特許出願を弁理士に依頼するメリット(弁理士の探し方と注意点も)

いかに優れた発明でも、出願書類の書き方によって、権利化の有無、手続の円滑性、権利範囲の広狭が異なってきます。

特許出願について、弁理士にご依頼されると、以下のようなメリットがあります。実用新案登録出願についても、基本的には同様です。

弁理士・特許事務所の探し方と、探す際の注意点についても述べます。

目次

(1)特許出願を弁理士に依頼するメリット

(2)弁理士・特許事務所の探し方と、探す際の注意点

(3)本ページの解説動画

 


第三者の立場から発明をチェックできます。

◆自分の発明について自分で出願書類を作成すると、説明しなくても発明を十分に分かっているので、当然に分かる事項だとして説明不足を生じるおそれがあります。その結果、「発明が完成していない」「実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない」「発明が明確でない」などを理由に、出願が拒絶されるかもしれません。発明者にとって当然の事項でも、第三者には不明で、補強説明が必要なこともあります。出願書類に記載のない事項を出願後に加入することはできませんから、出願書類の作成には万全を期さなければなりません。弁理士を介在させることで、発明把握や出願書類作成において、第三者(特に審査官)の立場で検討がなされます。不明点や不足点があれば、弁理士が発明を把握できず出願書類を作成できないので、お客様にお問合せすることになり、結果として、審査に耐える出願書類を作成することができます。

◆発明が完全に固まっていない場合でも、弁理士とのやり取りで(出願書類作成に当たって弁理士は具体的構成をお聞きするので)、発明を完成させることができます。また、弁理士とのやり取りで(侵害回避のための代替手段の検討に慣れているので)、改良・改善点や、変更・変形例が見つかることもあります。発明の特徴についても、より拡張したり、異なる観点からご提案できることもあります。

◆特許請求の範囲には、「特許を受けようとする発明」の特定に必須な事項のみを記載する必要があります。弁理士は、技術面と法律面から、権利範囲の特定に必須な事項と、そうでない事項とを見極めて、書類作成いたします。つまり、「どこが発明なのか」を見極めて、書類作成いたします。そして、その発明がいかに優れたものであるか、ストーリーを設定して、出願書類を作成し、特許性の向上に貢献します。

 


出願書類の作成をお任せできます。

方式(様式)の整った出願書類を作成し、門前払いを防止できます。

知り得る限りの先行技術と対比して、また自社製品、他社製品、権利行使の容易性、書類の記載要件なども考慮して、最良と思われる請求項(特許請求の範囲)を作成します。そして、先行技術との違いが分かるように、明細書や図面を作成します。

出願書類作成の手間がかかりません。たとえば、現物があれば、口頭説明だけでも出願依頼できることもあります。

◆特許事務所の弁理士は、多様な案件について、ご相談、先行技術調査、出願書類作成、拒絶理由通知対応などを、多数経験しております。また、特許関係の法令だけでなく、特許庁の審査基準なども把握しております。さらに、外国出願、侵害警告事件、無効審判事件、異議申立事件などについても、経験したり、研修を受けたり、審判決に当たったりしています。これら知識を活用して、弁理士は出願を処理します。弁理士に依頼すると、技術面、法律面、実務面を考慮して、より強い権利を、円滑に取得しやすくなります。絶対的な登録を保証することはできませんが、通常、お客様ご自身が出願処理されるよりも、特許化への可能性を高めることができます。

意匠登録などの他の知財との関係で、助言できることもあります。

 


出願後の手続もお任せできます。

特許出願の場合、出願後にも、各種手続が発生します。期限内に適切な対応をとらなければ、特許化できません。たとえば、次の点について、知っておかなければ、適切に処理できないおそれがあります。それぞれ、詳しくは、知財制度解説をご覧ください。弁理士がいれば、弁理士に任せたり、問い合わせたりすることができます。

  • 【出願処理に必要な事項(知っておきたい用語)】 特許請求の範囲、請求項、出願審査請求、意見書と手続補正書、特許料、新規性と進歩性、先願と拡大先願、最初の拒絶理由通知と最後の拒絶理由通知、新規事項追加、シフト補正、限定的減縮、サポート要件、明確性要件、プロダクトバイプロセス、マルチマルチクレームなど

審査において、(弁理士が代理の案件でも)すぐに特許されるのは少数で、拒絶理由通知に対する応答が必要な場合が多いです。途中から弁理士に依頼するとしても、出願書類の出来が悪い場合、弁理士による対応にも限界があります。

審査において、先行する他社の出願や特許が見つかるかもしれません。また、特許後、他社製品との関係が問題になるかもしれません。そのような場合でも、弁理士にご相談いただけます。

出願後、改良発明が出るかもしれません。時期により対応が異なります。弁理士がいれば、適切な対応を助言することができます。

◆外国出願を取扱いの事務所なら、海外での権利取得についても相談できます。国内の特許事務所を介して外国出願されるなら、最初から特許事務所へご依頼された方が、処理が円滑に進みます。

 


弁理士・特許事務所の探し方と注意点

【特許事務所の選定】 弁理士を探すのに知っていただきたい事項です。

弁理士ナビ

  • 地域や専門で弁理士を検索できます。日本弁理士会の公式ですから、最も信頼できます。
  • これ以外に弁理士を探すなら、ネット検索でしょうが、「**専門」「**に強い」「おすすめ」などは、単なる宣伝文句(広告)でないか、ご確認ください。特定の技術分野の専門ならともかく、たとえば、「特許専門」なら、わざわざ言わないだけで、多くの特許事務所が該当します。「特許出願に強い」も、何をもって強いのか、見極める必要があります。もし特許率(あるいはその高さと関係した返金保証)なら、下記リンク先(特許率とその注意点)もご覧ください。「おすすめ」も、誰がどのような基準(根拠)で決めているのか、確認する必要があります。
  • 公的機関で無料相談が実施されることがあります。しかしながら、あくまで相談に止まり、出願の代理を受け付ける訳ではありません。出願をご依頼される場合、相談担当者の特許事務所などに、別途依頼することになります。費用は、その特許事務所ごとに異なります。相談担当者が弁理士であるなら、結局のところ、特許事務所・弁理士の選択になると思います。
  • 弁護士・弁理士以外は、出願代理することができません。無資格で代理すれば、弁理士法違反で処罰されます。

特許事務所・弁理士の守秘義務

  • いずれの弁理士にご相談いただいても、秘密は守られます。
  • 守秘義務に関連して、既存のお客様との関係で、ご依頼・ご相談に対応できない場合もあります。

特許率(特許査定率・特許取得率)とその注意点

  • 特許される割合と、それを比較する際の注意点についての解説です。

事務所比較、特許取得率・商標登録率、顧客、関与事件等の表示の禁止

  • 日本弁理士会は「会員の広告に関するガイドライン」を定めています。

 


(作成2023.04.30、最終更新2023.05.26)
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