特許とは何か、特許の対象である発明とは何か、特許の具体例、特許出願から登録までの流れ、特許されるための要件、審査期間、特許される割合、費用、誰が特許を取得できるのか(職務発明、未成年者)などについて、わかりやすく解説します。
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- 本ページの解説動画:特許とは・特許の取り方【動画】
目次
- 特許とは?
- 発明とは?
- 特許の具体例
- 特許出願から登録までの流れ
- 特許要件
- 特許の審査期間
- 特許される割合
- 特許費用
- 特許出願すべき?
- 誰が特許を取得できるの?
- 実用新案登録との違いは?
- 特許出願の注意点
- 特許に関するご相談
- 関連情報
特許とは?
特許とは、技術的アイデア「発明」について、特許出願し審査をパスすることで得られる特許庁への登録をいいます。
特許されることで特許権を得られ、特許権者は、特許発明を独占排他的に実施(製造販売等)することができます。権利侵害に対しては、差止請求権や損害賠償請求権などを行使することができます。また、特許権を侵害した場合には、刑事罰が科される場合もあります。
特許権の存続期間は、原則として、出願日から20年をもって終了します。
特許出願の必要性、特許権取得の意味、特許権の効力については、次のリンク先をご覧ください。
- 特許出願の必要性、特許権取得の意味(【解説動画】へのリンクあり)
- 特許権の効力(【解説動画】へのリンクあり)
発明とは?
特許法の保護対象は、「発明」です。
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。
機械やシステムのような「物」の発明に限らず、製造方法のような「方法」の発明でも構いません。材料自体やコンピュータプログラムも保護対象です。
特許法の保護対象でないものについては、次のリンク先をご覧ください。
特許の具体例
各種装置の開発・改良、アイデア商品、処理や加工の方法、製造の方法、サーバやプログラムなど、様々な技術的アイデアが特許の対象となります。「物の発明」「単純方法の発明」「生産方法の発明」、いずれでも特許を請求できます。
たとえば、計測機器、事務機器、玩具、文房具、農機具、園芸用品、ペット用品、スポーツ用品、土木工事、建築工事、建具、家具、モーター、バルブ、自動車、バイク、工作機械、搬送装置、包装機械、工具、軸受、日用品、雑貨、清掃用具、照明器具、調理器具、介護用品、リハビリ用具、素材、医薬品、化合物、コンピュータシステム、プログラム、電子回路などが特許の対象となります。
権利請求の仕方のイメージは、「特許請求の範囲の具体例」をご覧ください。プリンタ、引戸装置、燃料噴射量制御装置および方法、和菓子の製造方法、魔法瓶の製造方法、化学物質検索装置、売上げ予測プログラム、売上げ予測装置など、様々なものをご紹介しています。
なお、後述しますように、特許を受けるには、審査をパスする必要があります。先行技術と同一でなく、先行技術から容易に考えられる程度でもなく、しかも最も早く出願した者に特許が付与されます。
- 特許・実用新案の実例(審査をパスした特許・実用新案の例)
特許出願から登録までの流れ
特許出願から登録までの流れは、典型的には次のとおりです(pdf:特許手続の流れ図(フローチャート))。
- 特許出願
- 出願審査請求(審査して欲しい旨の請求)
- 審査(特許できない場合には拒絶理由通知が出され、出願人に反論の機会あり)
- 特許査定(特許する旨の通知)
- 設定登録料納付(特許権を維持するには毎年特許料の支払いが必要でその第1~3年分の前払い)
- 特許(特許権の設定登録)
より具体的に述べると、次のとおりです。すなわち、特許を受けたい場合、特許庁に特許出願します。審査を受けて特許を目指すには、出願とは別に、出願日から3年以内に、出願審査請求が必要です。出願審査請求があると、出願は審査官による実体審査に付されます。審査において、審査官は、所定の拒絶理由を発見した場合、出願人に拒絶理由を通知し反論の機会を与えます。拒絶理由通知に対し出願人が応答しないか、応答しても拒絶理由が解消しない場合、拒絶査定がなされます。拒絶査定に対しては、審判や訴訟で争うことができます。一方、拒絶理由を発見しないか、拒絶理由が解消した場合、特許査定がなされます。出願人が設定登録料(第1~3年分の特許料)を納付することで、特許権の設定登録がなされます。
注意すべきは、出願しただけでは特許庁は出願内容を審査せず、別途「出願審査請求」が必要な点です。出願後3年以内に出願審査請求しなければ、出願は取り下げたものとみなされます。
詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 特許出願から登録までの流れ(【解説動画】へのリンクあり)
- 出願審査の請求について(【解説動画】へのリンクあり):なぜ「出願」とは別に「出願審査請求」という手続きを設けているのか?
