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実用新案登録出願書類の例【動画】

実用新案登録出願書類の例について、解説動画をYouTubeに投稿しました(10分19秒)。

実用新案登録出願に必要な書類について、確認してみます。

実用新案登録出願には、願書(実用新案登録願)、明細書、実用新案登録請求の範囲、要約書、図面が必要です。

各書類について、例(サンプル)を挙げて、説明していきます。

2020年11月現在の情報です。

 


実用新案登録出願書類の例【動画】

 


(作成2020.11.08、最終更新2020.11.01)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
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実用新案登録出願書類の例

はじめに

 


実用新案登録出願に必要な書類

実用新案登録出願には、願書(実用新案登録願)明細書実用新案登録請求の範囲要約書図面が必要です。

願書では、考案者や出願人を特定します。出願人が権利者となります。
出願料の他に、第1~3年分の登録料も、出願時に納付が必要です。そのために、願書には【納付年分】の欄が設けられます。
登録料は、実用新案登録請求の範囲に記載した請求項の数に応じて異なります。

明細書では、考案の名称、技術分野、背景技術、その課題、その課題を解決するための手段、それによる効果の他、考案を実施するための形態として、具体例や変形例などを記載します。
詳しくは、(特許出願についての説明ですが)明細書について、をご覧ください。

実用新案登録請求の範囲では、明細書に記載した考案の内、実用新案登録を受けようとする考案を特定します。
その際、「請求項」と呼ばれる項に区分して、各請求項ごとに実用新案登録出願人が実用新案登録を受けようとする考案を特定します。
このようにして特定された考案(請求項に係る考案)が、登録実用新案の技術的範囲(権利範囲)を定めます。
詳しくは、(特許出願についての説明ですが)特許請求の範囲について、をご覧ください。

要約書には、考案の概要を記載します。
文字数は、400字以内で、簡潔に記載します(施行規則 様式5備考11)。
詳しくは、(特許出願についての説明ですが)要約書について、をご覧ください。

図面は、特許出願では任意ですが、実用新案登録出願では必須です。
図面中に付した符号を用いて、明細書において考案を説明します。

 


実用新案登録出願書類の例(サンプル)

 


【書類名】       実用新案登録願

【整理番号】      P201106A

【提出日】       令和2年11月6日

【あて先】       特許庁長官 殿

【考案者】

  【住所又は居所】  大阪府**市**町1丁目2番3号

  【氏名】      考案 良子

【実用新案登録出願人】

  【識別番号】    000000000

  【氏名又は名称】  実案株式会社

【代理人】

  【識別番号】    000000000

  【弁理士】

  【氏名又は名称】  実案 代行

【納付年分】      第1年分から第3年分

【手数料の表示】

  【振替番号】    00000000

  【納付金額】    21200

【提出物件の目録】

  【物件名】     明細書 1

  【物件名】     実用新案登録請求の範囲 1

  【物件名】     要約書 1

  【物件名】     図面 1


【書類名】明細書

【考案の名称】鉛筆

【技術分野】

 【0001】

 本考案は、鉛筆に関するものである。

【背景技術】

 【0002】

 従来の鉛筆は、・・・するものであった。

【先行技術文献】

【特許文献】

 【0003】

  【特許文献1】特開2009-000000号公報

【考案の概要】

【考案が解決しようとする課題】

 【0004】

 本考案が解決しようとする課題は、・・・のような鉛筆を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

 【0005】

 本考案は、・・・することを特徴とする鉛筆である。

【考案の効果】

 【0006】

 本考案の鉛筆によれば、・・・することができる。

【図面の簡単な説明】

 【0007】

  【図1】本考案の一実施例の鉛筆を示す斜視図である。

【考案を実施するための形態】

 【0008】

 図1は、本考案の一実施例の鉛筆の斜視図である。

 この図に示すように、本実施例の鉛筆は、・・・

 ~構成・作用効果~

 ~具体例・変形例~

【符号の説明】

 【0009】

 1 鉛筆

 2 軸材

 3 芯


【書類名】実用新案登録請求の範囲

【請求項1】

 軸材の中心線に沿って芯が設けられた

 ことを特徴とする鉛筆。

【請求項2】

 前記軸材が断面六角形である

 ことを特徴とする請求項1に記載の鉛筆。

【請求項3】

 前記軸材の一端部に消しゴムが設けられた

 ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛筆。


【書類名】要約書

【要約】

【課題】・・・することができる鉛筆を提供する。

【解決手段】鉛筆に・・・した。

【選択図】図1


【書類名】図面

【図1】

特許図面:鉛筆

 


