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つつみのおひなっこや事件(最高裁):結合商標の類否判断【動画】

つつみのおひなっこや事件(最高裁):結合商標の類否判断について、解説動画をYouTubeに投稿しました(10分43秒)。

つつみのおひなっこや事件の最高裁判決を確認してみます(平成19年(行ヒ)第223号、平成20年9月8日)。

商標の類否(類似か非類似か)が争われた事件です。「つつみのおひなっこや」が「つつみ」と「おひなっこや」とに分離されて、「堤(つつみ)」と類似するか否かが争われました。

最高裁で、結合商標の類否判断の仕方が示されました。

2022年9月現在の弊所把握情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


つつみのおひなっこや事件(最高裁):結合商標の類否判断【動画】

 


(作成2022.09.30、最終更新2022.09.30)
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ワイキキ事件(最高裁):産地・販売地表示の登録性

ワイキキ事件:最高裁、昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日

本件商標が、商標法3条1項3号(産地表示等)および4条1項16号(品質誤認)に該当するか否かが争われた事件です。つまり、本件商標「ワイキキ」が、指定商品との関係で、産地・販売地の表示に当たるか、その誤認を生ずるおそれがあるか、が争われた事件です。

「その商品の産地、販売地などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を商標登録しない理由、商標法3条1項3号と4条1項16号との関係が示されました。

  • 本ページの解説動画:ワイキキ事件(最高裁):産地・販売地表示の登録性【動画】 ≪作成中≫

 

本件商標
(第853858号)

ワイキキ事件:本件商標(登録第853858号)

せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類

 


事件全体の流れ

  1. 本件商標の商標登録
  2. 第三者から無効審判請求
  3. 特許庁による請求棄却審決(無効でない)
  4. 審判請求人が東京高裁に出訴
  5. 東京高裁が特許庁審決を取消し
  6. 商標権者が最高裁に上告
  7. 最高裁が上告棄却
  8. 特許庁で再度の審決(化粧品について無効)

 


特許庁(無効審判):昭和48年 審判第6582号

◆本件審判の請求は成り立たない。

◆商標法3条1項3号および4条1項16号の規定に違反せず、登録を無効とすることはできない。

 


東京高裁:昭和52年(行ケ)第184号、昭和53年6月28日

◆特許庁がした審決を取り消す。

◆本件商標は、指定商品との関係上、商標法3条1項3号にいう「商品の産地、販売地…を普通に用いられる方法で表示する標章」からなるとともに、同法4条1項16号にいう「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある」ものにも該当する。

◆商標法3条1項3号の「商品の産地、販売地」というためには、必ずしも、その土地が当該商品の産地、販売地として広く知られていることや、その唯一の産地、販売地であることを要するものとは解されない

 


最高裁:昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日

◆本件上告を棄却する。

 商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。

 

◆商標法3条1項3号が、「その商品の産地、販売地などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」について商標登録の要件を欠くと規定している理由

(1)商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものである。

(2)一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである。

 

 叙上のような商標を商品について使用すると、その商品の産地、販売地その他の特性について誤認を生じさせることが少なくないとしても、このことは、このような商標が商標法4条1項16号に該当するかどうかの問題であって、同法3条1項3号にかかわる問題ではないといわなければならない。
 そうすると、右3号にいう「その商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」の意義を、所論のように、その商品の産地、販売地として広く知られたものを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、これを商品に使用した場合その産地、販売地につき誤認を生じさせるおそれのある商標に限るもの、と解さなければならない理由はない。

 

◆「その商品の産地、販売地などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を使用すると、その商品の産地、販売地その他の特性について誤認を生じさせることが少なくないとしても、このことは、このような商標が商標法4条1項16号(商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標)に該当するかどうかの問題であって、同法3条1項3号にかかわる問題ではない

◆従って、3条1項3号は、その商品の産地、販売地として広く知られたものを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、これを商品に使用した場合その産地、販売地につき誤認を生じさせるおそれのある商標に限るものではない。

 


(作成2022.09.25、最終更新2022.09.25)
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商標登録の必要性【動画】

