目次
- 意匠登録にはデザイン公開前に出願が必要!?
- 意匠の新規性喪失の例外とは?
- 意匠の新規性喪失の例外を認める理由
- 意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための要件
- 商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願の相談
- 関連情報
- 本ページの解説動画:意匠の新規性喪失の例外(商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願)【動画】
意匠登録にはデザイン公開前に出願が必要!?
新製品のデザインを保護するには、「意匠登録(いしょうとうろく)」する必要があります。意匠登録することで、「意匠権」を得られます。意匠権者は、登録意匠のみならず、これに類似する意匠についても、独占的に実施(製造販売等)することができます。他社のコピー商品に対し、製造販売の差止めや損害賠償などを請求できます。
意匠登録を受けるには、特許庁に意匠登録出願(申請)して、審査をパスしなければなりません。審査をパスするには、新規性(出願前に同一・類似の意匠がないこと)や創作非容易性(容易に創作できないこと)など、所定の登録要件を満たす必要があります。登録要件を満たさない場合、出願は拒絶され、権利化できません。
登録要件として新規性などを要求されるため、出願前に商品デザインを公開してはなりません。たとえば、出願前に、商品を販売したり、ホームページやブログに掲載したり、SNSに投稿したりすると、原則として、もはや意匠登録を受けることはできません。自分の(自社の)デザインであっても、意匠登録の障害となります(新規性喪失後の意匠登録出願(意匠登録無効審判:ゲーム機))。
しかしながら、最初の公開から1年以内でしたら、救済できることもあります。たとえば、既に商品を販売したり、ホームページやSNSにデザインを公開したりしたが、お客様からの反響がよいので、意匠登録したい場合、所定手続(新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続)をすることで、意匠登録できる場合もあります。
但し、所定手続をしても、出願日自体は、実際の出願日であり、公開日(商品発売日やSNS投稿日等)になる訳ではありません。新規性などの登録要件については、出願日を基準に審査されます。出願日までに、同一・類似のデザインについて、他社の出願や公開があると、それを理由に拒絶されることになります。そのため、できるだけ早く出願する必要があります。
例外規定の適用を受けて意匠登録したい場合、それ以上の公開はせず、速やかに意匠登録出願しなければなりません。意匠登録出願に慣れていなければ、専門家である弁理士(特許事務所)に依頼できます。特に、例外規定の適用を受けての出願の場合、通常とは異なる手続(しかも案件ごとに異なる手続)が必要で、出願時にしか手続できません(あとで追加できません)から、ご不安でしたら、弁理士にご相談ください。例外手続にミスがあると、致命傷になる可能性もあります。
弁理士(特許事務所)を探すには、弁理士ナビ(https://www.benrishi-navi.com/)が便利です。地域や専門で弁理士を検索できます。
なお、あくまでも「例外」手続ですから、原則として、まずは出願し、その後に公開(販売等)するようにしてください。出願前に公開しますと、仮に例外手続で出願して自己の公開はなかった扱いにできても、第三者の出願や公開に対抗できなかったり、海外での権利取得の障害になったりするおそれがあります。また、例外規定の適用を受けるには、余計な手続(弁理士に依頼すれば費用)が発生します。さらに、適正に手続しなければ、例外扱いとはならず、意匠登録を受けられないおそれもあります。
以下、意匠の新規性喪失の例外規定について、解説します。本ページ末尾の掲載日における情報です。
意匠の新規性喪失の例外とは?
意匠の新規性喪失の例外とは、出願前に公知となった意匠でも、所定要件を満たす意匠登録出願をすることで、新規性や創作非容易性の判断において、公知意匠ではないものとみなすことをいいます。
出願前に公知となった意匠は(仮に自己の創作の意匠でも)本来は新規性がないので意匠登録を受けられませんが、例外的に意匠登録が認められることもあります。
「意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して」公知となった場合や、「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」公知となった場合に、例外規定の適用を受けることができます。
ここでは、「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」公知となった場合について述べます。たとえば、自分で(自社で)、商品を販売したり、ホームページやSNSでデザインを公開したりした後に、意匠登録を受けようとする場合です。
意匠の新規性喪失の例外を認める理由
意匠登録を受けるには、新規性(出願前に同一・類似の意匠がないこと)や創作非容易性(容易に創作できないこと)が要求されます。出願前にデザインを公開すると、新規性がなくなり、意匠登録を受けることができなくなります。そのため、原則として、まずは意匠登録出願し、その後に、デザインを公開(商品販売等)する必要があります。
しかしながら、意匠の創作者は、常に意匠登録出願をする訳ではなく、実際には、ひとまず、販売、展示、見本の頒布等により売行きを打診してみて、一般の需要の有無を確かめた後に、需要があるものについて意匠登録を出願することもあります。
そのため、このような販売、展示、見本の頒布等の行為によって、新規性を喪失したとして、一律に意匠登録を認めないよう取り扱うことは、意匠の実情に合わず、意匠の創作者に酷といえます。
そこで、このような場合に、新規性を失わないものとするために、一定要件下、「意匠の新規性喪失の例外」を認めるものです。
但し、内外国の特許公報等への掲載については、新規性喪失の例外規定の適用を受けることはできません。詳しくは、「おろし器事件:公報掲載後の新規性喪失の例外適用の可否」をご覧ください。
さらに、前述したとおり、あくまでも出願日を基準に審査され、他社の出願や公開に対抗できませんから、できるだけ早く出願する必要があります。また、あくまでも例外手続ですから、原則として、まずは出願し、その後に公開(販売等)するのが安全です。
意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための要件
例外規定の適用を受けるには、次の3つの要件を全て満たす必要があります。
(1)最初の公開日から1年以内に意匠登録出願すること。
(2)意匠登録出願時に、例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出すること(または願書にその旨明記すること)。
(3)意匠登録出願日から30日以内に、例外規定の適用要件を満たすことの証明書を提出すること。
商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願の相談
お近くの弁理士(特許事務所)をお探しの場合、上記でご紹介の「弁理士ナビ」をご利用ください。
弁理士小山へのリモート相談は、お問合せのページからご連絡ください。以下、弊所へのご相談の場合です。
- 日本全国からご相談いただけます。初回、相談料は無料です。
- インターネットを介したリモート相談となります。弊所からEメールで招待状をお送りしますので、そのメールに記載のリンクをクリックするだけで、ご参加いただけます。あとは、弊所がご提示する画面を見ながら、ご相談いただけます。画面操作はすべて弊所で行いますので、はじめてでもご安心ください。
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- 既に商品販売等でデザインを公開してしまったが、意匠登録しておきたい場合、それ以上の公開はせず、早めにご相談ください。既に公開分については、今さら削除すると、却って面倒なこともありますから、そのままの状態でご相談ください。
- 案件内容、受任状況、侵害警告事件、外国関係など、ご依頼ご相談に対応できない場合もあります。
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関連情報
- 意匠の新規性
- 新規性喪失後の意匠登録出願(意匠登録無効審判:ゲーム機)
- おろし器事件:公報掲載後の新規性喪失の例外適用の可否
- 意匠登録とは・意匠権の取り方
- 意匠登録のメリット・デメリット(意匠登録の必要性)
- 意匠登録費用
- 意匠登録解説
(作成2025.02.08、最終更新2025.03.10)
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