(作成2020.11.06、最終更新2020.11.06)
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進歩性の主張(拒絶理由通知に対する反論のヒント)【動画】

進歩性の主張(拒絶理由通知に対する反論のヒント)について、解説動画をYouTubeに投稿しました(18分39秒)。

本願発明(特許を受けようとする発明)は、先行技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有する、との主張のヒントとなり得るものを、検討してみます。特許庁審査基準に基づき進めます。

進歩性の判断では、【進歩性が否定される方向に働く要素】と【進歩性が肯定される方向に働く要素】とが総合的に評価されます。

この内、【進歩性が否定される方向に働く要素】については、その裏返しとして、【進歩性主張観点】が導かれます。

一方、【進歩性が肯定される方向に働く要素】については、そのまま【進歩性主張観点】となります(【審査基準】=【進歩性主張観点】)。

特許庁審査基準は、2020年11月現在の情報です。

 


進歩性の主張(拒絶理由通知に対する反論のヒント)【動画】

 


(作成2020.11.05、最終更新2020.11.05)
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進歩性の主張(拒絶理由通知に対する反論のヒント)

はじめに

  • 本願発明(特許を受けようとする発明)は、先行技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有する、との主張のヒントとなり得るものを、検討してみます。特許庁審査基準の進歩性判断フローを逆に読んでいくことで、ヒントを得たいと思います。「逆に読んでいく」とは?=後述の「【審査基準】と【進歩性主張観点】」をご覧ください。
  • 特許庁審査基準に基づく進歩性判断フロー(進歩性判断フローチャート)については進歩性判断をご覧ください。
  • 【進歩性主張観点】は、弊所による審査基準の分析結果です。そのため、弊所独自の見解が含まれる場合があります。
  • 本頁末尾の掲載日時点の弊所把握情報です。審査基準について、最新かつ正確な情報は、特許庁ホームページなどでご確認ください。
  • 本ページの解説動画進歩性の主張(拒絶理由通知に対する反論のヒント)【動画】

 


【審査基準】【進歩性主張観点】

以下、進歩性に関する【審査基準】の抜粋と、それに基づく【進歩性主張観点】(拒絶理由反論ヒント)を検討してみます。

進歩性判断で確認したとおり、当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたか否かの判断では、【進歩性が否定される方向に働く要素】と【進歩性が肯定される方向に働く要素】とが総合的に評価されます。

この内、【進歩性が否定される方向に働く要素】については、その裏返しとして、【進歩性主張観点】が導かれます。

一方、【進歩性が肯定される方向に働く要素】については、そのまま【進歩性主張観点】となります(【審査基準】=【進歩性主張観点】)。

 



請求項に係る発明の認定

【審査基準】

進歩性の判断の対象となる発明は、請求項に係る発明である。

【進歩性主張観点】(前提)

  • 意見書にて主張しようとする構成要件は、請求項に明記されていなければならない。仮に明細書又は図面に記載があっても、請求項に記載されていない事項は、進歩性判断において考慮されない。例えば、意見書において「本願発明は構成Aを備えるから作用効果Xを奏する」と主張するならば、構成Aは、明細書又は図面にだけ記載があっても足りず、請求項に記載される必要がある。

 


主引用発明の認定

【審査基準】

審査官は、先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで主引用発明とし、・・・主引用発明から出発して、当業者が請求項に係る発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断する。審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて主引用発明としてはならない

審査官は、主引用発明として、通常、請求項に係る発明と、技術分野又は課題が同一であるもの又は近い関係にあるものを選択する。

また、請求項に係る発明の解決すべき課題が新規であり、当業者が通常は着想しないようなものである場合は、請求項に係る発明と主引用発明とは、解決すべき課題が大きく異なることが通常である。したがって、請求項に係る発明の課題が新規であり、当業者が通常は着想しないようなものであることは、進歩性が肯定される方向に働く一事情になり得る。

【進歩性主張観点】

  • 請求項に係る発明と主引用発明とは、「技術分野」又は「課題」が大きく異なる。その場合、その後の論理付けに無理が生じやすい。例えば、主引用発明に副引用発明を適用するに当たり十分に動機付けとなる事情が存在しない。
  • 請求項に係る発明の解決すべき課題が新規であり、当業者が通常は着想しないようなものである。

 


