「特許」や「商標登録」などがはじめての方へのご案内です。
新製品を開発して、近々市場に商品を出そうとしています。その商品開発には、景気低迷が続く中、1年の歳月と1000万円の費用が既に投入されています。その元をとる日がいよいよやって来たのです。開発費用を早期に回収して、次期開発費用に回したいところです。
でも、ちょっと待ってください。そのまま市場に商品を出しても大丈夫でしょうか?
市場に出した途端、次々と真似されて、類似品が出回るかもしれません。しかも、真似する会社は、開発費用をかけていませんから、ぐっと安い価格で販売してくるかもしれません。そうなると、これまでの労力と費用は水の泡です。
そこで、予め「特許(とっきょ)」または「実用新案登録(じつようしんあん)」の出願や登録をされることを、ご提案いたします。
技術的なアイデアに関し、その保護を求めて特許庁へ出願し、所定の登録要件を具備していることを認められると、一定期間、権利者のみが独占排他的に製造販売することが約束されます。
ところで、上記のように真似されることは、技術的な点だけでなく、商品デザインにも及ぶかもしれません。需要者は、同じような性能や価格ならば、デザインの優れた方を購入するのが通常です。装飾的・機能的に優れたデザインは、模倣され易いのです。
そこで、予め「意匠登録(いしょう)」の出願や登録をされることを、ご提案いたします。
物品のデザインに関し、その保護を求めて特許庁へ出願し、所定の登録要件を具備していることを認められると、一定期間、権利者のみが独占排他的に、そのデザインの商品を製造販売することが約束されます。同一デザインだけでなく、類似デザインの商品も、独占できます。
また、その新製品には、何かネーミングやマークなどを付けた方がよさそうです。
ネーミングなどを付けなければ、同種の他の商品との差別化を図れません。たとえば、ある商品を購入した需要者が、その価格と対比しつつその商品に満足した場合を考えてみます。もし商品に覚え易いネーミングやマークなどが付されていれば、需要者はそれを頼りに次回も同じ商品を探し出すことができますが、そうでない場合には、需要者は何を頼りに戻ってくればよいのでしょうか。需要者をつなぎ止めておくためにも、ネーミングやマークなどを商品に付けた方がよいでしょう。そうしてこそ、広告宣伝の効果も期待されます。
では、商品にネーミングやマークを付けた場合を考えてみましょう。
その商品が非常に売れ出すと、競合他社も同一類似のブランドで売り出すかもしれません。そのようなことをされたのでは、困りますよね。また、あるいは逆に、あなたが任意に決定したネーミングやマークが実は、他社が既に権利をもっている可能性もあります。その場合には、故意でなくとも、他社の権利を侵害してしまうことになり、製造販売ができなくなったり、損害賠償請求されたりするおそれがあります(同様のことは特許や実用新案などにもいえます)。
そこで、商品にネーミングやマークなどを付ける場合には、予め「商標登録(しょうひょう)」の調査、出願 および登録をされることを、ご提案いたします。
ネーミングやマークなどに関し、その保護を求めて特許庁へ出願し、所定の登録要件を具備していることを認められると、権利者のみが独占排他的に、その商標を商品に付すことができます。他社が同一・類似の商標を使用することを阻止することができます。
なお、銀行業に「トマト」など、商標は、商品だけでなく、サービス(役務(えきむ))にも付けることができます。
上記の例は、ごく簡単な典型例です。実際には、事案に応じて対応する必要があります。また、以上に挙げた「特許」「実用新案登録」「意匠登録」および「商標登録」の他にも、「著作権」や「不正競争」などについても考慮すべき場合があります。
特許、実用新案登録、意匠登録および商標登録の詳細については、知財制度解説をご覧ください。
(作成2002.06.23、最終更新2019.06.13)
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