商標登録の必要性について、解説動画をYouTubeに投稿しました(14分58秒)。

商標登録は必要なのか、商標登録しないで使用しているとどうなるのか、商標登録の必要性(登録のメリット)について、考えてみたいと思います。

商標登録の必要性について検討した後、各種の「商標登録しない理由」に対する弊所の考えを述べます。

2022年9月現在の情報と弊所の意見です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


商標登録の必要性【動画】

 


(作成2022.09.22、最終更新2022.09.22)
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つつみのおひなっこや事件(最高裁):結合商標の類否判断

つつみのおひなっこや事件:最高裁、平成19年(行ヒ)第223号、平成20年9月8日

本件商標が引用各商標と類似するか否かが争われた事件です。

最高裁まで争われ、結合商標の類否判断の仕方が示されました。

その最高裁判決を確認してみます。

なお、仙台市堤町(現仙台市青葉区堤町)で製造される堤焼の土人形として、「堤人形」があります。堤人形は、宮城の伝統的工芸品であります。

 

本件商標
(第4798358号)

引用各商標

引用商標1
(第2354191号)

引用商標2
(第2365147号)

つつみのおひなっこや事件:本件商標(第4798358号)

つつみのおひなっこや事件:引用商標1(第2354191号)

つつみのおひなっこや事件:引用商標2(第2365147号)

土人形および陶器製の人形

土人形

土人形

 


事件全体の流れ

(1)特許庁の無効審判

本件商標は、商標法4条1項8号、10号、11号、15号、16号、19号及び同法8条に違反して登録されたものと認めることはできないから、その登録を無効とすることはできない。

(2)差戻前の知財高裁

本件商標は商標法4条1項11号に該当するとして、審決を取消し

(3)最高裁

本件商標は商標法4条1項11号には該当しないとして、上記判決を破棄して事件を知財高裁に差戻し

(4)差戻後の知財高裁

商標法4条1項11号以外の原告主張の登録無効事由(同項8号、10号、15号、16号、19号)の存否について判断し、いずれにも該当しないとして、原告の請求を棄却

 


特許庁:無効2006-89030号

◆本件商標は引用各商標のいずれにも類似しないから法4条1項11号に該当しない。

◆審判請求人の主張するその余の無効理由も認められない。

 


知財高裁:平成18年(行ケ)第10532号、平成19年4月10日

◆特許庁がした審決を取り消す。

◆本件商標は、「堤」という土地・人物の「ひな人形屋」、あるいは「堤人形」の「ひな人形屋」との観念が生じる。したがって、本件商標は、「つつみ」と「おひなっこや」とが組み合わされた結合商標として認識されるものであるが、その構成において「つつみ」の文字部分を分離することができないほど一体性があるものと認めることはできないから、冒頭の「つつみ」の文字部分のみが分離して認識され、そこから、地名・人名としての「堤」、ないし堤人形の「堤」の観念を生じるとともに、「ツツミ」のみの称呼をも生じる。そうすると、本件商標と引用各商標は全体として類似する商標であると認められる。

 


最高裁:平成19年(行ヒ)第223号、平成20年9月8日

結論

◆【主文】知財高裁がした原判決を破棄する。本件を知財高裁に差し戻す。

◆原審の上記判断は是認することができない。その理由は、以下のとおりである。

 

商標の類否判断の基本

法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである。

 

◆氷山印事件の引用です。詳しくは、氷山印事件(最高裁):商標の類否判断をご覧ください。

 

結合商標の類否判断

複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである。

 

複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、次の場合などを除き、許されないというべきである。

 【場合1】その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合

 【場合2】それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合

 

本件についての具体的判断

(1)本件商標は、「つつみのおひなっこや」の文字を標準文字で横書きして成るものであり、各文字の大きさ及び書体は同一であって、その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから、「つつみ」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない(前記【場合1】に当たらない。)

(2)本件商標の構成中の「つつみ」の文字部分から地名、人名としての「堤」ないし堤人形の「堤」の観念が生じるとしても、本件審決当時、それを超えて、上記「つつみ」の文字部分が、本件指定商品の取引者や需要者に対し「引用各商標の商標権者が本件指定商品の出所である」旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったということはできない(前記【場合1】に当たらない。)