請求項に係る発明と主引用発明との対比

【審査基準】

審査官は、認定した請求項に係る発明と、認定した引用発明とを対比する。請求項に係る発明と引用発明との対比は、請求項に係る発明の発明特定事項と、引用発明を文言で表現する場合に必要と認められる事項(…「引用発明特定事項」という。)との一致点及び相違点を認定してなされる。審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて請求項に係る発明と対比してはならない。

【進歩性主張観点】

  • 請求項に係る発明と主引用発明との対比(両発明の発明特定事項の一致点及び相違点の認定)は正しいか。
  • 請求項に係る発明について、発明特定事項の全てが対比されているか。
  • 一致点の中に、相違点といえるものが含まれていないか。

 


主引用発明に副引用発明を適用する動機付け(進歩性が否定される方向に働く要素1)

(1) 技術分野の関連性

【審査基準】

主引用発明の課題解決のために、主引用発明に対し、主引用発明に関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮である。例えば、主引用発明に関連する技術分野に、置換可能又は付加可能な技術手段があることは、当業者が請求項に係る発明に導かれる動機付けがあるというための根拠となる。

審査官は、主引用発明に副引用発明を適用する動機付けの有無を判断するに当たり、(1)から(4)までの動機付けとなり得る観点のうち「技術分野の関連性」については、他の動機付けとなり得る観点も併せて考慮しなければならない

【進歩性主張観点】

  • 主引用発明(A)に副引用発明(B)を適用しても、請求項に係る発明(A+B+C)には至らない。請求項に係る発明(A+B+C)には、主引用発明(A)にも副引用発明(B)にも開示のない構成(C)があり、その点が(後述の)設計変更等にも当たらない。
  • 主引用発明と副引用発明とでは、技術分野が異なる。
  • 他の動機付けとなり得る観点(2)~(4)も考慮すべきである。

 

(2) 課題の共通性

【審査基準】

主引用発明と副引用発明との間で課題が共通することは、主引用発明に副引用発明を適用して当業者が請求項に係る発明に導かれる動機付けがあるというための根拠となる。

本願の出願時において、当業者にとって自明な課題又は当業者が容易に着想し得る課題が共通する場合も、課題の共通性は認められる。審査官は、主引用発明や副引用発明の課題が自明な課題又は容易に着想し得る課題であるか否かを、出願時の技術水準に基づいて把握する。

【進歩性主張観点】

  • 主引用発明と副引用発明との間で課題が共通しない。
  • 本願の出願時において、当業者にとって自明な課題又は当業者が容易に着想し得る課題が共通する訳でもない。

 

(3) 作用、機能の共通性

【審査基準】

主引用発明と副引用発明との間で、作用、機能が共通することは、主引用発明に副引用発明を適用したり結び付けたりして当業者が請求項に係る発明に導かれる動機付けがあるというための根拠となる。

【進歩性主張観点】

  • 主引用発明と副引用発明との間で、作用、機能が共通しない。

 

(4) 引用発明の内容中の示唆

【審査基準】

引用発明の内容中において、主引用発明に副引用発明を適用することに関する示唆があれば、主引用発明に副引用発明を適用して当業者が請求項に係る発明に導かれる動機付けがあるというための有力な根拠となる。

【進歩性主張観点】

  • 引用発明の内容中において、主引用発明に副引用発明を適用することに関する示唆はない。

 


主引用発明からの設計変更等(進歩性が否定される方向に働く要素2)

【審査基準】

請求項に係る発明と主引用発明との相違点について、以下の(i)から(iv)までのいずれか(…「設計変更等」という。)により、主引用発明から出発して当業者がその相違点に対応する発明特定事項に到達し得ることは、進歩性が否定される方向に働く要素となる。さらに、主引用発明の内容中に、設計変更等についての示唆があることは、進歩性が否定される方向に働く有力な事情となる。

  • (i) 一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択
  • (ii) 一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化
  • (iii) 一定の課題を解決するための均等物による置換
  • (iv) 一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用

【進歩性主張観点】

  • 後述の進歩性が肯定される方向に働く要素(有利な効果、阻害要因)がある。
  • 主引用発明の内容中に、設計変更等についての示唆はない。

 


先行技術の単なる寄せ集め(進歩性が否定される方向に働く要素3)

【審査基準】

先行技術の単なる寄せ集めとは、発明特定事項の各々が公知であり、互いに機能的又は作用的に関連していない場合をいう。発明が各事項の単なる寄せ集めである場合は、その発明は当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内でなされたものである。先行技術の単なる寄せ集めであることは、進歩性が否定される方向に働く要素となる。さらに、主引用発明の内容中に先行技術の寄せ集めについての示唆があることは、進歩性が否定される方向に働く有力な事情となる。

