 具体的には、上部において、上に向かうにつれて袋の幅が狭くなるようにテーパ状に形成した肩部があり、
 その肩部は大きな曲線でやや凸状に形成しており、
 そして、肩部上端中央部に注ぎ口と成る未シール部分があって、その周りには、開封する際につまむタブを設けてあって、当該タブを略横長長方形とした。

基本的構成態様
【相違点】

二つ折りしたフィルムの折り部(輪)を下縁として左右両側をシールして袋にした、いわゆる二方袋を基礎としたものである。 左右両側をフィルムの折り部(輪)とし下縁をシールして袋にした、いわゆる合掌袋(背張り)またはチューブを基礎としたものである。
二方袋 合掌袋(背張り)

具体的構成態様
【相違点】

(A)肩部の勾配について 横長さ:縦長さが、約5:6の縦長である。 約7:5の横長である。
(B)注ぎ口の幅について (未シール部分の)全体幅の約7分の3であって広口である。 約9分の1であって細口である。
(C)タブの形状について タブ上辺が中央で山折れになっていて、左向き縦長台形と右向き縦長台形を下底でつないだような形状で、その縦横比は約2:9である。 上向き台形状で、その縦横比は(下底の長さで)約1:2である。

 

(1)意匠に係る物品について

「包装袋」と「包装用袋」であって、共通する。

 

(2)両意匠の形態について

共通点は両意匠の態様、とりわけ上部における態様を概括したに過ぎないものであるからこの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。

両意匠は、基本的構成態様に係る袋体の構成自体が異なり、その点は、以下の具体的構成態様に係る相違点と相まって類否判断に大きな影響を与える。

具体的構成態様に係る相違点である(A)肩部の勾配、及び(B)注ぎ口の幅は、これら包装袋に収められる内容物(商品)の粘度及び流動性によって定められるものであるから、何を販売するために用いる袋なのかによって、求められる肩部の勾配及び注ぎ口の幅が異なってくることから、需要者に最も注目される部分であって、この部分の相違は、類否判断に大きな影響を与える。

また、袋の開封時には、使用者(エンド・ユーザー、消費者)が、見て、手指で触れて開封するものであることから、着目し、また使用感を左右するものであるから、(C)タブの形状は、需要者にとって注目される部分であり、その形状と大きさの相違は類否判断に影響を与えると認められる。

総合的に判断すると、相違点全体は、共通点が生じさせている共通感をしのいで、見る者に両意匠が別異であるとの印象を与えており、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

 

基本的構成態様に差異があれば、原則として非類似となる。
詳しくは、意匠の類否判断手法(基本的構成態様と具体的態様の認定による形態の類似/非類似)をご覧ください。

 


関連情報

 


(作成2022.10.13、最終更新2022.10.13)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2022 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.