(3)本件商標の構成中の「おひなっこや」の文字部分については、これに接した全国の本件指定商品の取引者、需要者は、ひな人形ないしそれに関係する物品の製造、販売等を営む者を表す言葉と受け取るとしても、「ひな人形屋」を表すものとして一般に用いられている言葉ではないから、新たに造られた言葉として理解するのが通常であると考えられる。そうすると、上記部分は、土人形等に密接に関連する一般的、普遍的な文字であるとはいえず、自他商品を識別する機能がないということはできない(前記【場合2】に当たらない。)

(4)このほか、本件商標について、その構成中の「つつみ」の文字部分を取り出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできない。

(5)したがって、本件商標と引用各商標の類否を判断するに当たっては、その構成部分「全体」を対比するのが相当であり、本件商標の構成中の「つつみ」の文字部分だけを引用各商標と比較して本件商標と引用各商標の類否を判断することは許されないというべきである。

本件商標と引用各商標は、本件商標を構成する10文字中3文字において共通性を見いだし得るにすぎず、その外観、称呼において異なるものであることは明らかであるから、いずれの商標からも堤人形に関係するものという観念が生じ得るとしても、全体として類似する商標であるということはできない。

 


関連事件

差戻後の知財高裁

  • 平成20年(行ケ)第10348号、平成21年1月27日

引用商標1について

  • 拒絶査定不服審判:昭和58-24600(請求成立:3条2項)
  • 無効審判:無効2007-890027(請求不成立)
  • 不使用取消審判:取消2009-300474(請求不成立)

引用商標2について

  • 拒絶査定不服審判:昭和58-24601(請求成立:3条2項)
  • 不使用取消審判:取消2008-300294(請求不成立)

 


(作成2022.09.19、最終更新2022.09.19)
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商標登録の必要性

商標登録は必要か?、商標登録のメリットは?

商標登録の必要性、商標登録のメリットについて、解説します。

商標登録は必要なのか、商標登録しないで使用しているとどうなるのか、商標登録の必要性(登録のメリット)について、考えてみたいと思います。

また、「ありがちな商標登録しない理由」として、(a)商標登録に手間と費用をかけたくない、(b)権利行使するつもりはなく商標を使用するだけだ、(c)全国的に商売する訳ではなく地域で使用するだけだ、(d)先に使用していれば商標登録は要らないのではないか、(e)いますぐ商標登録しなくてもよいのではないか、などがあると思います。これら認識が正しいのか、弊所の考えを述べます。

 


目次

 


はじめに

商標とは

商標(しょうひょう)とは、商品又はサービスに使用するネーミングやマークなどをいいます。自分(自社)の商品又はサービスを、他人(他社)のものと区別するために用いるものをいいます。

たとえば、キャラメルに「グリコ」、ビールに「キリン」、不動産業に「三井不動産」、コーヒーショップに「ドトール」などがあります。

大企業に限らず、中小企業や個人事業主でも、ビジネスする上で「商標」は、通常、必要不可欠です。

 

商標登録とは

商標登録とは、商品又はサービスに使用するネーミングやマークなどについて、その保護を求めて出願し、審査をパスすることで得られる特許庁への登録をいいます。

商標登録されることで商標権を得られ、商標権者は、指定した商品又はサービスについて、登録商標を独占排他的に使用することができます。また、登録商標と同一のみならず類似範囲についても、他人の使用や登録を排除することができます。

詳しくは、商標登録とは・商標権の取り方をご覧ください。

 


ありがちな商標登録しない理由?

商標登録しない理由として、たとえば次のものを挙げることができます。これら認識は正しいのでしょうか?