【進歩性主張観点】

  • 請求項に係る発明には、公知でない発明特定事項が含まれる。
  • 発明特定事項が、互いに機能的又は作用的に関連しており、単なる寄せ集めではない。
  • 主引用発明の内容中に先行技術の寄せ集めについての示唆はない。

 


有利な効果(進歩性が肯定される方向に働く要素1)

【審査基準】【進歩性主張観点】

引用発明と比較した有利な効果は、進歩性が肯定される方向に働く要素である。このような効果が明細書、特許請求の範囲又は図面の記載から明確に把握される場合は、審査官は、進歩性が肯定される方向に働く事情として、これを参酌する。

引用発明と比較した有利な効果が、例えば、以下の(i)又は(ii)のような場合に該当し、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであることは、進歩性が肯定される方向に働く有力な事情になる。

  • (i) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果とは異質な効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測することができたものではない場合
  • (ii) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果と同質の効果であるが、際だって優れた効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測することができたものではない場合

しかし、審査官は、意見書等で主張、立証がなされた効果が明細書に記載されておらず、かつ、明細書又は図面の記載から当業者が推論できない場合は、その効果を参酌すべきでない。

 


阻害要因(進歩性が肯定される方向に働く要素2)

【審査基準】【進歩性主張観点】

(1) 副引用発明を主引用発明に適用することを阻害する事情があることは、論理付けを妨げる要因(阻害要因)として、進歩性が肯定される方向に働く要素となる。

阻害要因の例としては、副引用発明が以下のようなものであることが挙げられる。

  • (i) 主引用発明に適用されると、主引用発明がその目的に反するものとなるような副引用発明
  • (ii) 主引用発明に適用されると、主引用発明が機能しなくなる副引用発明
  • (iii) 主引用発明がその適用を排斥しており、採用されることがあり得ないと考えられる副引用発明
  • (iv) 副引用発明を示す刊行物等に副引用発明と他の実施例とが記載又は掲載され、主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例として副引用発明が記載又は掲載されており、当業者が通常は適用を考えない副引用発明

(2) 刊行物等の中に、請求項に係る発明に容易に想到することを妨げるほどの記載があれば、そのような刊行物等に記載された発明は、引用発明としての適格性を欠く。したがって、主引用発明又は副引用発明がそのようなものであることは、論理付けを妨げる阻害要因になる。

 



関連情報

 


(作成2020.11.03、最終更新2020.11.03)
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共同出願と特許権共有【動画】

共同出願と特許権共有について、解説動画をYouTubeに投稿しました(15分36秒)。

共同出願と特許権共有について、条文に基づき、確認してみます。

特許を受ける権利の共有、特許権の共有が生じるケースを説明した後、権利が共有に係るとき、各共有者は、勝手に単独で特許出願できるのか、勝手に実施(製造販売等)できるのか、勝手に他人に持分を譲渡できるのか、勝手に他人にライセンスできるのか、などを確認していきます。

特許法の第33条(特許を受ける権利)、第38条(共同出願)、第14条(複数当事者の相互代表)、第73条(共有に係る特許権)、第132条(共同審判)などをみていきます。

2020年11月現在の情報です。

 


共同出願と特許権共有【動画】

 


(作成2020.11.01、最終更新2020.11.01)
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進歩性判断【動画】

進歩性判断について、解説動画をYouTubeに投稿しました(11分47秒)。

発明の進歩性の判断手順について、フローチャートを用いて、特許庁審査基準を確認してみます。

請求項に係る発明の認定、主引用発明の認定、請求項に係る発明と主引用発明との対比(一致点及び相違点)、相違点の有無、「進歩性が否定される方向に働く要素」の検討、「進歩性が肯定される方向に働く要素」の検討により、進歩性の有無を判断します。

「進歩性が否定される方向に働く要素」には、主引用発明に副引用発明を適用する動機付け、主引用発明からの設計変更等、先行技術の単なる寄せ集め、があります。

「動機付け」には、技術分野の関連性、課題の共通性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆、があります。

「設計変更等」には、公知材料の中からの最適材料の選択、数値範囲の最適化又は好適化、均等物による置換、技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用、があります。

「進歩性が肯定される方向に働く要素」には、有利な効果、阻害要因、があります。

2020年10月現在の情報です。

 