- 特許出願書類の例(【解説動画】へのリンクあり)
なお、先に他人に出願されていると、後で自分が出願しても、権利を取得できず、手間や費用が無駄になります。また、他人の権利が現在も有効である場合、権利範囲によっては、自分が実施すると、他人の権利を侵害するおそれもあります。そこで、できるだけ、出願前に先行技術調査を行います。特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)では、誰でも無料で、先行する特許出願や実用新案登録出願を調査することができます。「特許・実用新案」の「特許・実用新案検索」をご利用ください。
特許要件
特許出願の審査では、所定の特許要件(登録要件)を満たしているかが審査されます。
代表的な特許要件として、次のものがあります。
- 新規性(しんきせい):先行技術と同一でないか(従来なかったのか)
- 進歩性(しんぽせい):先行技術から容易に発明できないか(通常考えつく程度の改良・改変でないか)
- 先願(せんがん):最先の出願か(一日でも早く出願した者に特許を付与)
詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 特許拒絶理由(【解説動画】へのリンクあり)
特許の審査期間
「出願審査請求」から「特許査定又は拒絶理由通知書」が出願人等へ発送されるまでの期間は、平均10.1か月です(2021年)。
所定の場合、審査を早めてもらうことができ、その場合は、2.7か月です。
特許される割合
特許査定率は、74.8%です(2021年)。
なお、通常、特許事務所ごとの特許率(特許査定率・特許取得率)を知ることはできません。仮にできても、次の理由により、単純に比較することはできません。
- それぞれ異なる案件を処理しており、同一案件での力量を測るものではない。
- 技術分野や取扱件数などにより、特許率は変動する(仮に1件だけを受任して特許にできれば特許率100%となってしまう)。
- 特許の場合、権利範囲を狭めれば特許率を高くできる。そして、出願人により、狭い範囲なら特許は不要との考えと、狭い範囲でも特許が欲しいとの考えがある。
「誤導又は誤認のおそれのある広告等」あるいは「誇大又は過度な期待を抱かせる広告等」に当たるとして、所定の場合を除き、特許率を明示した広告は禁止されております(日本弁理士会「会員の広告に関するガイドライン」)。「所定の場合」とは、「誤導又は誤認を生じるおそれがなく、誇大又は過大な期待を抱かせるものでないことが明らかな場合」をいいます(会員の広告等に関する規則 第4条の2第2号括弧書き)。
詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 特許庁統計【特実編2022年版】
- 特許率(特許査定率・特許取得率)とその注意点
- 事務所比較、特許取得率・商標登録率、顧客、関与事件等の表示の禁止
- 特許事務所ごとの特許率(特許査定率・特許取得率)【動画】
特許費用
特許庁に支払う費用は、特許費用(特許の出願から登録までの費用)をご覧ください。減免措置の対象となる場合があります(中小企業・ベンチャー企業なら特許料金が格安に)。
出願手続を特許事務所の弁理士にご依頼される場合、別途、代理人費用がかかります。代理人費用は、現在自由化されており、事務所により異なります。小山特許事務所の場合、次のリンク先をご覧ください。
特許出願すべき?
実施の有無(製品化の見込み)、先行技術の有無、費用対効果などを考慮する必要があります。
なお、出願は、ご自身でもできますし、代理人(弁理士・弁護士)に依頼することもできます。
(a)特許出願の必要性、(b)特許出願を弁理士に依頼するメリット、(c)弁理士の探し方と注意点については、次のリンク先をご覧ください。
- 特許出願の必要性、特許権取得の意味(【解説動画】へのリンクあり)
- 特許出願を弁理士に依頼するメリット
- 弁理士・特許事務所の探し方と注意点
誰が特許を取得できるの?
原則として発明者が特許を受けることができます。
会社における職務範囲内での従業員の発明については、職務発明となります。職務発明については、契約や勤務規則などにより、会社が出願できることもあります。その場合、従業員は、相応の見返りを受けることができます。
未成年者も特許を受けることができます。
職務発明や未成年者の出願について、詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 職務発明(【解説動画】へのリンクあり)
- 未成年者の特許出願・特許取得(【解説動画】へのリンクあり)
実用新案登録との違いは?
特許と似たものに、実用新案登録があります。
実用新案登録の場合、出願後、実体審査を経ずにまずは登録しておいて、侵害品が出た場合など、必要に応じて審査を受けることになります。
詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 実用新案登録とは・実用新案権の取り方(【解説動画】へのリンクあり)
- 特許と実用新案の違い(【解説動画】へのリンクあり)
特許出願の注意点
(1)特許出願を完了するまで、そのアイデアをむやみに開示するのは危険です。権利がとれなくなったり、アイデアを盗まれたりするおそれがあるからです。原則として、製品を市場に出したり、アイデアを第三者にしゃべったりする前に、まずは特許出願が必要です。
(2)特許は、「発明」の先後ではなく、「出願」の先後にて、一日でも早く特許庁へ出願した者に付与されます。そのため、できるだけ早く出願することが必要です。
(3)出願後にアイデアの追加や修正は基本的にはできません。出願日から1年以内なら、国内優先権制度を利用して、改良発明などを加えた形での権利取得が可能な場合もあります。
特許に関するご相談
◆特許に関するご相談・ご依頼は、特許事務所の弁理士が適任です。特許事務所や弁理士を探される場合、次のページをご覧ください。
◆小山特許事務所では、無料の特許相談を実施しています。詳しくは、次のページをご覧ください。
- 特許相談(直接面談・リモート面談)
◆小山特許事務所では、主として、機械の構造および制御に関する出願を取り扱っています。大型機械から日用品まで幅広く対応します。
- 特許や実用新案がはじめての方でも、オリジナル資料と明瞭会計で、納得安心の登録を目指します。口頭でのご説明の他、解説資料・解説動画で納得いただいた上で手続を進めます。また予め費用の上限をご提示し、その上限費用を超えてのご請求はいたしません。オリジナル資料と明瞭会計については、「小山特許事務所のこだわり(ご利用のメリット)」をご覧ください。
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関連情報
(作成2021.04.27、最終更新2023.05.25)
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