  • 商標登録に、手間と費用をかけたくない。
  • 権利行使するつもりはなく、商標を使用するだけだ。
  • 全国的に商売する訳ではなく、地域で使用するだけだ。
  • 先に使用していれば、商標登録は要らないのではないか。
  • 将来的には考えたいが、いま商標登録しなくてもよいのではないか。

商標登録は必要なのか、商標登録しないで使用しているとどうなるのか、商標登録の必要性(登録のメリット)について、考えてみたいと思います。

商標登録の必要性について検討した後、上記各認識(商標登録しない理由)に対する弊所の考えを述べます。

 


商標登録の必要性(登録のメリット)

商標登録を受けることで、
(1)安心して使用できる!(他人の登録を排除)
(2)独占排他的に使用できる!(他人の使用を排除)
(3)商標の財産的価値を高め保つことができる!
 

(1)商標登録を受けることで、安心して使用できる!(他人の登録を排除)

商標登録を受けることで、同一・類似範囲での他人の登録を排除することができます。つまり、登録商標と同一・類似の商標については、のちに他人が出願しても商標登録を受けることができません。自社(自分)が先に商標登録を受けることで、もう他人に権利を取られるおそれはなくなり、自社は安心して使用できることになります。

商標登録出願の審査では、商標の「使用」の先後(せんご:順序のあとさき)ではなく、「出願」の先後に基づき、一日でも早く出願した者に権利が付与されます。そのため、仮に自社が最も早く使用を開始しても、出願して商標登録を受けておかなければ、他人が先に出願して商標登録を受けるおそれがあります。同一・類似の商標について先に他人が登録すると、あとで自社が出願しても拒絶され、登録を受けることはできません。同一商標だけでなく類似商標も拒絶(使用対象の商品・サービスが同一・類似で、ネーミングやマーク等が同一・類似の場合に拒絶)されるため、予期せぬ他人の商標が障害となることもあります。

同一・類似の商標について、他人が先に商標登録を受けた場合、商標権侵害として、警告を受けたり、使用差止めや損害賠償を請求されたりするおそれがあります。使用を継続したい場合、権利者から権利譲渡を受けたり、ライセンスを受けたりする必要がありますが、権利者がそれを認めるとは限りません。使用を継続できない場合、商標を変更する必要が生じます。その場合、パッケージ、カタログ、ホームページなどの変更も必要となります。

「先使用権(せんしようけん)」として、先に使用していれば継続的に使用を許される場合もありますが、単に先に使用していた事実だけでは足りず、ある程度有名になっていることが必要です。また、継続的に使用できる範囲も限られます。

そのため、商標が決まれば、同一・類似の商標について他人の出願や登録がないことを確認し、できるだけ早く特許庁に出願する必要があります。商標登録を受けることで、後日の同一・類似の他人の登録を排除することができます。

 

(2)商標登録を受けることで、独占排他的に使用できる!(他人の使用を排除)

商標権者は、指定した商品又はサービスについて、登録商標を独占排他的に使用することができます。また、登録商標と同一のみならず類似範囲についても、他人の使用を排除することができます。

権利侵害に対しては、差止請求権や損害賠償請求権などを行使することができます。また、商標権を侵害した場合には、刑事罰が科される場合もあります。

 

(3)商標登録を受けることで、商標の財産的価値を高め保つことができる!

商標が使用されると、その商標を目印・手がかりとして、需要者は所望の商品やサービスを選択(購入)することができます。つまり、需要者は、商標により他の同種商品等と見分けて、所望の商品等を選択でき、その内容に満足した場合には、その商品等のファンになります。商標使用者の側からすれば、商標により、需要者をつなぎ止めて市場の維持開拓を図れます。このようにして、商標によって需要者をつなぎ止めておくことができるとすれば、その顧客吸引力に基づき、商標に財産的価値が見出されます。

品質が同等でも価格差が生じる一因には、ブランドイメージに基づく商標の価値が含まれます。商標権が「無体」財産権の一つに含まれるのは、商標に蓄積される「信用」や「ブランドイメージ」が無体の財産といえるからです。

この財産的価値を守るためにも、商標登録が必要です。商標登録しておくことで、権利者のみが登録商標を使用できるので、登録商標が使用された商品又はサービスがどの業者によるものか、明らかとなります。権利者のみならず、需要者にもメリットがあります。

