意匠の類否:物品の同一・類似・非類似

意匠の類否(類似/非類似)でご紹介のとおり、意匠の類否判断では、「形態」の類否だけでなく、「意匠に係る物品」の類否も問題となります。

特許庁の『意匠審査基準』には、『意匠は、物品等と形状等が一体不可分のものであるから、対比する両意匠の意匠に係る物品等が同一又は類似でなければ意匠の類似は生じない』とされます。従って、対比する両意匠が類似するには、『出願された意匠と公知意匠の意匠に係る物品等の用途及び機能が同一又は類似であること』が要件となります。

すなわち、仮に形態が同じでも物品が異なれば意匠は異なることになります。たとえば、亀の形状を有する置物と石鹸は、別個の意匠を構成します。

物品の類否に関するいくつかの事例を、特許庁審決から確認してみます。いずれも、互いに非類似の意匠とされました。

意匠の類否に関する、その他の各種事例は、意匠の類否判断事例をご覧ください。

 


特許庁(拒絶査定不服審判):不服2002-22253

本願意匠

引用意匠

自動車ホイールキャップ 自動車用ホイール
本願意匠:自動車用ホイールキャップ 引用意匠:自動車用ホイール

本願意匠は「自動車用ホイールキャップ」であるのに対し、引用意匠は「自動車用ホイール」であるから、両意匠は、意匠に係る物品が相違するものと認められる。

詳しくは、次のページをご覧ください。

 

特許庁(拒絶査定不服審判):不服2020-8181

本願意匠

引用意匠

仏壇(部分意匠) ペット用骨壺
本願意匠:仏壇 引用意匠:ペット用骨壺
本願意匠の意匠に係る物品は「仏壇」であるのに対して、引用意匠の意匠に係る物品は「ペット用骨壺」である。本願意匠の「仏壇」とは、広辞苑によれば「仏像や位牌を安置して礼拝するための壇である。」とあるところ、引用意匠の骨壺は、遺骨を納める壺であって、仏像や位牌を安置するものではない。したがって、両意匠の意匠に係る物品は、異なるものと認められる。

 

特許庁(拒絶査定不服審判):不服2021-3262

本願意匠

引用意匠

枕用芯材
本願意匠:枕 引用意匠:枕用芯材
本願意匠の意匠に係る物品は「枕」であるのに対して、引用意匠の意匠に係る物品は「枕用芯材」であって、この芯材に綿やカバーを用いて、初めて枕として使用できるものであり、本願意匠と引用意匠では使用目的や使用状態が異なるから、両意匠の意匠に係る物品は、異なる。

 

特許庁(拒絶査定不服審判):不服2016-7513

本願意匠

引用意匠

傘立て(部分意匠) 衣服掛け
本願意匠:傘立て 引用意匠:衣服掛け
本願意匠の意匠に係る物品は、「傘立て」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「衣服掛け」であって、両意匠の意匠に係る物品は、一致しない。また、本願意匠の「傘立て」自体の機能以外の機能を有する本願意匠部分の機能及び用途を考慮に入れても物品が類似するということもできない。また、両意匠部分の機能及び用途においても共通するものとはいえず、両意匠部分の位置及び大きさについてはおおむね共通するものの、その範囲については、共通するものとはいえない。

 

特許庁(拒絶査定不服審判):不服2009-17397

本願意匠

引用意匠

眼鏡用バックル 靴用飾り金具
本願意匠:眼鏡用バックル 引用意匠:靴用飾り金具
 本願意匠は、「眼鏡用バックル」であって、眼鏡の蔓(つる)部に装着してヒンジ部を保護すること等の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用意匠は、「靴用飾り金具」であって、一般的に靴甲部のベルトに装着してベルトを固定すること等の用途及び機能を有するものであり、両意匠の意匠に係る物品は、直接取り付けられる物品自体が異なり、用途及び機能が全て一致するものではないが、
 一方で、両意匠は、装飾効果等を意図して、日常生活において身に付けるものに取り付けて使用する点で共通するのみならず、さらにその取り付け方法が、いずれも、その意匠に、身に付けるものに形成された幅広帯状形状部分を貫通させる方法である点で共通しており、両意匠は用途及び機能に共通性を有するものであるから、両意匠の意匠に係る物品は類似すると言わざるを得ない。
 但し、両意匠の形態も考慮すれば、相違点が共通点を圧しているというべきであって、本願意匠は引用意匠に類似するということはできないものである。

 


関連情報

 


(作成2022.11.03、最終更新2022.11.03)
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