意匠審決の読解12(類否判断事例)

【12】不服2022-13618

意願2021-6762「収納容器」拒絶査定不服審判事件

原査定を取り消す。本願の意匠は、登録すべきものとする。

意匠法第3条第1項第3号(新規性)、第10条第1項(関連意匠)

【弊所メモ】公知日が不明、引用意匠として認定できない、各部の具体的形状が不明、当該分野において他にも見受けられる、需要者が注目、共通点が需要者にまとまった1つの美感を与える、関連意匠

◆図面・写真・画像は、審判番号から、特許庁の審決公報をご覧ください。

 


第1 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

(1)原査定における拒絶の理由について

 引用意匠は、本願意匠の出願前に、下記ウェブサイトに掲載された収納容器の意匠(別紙第2)である。

 ・掲載者の名称 Amazon.com, LLC

 ・表題 Amazon.com: HOMZ Handles, Storage Bin, Waterproof, Light Blue Base, White Rope Flexible Tub : Home & Kitchen

 ・・・・・

(2)引用意匠について

 別紙第2の第2頁によれば、「←引用意匠」の挿入見出しで示された「意匠A」は、本体部が青灰色であり、把手部が薄灰色である。そして、第3頁には、「※掲載年月日・2020年12月8日」の挿入見出しが添えられたレビュー内に「意匠B」が現されており、意匠Bの本体部は濃褐色であって、把手部は黄白色である。

 そうすると、意匠Aと意匠Bは、色彩の異なる別意匠であると判断せざるを得ず、意匠Aについては、公知となった日時が不明である。したがって、意匠Aを引用意匠として認定することはできないので、本願意匠は、原査定における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできない。

 なお、意匠Bについては、斜視方向から見た形状等が現されているのみであり、また、内部に多数の木片が収められているため、各部の具体的形状が不明であるから、本願意匠の形状等と十分に対比をすることができない。

 

第2 本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かについて

 本願意匠と本意匠は、意匠に係る物品が同一であり、形状等についても、主たる相違点が本体部の上端形状であって、本願意匠のその形状が水平状であるところ、本体部の上端形状を水平状にすることは収納容器の物品分野において他にも見受けられるから、需要者が本願意匠の上端形状に注目するとはいい難いので、本体部の上端形状に係る相違点は類否判断に大きな影響を及ぼさない。

 他方、本願意匠と本意匠は、本体部の長手方向の両側面に荒縄の把手部が設けられている点で共通しており、この共通点が需要者にまとまった1つの美感を与えているから、本願意匠は本意匠に類似するということができる。

 したがって、本願意匠は、関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。

 


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正確な全文は、審判番号から審決公報をご確認ください。
(作成2023.12.31、最終更新2023.12.31)

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