また、商標権は、財産的価値のあるものですから、ラインセンスや権利譲渡などの対象にもなります。

詳しくは、商標の役割と商標登録をご覧ください。

 


前記「ありがちな商標登録しない理由?」に対する答え

>商標登録に、手間と費用をかけたくない。

特許事務所(弁理士)を使わずご自身で手続されるとしても、商標登録を受けるには、特許庁費用として、出願料12,000円、5年分の登録料17,200円で、合計で29,200円が最低限必要です(2022年9月現在)。

他人の権利がない限り、いますぐに商標登録しなくても、商標が使えない訳ではありません。しかしながら、同一・類似の商標について、他人からいつ出願されるかは分かりません。

先行商標調査せずに、また商標登録せずに使用していると、他人から警告を受けたり、使用差止めや損害賠償を請求されたり、ライセンス料の支払いが必要になったり、商標の変更が必要になったりして、かえって高くつく場合もあり得ます。

このあたりの事情も考慮して、商標登録の要否を決める必要があります。

 

>権利行使するつもりはなく、商標を使用するだけだ。

商標登録するのは、他人の使用を排除するだけでなく、自らの使用を確保するためでもあります。

自社が出願しない内に他人が出願して登録を受けた場合、それ以後は、原則として、他人の商標権を侵害することになります。商標権の効力は類似範囲まで及びますから、類似商標が登録された場合も、自社の使用が制限されることになります。

商標を使用するだけだとしても、継続して安全に使用したければ、商標登録を受ける必要があります。

 

>全国的に商売する訳ではなく、地域で使用するだけだ。

商標権の効力は、日本全国に及びます。そのため、ある地方で小さくビジネスされていても、商標制度と無縁ではありません。他人の登録商標と同一・類似範囲での使用は、原則として、他人の商標権を侵害することになります。また、ネットで広告したり通信販売したりするなら、地域は関係ありません。個人商店、個人事業でも同じです。

◆ご参考(平成22年(ワ)第11115号 商標権侵害差止請求事件)
『仮に被告が本件商標登録を知らずに被告各標章の使用をしていたとしても,単に被告が基本的な調査を怠ったというにすぎないというべきであるから,これを被告に有利な事情として酌むことはできない。』
『商標権は,全国的に効力を有するものであり,現時点において競合していないからといって,差止等の請求を否定する根拠とはならない。』

 

>先に使用していれば、商標登録は要らないのではないか。

「先使用権(せんしようけん)」として、先に使用していれば継続的に使用を許される場合もありますが、単に先に使用していた事実だけでは足りず、ある程度有名になっていることが必要です。また、継続的に使用できる範囲も限られます。最終的に先使用権が認められるにしても、その立証が必要となります。

 

>将来的には考えたいが、いま商標登録しなくてもよいのではないか。

商標権は、出願日を基準に一日でも早く出願した者に付与されます。出願が遅くなると、他人に先を越されるリスクが高まります。

なお、自社は商標登録しないとしても、既に他人が商標登録している可能性はありますから、使用前に先行商標調査する必要があります。

 


関連情報

 


(作成2022.09.17、最終更新2022.09.23)
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意匠法第38条の条文解読(意匠権の間接侵害)【動画】

意匠法第38条の条文解読(意匠権の間接侵害)について、解説動画をYouTubeに投稿しました(30分53秒)。

意匠権の間接侵害について規定する意匠法第38条の条文解読です。

直接侵害と間接侵害との比較も、条文に基づき確認してみます。

2022年9月現在の弊所把握情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


意匠法第38条の条文解読(意匠権の間接侵害)【動画】

 


(作成2022.09.15、最終更新2022.09.15)
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氷山印事件(最高裁):商標の類否判断【動画】

氷山印事件(最高裁):商標の類否判断について、解説動画をYouTubeに投稿しました(6分3秒)。

氷山印事件の最高裁判決を確認してみます(昭和39年(行ツ)第110号、昭和43年2月27日)。商標の類否(類似か非類似か)が争われた事件です。

商標の類似と商品の出所混同との関係、外観類似と観念類似と称呼類似との関係、取引の実情との関係、について判示されています。特に、商標の外観、観念または称呼のうち、いずれかにおいて類似すれば商標として類似するのかについて判断が示されています。