進歩性判断【動画】

 


(作成2020.10.30、最終更新2020.10.30)
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進歩性判断

はじめに

 


進歩性判断のフローチャート

進歩性判断フローチャート(進歩性判断の流れ・フロー)

 


以下、上記フローチャート中の各ステップについての説明です。


請求項に係る発明の認定

  • 進歩性の判断の対象となる発明は、請求項に係る発明である。
  • 請求項に係る発明は、特許請求の範囲の【請求項】の記載に基づいて認定される。
  • 特許請求の範囲に二以上の請求項がある場合は、請求項ごとに、進歩性の有無を判断する。
  • 明細書及び図面の記載、出願時の技術常識を考慮して、請求項に記載されている用語の意義を解釈する。

 


主引用発明の認定

  • 先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで「主引用発明」とする。
  • 独立した二以上の引用発明を組み合わせて主引用発明としてはならない。
  • 主引用発明として、通常、請求項に係る発明と、技術分野又は課題が同一であるもの又は近い関係にあるものを選択する。
  • 「先行技術」は、本願の出願時より前に、日本国内又は外国において、「頒布された刊行物に記載された発明」「電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」「公然知られた発明」「公然実施をされた発明」のいずれかに該当したものである。

 


請求項に係る発明と主引用発明との対比

  • 請求項に係る発明と主引用発明とを対比する。
  • 対比は、各発明の発明特定事項の一致点及び相違点を認定してなされる。

 


相違点の有無

  • 相違点がない場合は、請求項に係る発明が新規性を有していないと判断する。
  • 相違点がある場合は、請求項に係る発明が新規性を有していると判断する。その場合、続いて進歩性の判断を行う。
  • 進歩性の判断は、先行技術に基づいて、当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたことの論理の構築(論理付け)ができるか否かを検討することにより行う。当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたか否かの判断には、【進歩性が否定される方向に働く諸事実】及び【進歩性が肯定される方向に働く諸事実】を総合的に評価することが必要である。
  • 具体的には、以下の(1)から(4)までの手順により、主引用発明から出発して、当業者が請求項に係る発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断する。

 


進歩性が否定される方向に働く要素の検討

(1)相違点を開示する副引用発明の有無、進歩性が否定される方向に働く要素の検討

  •  請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に関し、【進歩性が否定される方向に働く要素】に係る諸事情に基づき、副引用発明を適用したり、技術常識を考慮したりして、論理付けができるか否かを判断する。

【進歩性が否定される方向に働く要素】

主引用発明に副引用発明を適用する動機付け

  • (i) 技術分野の関連性(主引用発明の課題解決のために、主引用発明に対し、主引用発明に関連する技術分野の技術手段の適用を試みる。例えば、主引用発明に関連する技術分野に、置換可能又は付加可能な技術手段がある。)
  • (ii) 課題の共通性(主引用発明と副引用発明との間で課題が共通する。)
  • (iii) 作用、機能の共通性(主引用発明と副引用発明との間で、作用、機能が共通する。)
  • (iv) 引用発明の内容中の示唆(引用発明の内容中において、主引用発明に副引用発明を適用することに関する示唆がある。)

 ※(i)から(iv)までの動機付けとなり得る観点のうち「技術分野の関連性」については、原則として、他の動機付けとなり得る観点も併せて考慮しなければならない。
 ※当業者の通常の創作能力の発揮である下記「設計変更等」は、副引用発明を主引用発明に適用する際にも考慮される。

◆主引用発明からの設計変更等

  • (i) 一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択
  • (ii) 一定の課題を解決するための数値範囲の最適化又は好適化
  • (iii) 一定の課題を解決するための均等物による置換(例えば、湿度の検知手段に特徴のある浴室乾燥装置の駆動手段として、ブラシ付きDCモータに代えて、周知のブラシレスDCモータを採用する場合)
  • (iv) 一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用(例えば、携帯電話機から外部のデジタルテレビに画像を表示する際に、その画面の大きさ、画像解像度に適合したデジタルテレビ用の画像信号(デジタル表示信号)を生成及び出力する場合)

◆先行技術の単なる寄せ集め

  • 発明特定事項の各々が公知であり、互いに機能的又は作用的に関連していない場合(例えば、公知の昇降手段Aを備えた建造物の外壁の作業用ゴンドラ装置に、公知の防風用カバー部材、公知の作業用具収納手段をそれぞれ付加する場合)

 

