広告ガイドラインを読んでみる(第4条の2)
日本弁理士会は、「会員の広告に関するガイドライン」を定めています。「会員の広告等に関する規則(会令第62号)」とその解説となります。
その内、「第4条の2(広告等において表示又は使用できない事項)」を確認してみます(令和4年1月12日改訂版)。
下記において、緑の枠内は、「会員の広告等に関する規則」の抜粋です。それ以外は、弊所において、編集加工を行っています。また、弊所のコメントを追記した箇所もあります。
さらに詳細な情報、正確な全文、最新の情報は、日本弁理士会の「会員の広告に関するガイドライン」をご覧ください。
なお、特許率についての弊所の考えは、「特許率(特許査定率・特許取得率)とその注意点」もご覧ください。
(広告等において表示又は使用できない事項)
第4条の2 会員は、次の事項を表示し又は使用した広告等をすることができない 。
(1)他の特定の会員との比較
(2)登録率又は勝訴率の表示(誤導又は誤認を生じるおそれがなく、誇大又は過大な期待を抱かせるものでないことが明らかな場合を除く。)
(3)顧客又は依頼者の表示(これらからの書面による同意がある場合を除く。)
(4)受任中又は過去に関与したことのある事件の表示(顧客又は依頼者からの書面による同意がある場合及び広く一般に知られている事件又は依頼者が特定されない場合であって、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。)
第4条の2 会員は、次の事項を表示し又は使用した広告等をすることができない 。
(1)他の特定の会員との比較
(2)登録率又は勝訴率の表示(誤導又は誤認を生じるおそれがなく、誇大又は過大な期待を抱かせるものでないことが明らかな場合を除く。)
(3)顧客又は依頼者の表示(これらからの書面による同意がある場合を除く。)
(4)受任中又は過去に関与したことのある事件の表示(顧客又は依頼者からの書面による同意がある場合及び広く一般に知られている事件又は依頼者が特定されない場合であって、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。)
(1)特定の事務所と比較してはならない。
- 弁理士は、それぞれ異なる事案を処理しており、比較できない。
- 事務所規模、登録率、手数料などで、特定事務所と比較してはならない。
(2)原則として、登録率や勝訴率を表示してはならない。
- 数字は操作することができるし、法域や分野、取り扱い件数等によって大きく相違したり、変動したりする。そのため、数字自体が事実でも、基本的には禁止される。
- 一方、ユーザーに誤導又は誤認を生じるおそれがなく、誇大又は過大な期待を抱かせるものでないことが明らかである場合には、許される。
- 特許の場合、権利範囲を狭めれば特許率を高くできる。一般に、広めの権利範囲を目指そうとすれば、審査で拒絶される可能性が高まる一方、審査での拒絶を避けようとすれば、権利範囲は狭くなりがちとなる。そして、狭い範囲なら特許は不要との考えと、狭い範囲でも特許が欲しいとの考えがあるので、クライアントにより特許率(特許査定率・特許取得率)が左右されるおそれもある。
- 商標の場合、適切な事前調査により、登録率を高くできる。
- 異議・審判・訴訟の場合、取扱件数にも左右される。
- 「格安」「激安」「最低水準の費用」等の表示には、何らかの根拠がなければ、「誤導又は誤認のおそれのある広告等」(4条2号)又は「誇大又は過度な期待を抱かせる広告等」(4条3号)に該当することがある。
(3)原則として、顧客又は依頼者を表示してはならない。
- 弁理士は、守秘義務を負っている。
- 一方、ユーザが弁理士を選択する際の有益な情報であり、予め利益相反について判断できるという利点もあるので、一定の制限を課した上で認める。
(4)原則として、受任中又は過去に関与した事件を表示してはならない。
- 弁理士は、守秘義務を負っている。
- 一方、ユーザが弁理士を選択する際の有益な情報であるので、一定要件下で認める。
関連条文
(基本原則)
第2条 会員が、自己又は自己の業務について広告等をすることは、原則自由とする。ただし、法令並びに会則及び会令を遵守しなければならない。
第2条 会員が、自己又は自己の業務について広告等をすることは、原則自由とする。ただし、法令並びに会則及び会令を遵守しなければならない。
- 広告等は原則自由であるが、但し書きの制限がある。
(禁止される広告)
第4条 会員は、次の広告等をすることができない。
(1)事実に合致していない広告等
(2)誤導又は誤認のおそれのある広告等
(3)誇大又は過度な期待を抱かせる広告等
(4)法令又は会則若しくは会令に違反する広告等
(5)弁理士の信用又は品位を害するおそれのある広告等
第4条 会員は、次の広告等をすることができない。
(1)事実に合致していない広告等
(2)誤導又は誤認のおそれのある広告等
(3)誇大又は過度な期待を抱かせる広告等
(4)法令又は会則若しくは会令に違反する広告等
(5)弁理士の信用又は品位を害するおそれのある広告等
- (1)事実に合致していない広告等、(2)誤導又は誤認のおそれのある広告等、(3)誇大又は過度な期待を抱かせる広告等、(4)法令又は会則若しくは会令に違反する広告等、(5)弁理士の信用又は品位を害するおそれのある広告等、をすることはできない。
- この第4条に該当する禁止広告等の典型例が、(本ページ冒頭の)第4条の2に挙げられている。それ以外で第4条に関連する広告事項の典型例について、広告ガイドラインに解説がある。たとえば、「登録できなかった場合の全額返金サービス」や「地名+商標登録センター」のような表示について、違反行為に当たるか否かの解説もある。
関連情報
(作成2023.04.17、最終更新2023.04.27)
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