特許と実用新案の費用の比較

目次

 


特許庁統計による平均的な場合の費用を比較

特許と実用新案について、出願から登録までの費用を比較してみます。
特許と実用新案の違いの内、費用以外の違いについては、特許と実用新案の違いをご覧ください。

特許の場合、出願」だけでなく、「出願審査請求」や「設定登録料納付」など、段階に応じて費用が発生します。また、審査において特許できない旨を通知された場合、「拒絶理由通知対応」が必要となります。審査(拒絶理由通知対応)では、請求項(権利請求欄)が増加しない限り、特許庁費用の追加はありません。審査で拒絶査定がなされ、上級審である審判で争うには、別途費用がかかります。

実用新案の場合、基本的に「出願」時に費用が発生します。出願時に出願料だけでなく設定登録料も納付するので、出願時だけのご負担です。実用新案の場合、所望により実用新案技術評価とよばれる審査を受けることができます。その場合、「実用新案技術評価請求」に費用が発生します。その評価に基づき(登録が無効とされないように権利範囲を減縮するなどの)「訂正請求」ができ、その際、費用が必要です。

このように、特許の場合、少なくとも「出願」「出願審査請求」「設定登録料納付」の各段階で費用が発生する一方、実用新案の場合、通常「出願」の段階だけ費用が発生します。そして、実用新案の場合、(必須ではなく)所望により、「実用新案技術評価請求」や「訂正請求」ができ、その際、費用が発生します。

ところで、特許も実用新案も、権利請求するに際し、「請求項」と呼ばれる項に区分して、発明又は考案を特定します。請求項ごとに審査がなされ権利が付与されるため、請求項の数に応じて費用が変わる手続があります。特許庁統計によれば、平均請求項数は9.8です(2022年)。そのため、ここでは、平均的な請求項数10の場合を示しています。請求項について詳しくは、特許請求の範囲についてをご覧ください。

特許庁費用は、軽減又は免除される場合があります。大学、中小企業、個人などは、出願審査請求料や設定登録料などが、「1/2」、「1/3」、又は「免除」される場合があります。詳しくは、お問合せください。後掲の表では、これら減免がなされた場合についても比較しています。

手続を特許事務所(弁理士)にご依頼の場合、「特許庁費用(特許庁の印紙代)」の他、「代理人費用(特許事務所の手数料)」が必要です。代理人費用は、事務所により異なります。発生タイミングも事務所により異なることがあります。小山特許事務所の場合、一般的な費用は、「特許費用」や「実用新案登録費用」のページをご覧ください。打合せを通じてアイデアの内容を把握した上で、お見積りさせていただき、それに納得いただけましたら、正式にご依頼の流れとなります。

個々の手続費用については、後掲の「特許と実用新案の費用の比較表」のとおりです。要点だけを述べれば、次の囲み枠に記載のとおりです。

 

【要点1】特許と実用新案の費用の比較1(実用新案について審査を受けない場合:技術評価請求&訂正請求しない場合)

出願から登録までのトータルで、
特許の場合=213,900円、
実用新案の場合=23,300円(技術評価請求&訂正請求なし)

となります(平均的な請求項数10の場合)。

但し、特許の出願審査請求料と設定登録料について、費用の減免制度があります。その場合、特許の出願から登録までのトータル費用213,900円は、次のとおり安くなります。
1/2に軽減される場合(中小企業、大学など)=113,950円
1/3に軽減される場合(小規模企業(法人・個人事業主)など)=80,620円

なお、手続を特許事務所(弁理士)にご依頼の場合、別途、代理人費用(特許事務所の手数料)が必要です。

 

【ご参考】 2022年の実用新案登録出願件数は4,513件ですが、実用新案技術評価書の作成件数は281件です。そのため、実用新案技術評価を請求しない方が多いといえます。実用新案技術評価を請求すると、「実用新案登録に基づく特許出願(特許への変更)」や「実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的とする訂正(権利範囲の修正等)」が制限されるので、評価請求すべき機会(たとえば侵害品を排除したい状況)が生じるまで、温存することになります。また、出願・登録するだけでも一定の効果がありますから、評価請求は必須ではありません。すなわち、出願・登録することで、後から出願した他社に権利を取られることはなくなるし、他社を牽制することもできます(実用新案は意味がないのか)。

 

【要点2】特許と実用新案の費用の比較2(実用新案について審査を受ける場合:技術評価請求&訂正請求する場合)

実用新案技術評価とその後の訂正も含めた比較をすると、
特許の場合=213,900円、
実用新案の場合=76,700円(技術評価請求&訂正請求あり)

となります(平均的な請求項数10の場合)。

但し、特許の出願審査請求料と設定登録料について、費用の減免制度があります。その場合、特許の出願から登録までのトータル費用213,900円は、次のとおり安くなります。
1/2に軽減される場合(中小企業、大学など)=113,950円
1/3に軽減される場合(小規模企業(法人・個人事業主)など)=80,620円

なお、手続を特許事務所(弁理士)にご依頼の場合、別途、代理人費用(特許事務所の手数料)が必要です。

 

【ご参考】もし当初から実用新案について技術評価を受けることが前提なら、しかも特許について1/2や1/3への軽減を受けられるなら、特許出願もご検討ください。詳しくは、特許か実用新案かの費用面からの検討をご覧ください。

 


特許と実用新案の費用の比較表

  • 典型的な場合の費用を示しています。追加手続、追加費用が発生することもあります。
  • 2023年9月27日現在の情報です。特許庁費用は、改定される場合があります。
  • 特許庁統計による平均的な請求項数10の場合を示しています。これ以外の場合についての特許庁費用は、特許費用(印紙代)実用新案登録費用(印紙代)をご覧ください。
  • 特許庁費用は、軽減又は免除される場合があります。詳しくはお問合せください。
  • 代理人費用(特許事務所の手数料)は、事務所により異なります。発生タイミングも事務所により異なることがあります。小山特許事務所の場合、特許費用(印紙代&手数料)実用新案登録費用(印紙代&手数料)をご覧ください。
  • 書面(紙)で手続される場合、手続にもよりますが、別途、電子化手数料が必要です。
  • プリントアウト用pdfファイル特許と実用新案の費用の比較

特許と実用新案の費用の比較

以上の事実に基づき、特許と実用新案のどちらにすべきかは、特許か実用新案かの費用面からの検討もご覧ください。

 


関連情報

 


(作成2023.09.27、最終更新2023.09.30)
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