(2)進歩性が否定される方向に働く要素の検討に基づく論理付け

  • 上記(1)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。
  • 例えば、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に対応する副引用発明がなく、相違点が設計変更等でもない場合は、論理付けはできなかったことになる(進歩性あり)。

 


進歩性が肯定される方向に働く要素の検討

(3)進歩性が肯定される方向に働く要素の検討

  • 上記(1)に基づき、論理付けができると判断した場合は、【進歩性が肯定される方向に働く要素】に係る諸事情も含めて総合的に評価した上で論理付けができるか否かを判断する。

【進歩性が肯定される方向に働く要素】

◆有利な効果

引用発明と比較した有利な効果が、例えば、以下の(i)又は(ii)のような場合に該当し、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものであることは、進歩性が肯定される方向に働く有力な事情になる。なお、意見書等で主張、立証がなされた効果が明細書に記載されておらず、かつ、明細書又は図面の記載から当業者が推論できない場合は、その効果を参酌すべきでない。

  • (i) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果とは異質な効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測できない場合
  • (ii) 請求項に係る発明が、引用発明の有する効果と同質の効果であるが、際だって優れた効果を有し、この効果が出願時の技術水準から当業者が予測できない場合

◆阻害要因

阻害要因の例としては、副引用発明が以下のようなものであることが挙げられる。

  • (i) 主引用発明に適用されると、主引用発明がその目的に反するものとなるような副引用発明
  • (ii) 主引用発明に適用されると、主引用発明が機能しなくなる副引用発明
  • (iii) 主引用発明がその適用を排斥しており、採用されることがあり得ないと考えられる副引用発明
  • (iv) 副引用発明を示す刊行物等に副引用発明と他の実施例とが記載又は掲載され、主引用発明が達成しようとする課題に関して、作用効果が他の実施例より劣る例として副引用発明が記載又は掲載されており、当業者が通常は適用を考えない副引用発明

(4)進歩性が肯定される方向に働く要素の検討に基づく論理付け

  • 上記(3)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。
  • 上記(3)に基づき、論理付けができたと判断した場合は、請求項に係る発明が進歩性を有していないと判断する。
  • 例えば、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に対応する副引用発明があり、かつ、主引用発明に副引用発明を適用する動機付けがあり、進歩性が肯定される方向に働く事情がない場合は、論理付けができたことになる(進歩性なし)。

 


進歩性の判断における留意事項

  • 請求項に係る発明の知識を得た上で、進歩性の判断をするために、以下の(i)又は(ii)のような後知恵に陥ることがないように、留意しなければならない。
     (i) 当業者が請求項に係る発明に容易に想到できたように見えてしまうこと。
     (ii) 引用発明の認定の際に、請求項に係る発明に引きずられてしまうこと。
  • 前述のとおり、主引用発明として、通常、請求項に係る発明と、技術分野又は課題が同一であるもの又は近い関係にあるものを選択する。なお、請求項に係る発明の課題が新規であり、当業者が通常は着想しないようなものであることは、進歩性が肯定される方向に働く一事情になり得る
  • 周知技術について、周知技術であるという理由だけで、論理付けができるか否かの検討(その周知技術の適用に阻害要因がないか等の検討)を省略してはならない。
  • 本願の明細書中に本願出願前の従来技術として記載されている技術について、出願人がその明細書の中でその従来技術の公知性を認めている場合は、出願当時の技術水準を構成するものとして、これを引用発明とすることができる。
  • 物自体の発明が進歩性を有している場合には、その物の製造方法及びその物の用途の発明は、原則として、進歩性を有している。
  • 商業的成功、長い間その実現が望まれていたこと等の事情を、進歩性が肯定される方向に働く事情があることを推認するのに役立つ二次的な指標として参酌することができる。ただし、出願人の主張、立証により、この事情が請求項に係る発明の技術的特徴に基づくものであり、販売技術、宣伝等、それ以外の原因に基づくものではないとの心証を得た場合に限って、この参酌をすることができる。

 


(作成2020.10.30、最終更新2020.10.30)
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要約書について【動画】

要約書について、解説動画をYouTubeに投稿しました(8分44秒)。

特許出願の要約書について、サンプルを参照しつつ、確認してみます。

特許出願の要約書とは?、要約書への記載事項、権利範囲の解釈への影響、公報への掲載、文字数の制限、要約書の例、をみていきます。

2020年10月現在の情報です。

 


要約書について【動画】

 


(作成2020.10.18、最終更新2020.10.18)
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