【18】不服2025-9825
意願2024-500946「車両用グリル」拒絶査定不服審判事件
原査定を取り消す。本願の意匠は、登録すべきものとする。
意匠法第3条第1項第3号(新規性)
【弊所メモ】本願出願前には引用意匠以外に見られない態様、特定の角度から見た部分的な一致、意匠全体に占める割合、需要者の注意、一枚の厚板からなる一体的でシンプルな印象、複数の部材からなる複雑な印象、印象を強める、本願出願前から公然知られていて本願意匠にのみ見られる態様ではない、略横長で扁平である印象、比較的縦横のバランスが取れている印象、共通点に埋没する程度の僅かな相違
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1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
どちらも車両用のグリルであるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両意匠の形状等
ア 共通点
(共通点ア)全体
全体を、正面視略横長かまぼこ状の枠にメッシュを設けたものとし、真ん中に略縦棒状の仕切りを設け、該仕切りの上端寄りに略横長楕円形状のプレートを形成している点
(共通点イ)仕切りの態様
仕切りは、下端近傍が、下端に向かって裾広がり状に形成している点
イ 相違点
(相違点ア)全体
本願意匠は、枠、メッシュ及び仕切りが、おおむね同じ厚みで同一平面をなす略厚板状のものであるに対し、引用意匠は、メッシュを枠及び仕切りの背面側に取り付けたものである点
(相違点イ)プレート
本願意匠は、プレートが、仕切りとおおむね同じ厚みで同一平面をなすのに対し、引用意匠は、仕切りの表面側に取り付けている点
(相違点ウ)メッシュの孔
本願意匠は、正面視ハニカム状の略角丸六角形状であるのに対し、引用意匠は、メッシュの孔の形状が略楕円状である点
(相違点エ)全体の縦横の長さの比
本願意匠は、約1:1.8であるのに対し、引用意匠は、約1:2.3である点
(相違点オ)枠の両側の立ち上がり角度
本願意匠は、約80度であるのに対し、引用意匠は、約70度である点
(相違点カ)仕切りの上端
引用意匠は、仕切りの上端近傍が、上端に向かって湾曲して広がっているのに対し、本願意匠は、広がっていない点
2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(共通点ア)
この種物品の分野において、全体を、正面視略横長かまぼこ状の枠にメッシュを設けたものとし、真ん中に略縦棒状の仕切りを設け、該仕切りの上端寄りに略横長楕円形状のプレートを形成しているものは、本願出願前には引用意匠以外に見られない態様であるが、正面という特定の角度から見た部分的な一致にとどまるから、(共通点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度である。
(共通点イ)
仕切りの下端は、意匠全体に占める割合が小さく、格別、需要者の注意を惹かないから、(共通点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
イ 相違点の評価
(相違点ア)
本願意匠は、枠、メッシュ及び仕切りが、おおむね同じ厚みで同一平面をなす略厚板状のものであることで、需要者に、全体が一枚の厚板であり、一体的でシンプルな印象を与えているのに対し、引用意匠は、メッシュを枠及び仕切りの背面側に取り付けたものであることで、需要者に複数の部材からなる複雑な印象を与えていることから、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点イ)
プレートが、仕切りとおおむね同じ厚みで同一平面をなすことで、全体が一枚の厚板である印象を強めるのに対し、引用意匠は、プレートを、仕切りの表面側に取り付けていることで、複数の部材からなる複雑な印象を強めることから、需要者に別異の印象を強く与えており、(相違点イ)が、(相違点ア)と相まって、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点ウ)
この種物品の分野において、メッシュの孔を正面視ハニカム状の略角丸六角形状としたものは、参考意匠に見られるとおり、本願出願前から公然知られており、本願意匠にのみ見られる態様でなく、格別、需要者の注意を惹くものではないから、(相違点ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
(相違点エ)
引用意匠は、約1:2.3であり、略横長で扁平である印象を与えているのに対し、本願意匠は、約1:1.8であり、比較的縦横のバランスが取れている印象を与えていることから、(相違点ウ)が、両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものである。
(相違点オ)及び(相違点カ)
メッシュの外形の左右の辺の立ち上がり角度(相違点オ)及び仕切りの上端の態様(相違点カ)は、意匠全体を占める割合が小さく、(共通点ア)に埋没する程度の僅かな相違であるから、(相違点オ)及び(相違点カ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
(3)両意匠の形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、
(共通点ア)及び(共通点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度又は小さいのに対し、
(相違点ウ)から(相違点カ)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度又は小さいものの、
(相違点ア)及び(相違点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きく、需要者に別異の印象を強く与えるものであるから、相違点全体が相まって、両意匠の類否判断に与える影響が大きいものである。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
関連情報
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(作成2026.02.20、最終更新2026.02.20)
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