2022年9月現在の弊所把握情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


氷山印事件(最高裁):商標の類否判断【動画】

 


(作成2022.09.08、最終更新2022.09.08)
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氷山印事件(最高裁):商標の類否判断

氷山印事件:最高裁、昭和39年(行ツ)第110号、昭和43年2月27日

本願商標と引用登録商標との類否が争われた事件です。

最高裁まで争われ、両者は非類似として、本願商標の登録が認められました。

その最高裁判決を確認してみます。

 

 

本願商標 引用登録商標
商標 商標「氷山印」 商標「しょうざん」
指定商品 硝子繊維糸

 


非類似とした理由

◆本願商標は、硝子繊維糸のみを指定商品とし、また商標自体に「硝子繊維」とあることからも、硝子繊維糸以外の商品に使用されるものでない。硝子繊維糸の現実の取引では、商標の称呼のみによって商標を識別し、ひいて商品の出所を知り品質を認識するようなことはほとんど行なわれない。このような指定商品に係る商標については、称呼の対比考察を比較的緩やかに解しても、商品の出所の誤認混同を生ずるおそれはない。

◆本願商標と引用登録商標とは、【外観】を異にすることは明白であり、また後者から氷山を意味するような【観念】を生ずる余地がなく、これらの点で非類似である。【称呼】については、「ひょうざん(じるし)」と「しょうざん(じるし)」であって、両者の称呼が仮に比較的近似するとしても、その外観および観念の差異を考慮する必要があり、単に称呼の類否を決定して足りる訳ではない。そして、両商標の称呼は近似するとはいえ、なお称呼上の差異は容易に認識できるのであるから、硝子繊維糸の特殊な取引の実情のもとにおいては、外観および観念が著しく相違するうえ称呼においても区別できる両商標をとりちがえて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられない

 


商標の類否判断

下記において、緑の枠内は、最高裁判決からの抜粋です。緑の枠の次に、弊所による要約を付しています。

 

商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。

 

◆商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきである。

◆それには、そのような商品(同一または類似の商品)に使用された商標がその【外観】、【観念】、【称呼】等によって取引者に与える【印象】、【記憶】、【連想】等を総合して全体的に考察する必要がある。

◆しかもその商品の【取引の実情】を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが適当である。

 

商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従つて、右三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によつて、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。

 

商標の【外観】、【観念】または【称呼】の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎない。

◆従って、三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違するか、取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない

 


(作成2022.09.07、最終更新2022.09.08)
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医薬品等の特許権の存続期間の延長(特許法第67条第4項、第67条の5~8の条文解読)【動画】

医薬品等の特許権の存続期間の延長(特許法第67条第4項、第67条の5~8の条文解読)について、解説動画をYouTubeに投稿しました(11分13秒)。

医薬品等の特許権の存続期間の延長(特許法第67条第4項、第67条の5~8)の条文解読です。延長登録の出願、審査、査定などについて、条文を確認してみます。

2022年9月現在の弊所把握情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


医薬品等の特許権の存続期間の延長(特許法第67条第4項、第67条の5~8の条文解読)【動画】

 


(作成2022.09.02、最終更新2022.09.02)
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特許庁統計【意匠編2022年版】出願件数・審査期間・関連意匠利用率など【動画】

特許庁統計【意匠編2022年版】出願件数・審査期間・関連意匠利用率などについて、解説動画をYouTubeに投稿しました(4分14秒)。

意匠登録関係について、出願件数、本人出願率、関連意匠利用割合、審査期間、拒絶査定不服審判の件数・成否・期間などを、特許庁の統計資料から確認してみます。

特に明示する場合を除き、数値自体は、特許庁編『特許行政年次報告書2022年版』に掲載のものです。言い換えれば、当該報告書の数値を用いて、弊所において、Q&A形式に編集・加工したものとなります。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


特許庁統計【意匠編2022年版】出願件数・審査期間・関連意匠利用率など【動画】

 


(作成2022.08.26、最終更新2022.08.26)
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