各種投稿

意匠登録のメリット(必要性)【要点・図表】の動画解説

意匠登録のメリット(必要性)【要点・図表】について、解説動画をYouTubeに投稿しました(3分14秒)。

意匠登録のメリット(必要性)のまとめです。弊所オリジナルの図表で確認してみます。

左側のグレーの欄に記載の課題(お悩み)があり、それを「意匠登録(いしょうとうろく)」で、右側のように解決できると考えています。右側のグリーンの欄が、意匠登録のメリットになります。

2026年の情報であり、弊所の見解です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


意匠登録のメリット(必要性)【要点・図表】の動画解説

 


(作成2026.02.25、最終更新2026.02.25)
Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠審決の読解18(共通点に比べ相違点が類否判断に与える影響が大きく非類似)

【18】不服2025-9825

意願2024-500946「車両用グリル」拒絶査定不服審判事件

原査定を取り消す。本願の意匠は、登録すべきものとする。

意匠法第3条第1項第3号(新規性)

【弊所メモ】本願出願前には引用意匠以外に見られない態様、特定の角度から見た部分的な一致、意匠全体に占める割合、需要者の注意、一枚の厚板からなる一体的でシンプルな印象、複数の部材からなる複雑な印象、印象を強める、本願出願前から公然知られていて本願意匠にのみ見られる態様ではない、略横長で扁平である印象、比較的縦横のバランスが取れている印象、共通点に埋没する程度の僅かな相違

◆図面・写真・画像は、審判番号から、特許庁の審決公報をご覧ください。

 


1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

 どちらも車両用のグリルであるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

 

(2)両意匠の形状等

 ア 共通点

(共通点ア)全体

 全体を、正面視略横長かまぼこ状の枠にメッシュを設けたものとし、真ん中に略縦棒状の仕切りを設け、該仕切りの上端寄りに略横長楕円形状のプレートを形成している点

(共通点イ)仕切りの態様

 仕切りは、下端近傍が、下端に向かって裾広がり状に形成している点

 

 イ 相違点

(相違点ア)全体

 本願意匠は、枠、メッシュ及び仕切りが、おおむね同じ厚みで同一平面をなす略厚板状のものであるに対し、引用意匠は、メッシュを枠及び仕切りの背面側に取り付けたものである点

(相違点イ)プレート

 本願意匠は、プレートが、仕切りとおおむね同じ厚みで同一平面をなすのに対し、引用意匠は、仕切りの表面側に取り付けている点

(相違点ウ)メッシュの孔

 本願意匠は、正面視ハニカム状の略角丸六角形状であるのに対し、引用意匠は、メッシュの孔の形状が略楕円状である点

(相違点エ)全体の縦横の長さの比

 本願意匠は、約1:1.8であるのに対し、引用意匠は、約1:2.3である点

(相違点オ)枠の両側の立ち上がり角度

 本願意匠は、約80度であるのに対し、引用意匠は、約70度である点

(相違点カ)仕切りの上端

 引用意匠は、仕切りの上端近傍が、上端に向かって湾曲して広がっているのに対し、本願意匠は、広がっていない

 

2 両意匠の類否判断

(1)意匠に係る物品

 両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。

 

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価

 ア 共通点の評価

(共通点ア)

 この種物品の分野において、全体を、正面視略横長かまぼこ状の枠にメッシュを設けたものとし、真ん中に略縦棒状の仕切りを設け、該仕切りの上端寄りに略横長楕円形状のプレートを形成しているものは、本願出願前には引用意匠以外に見られない態様であるが、正面という特定の角度から見た部分的な一致にとどまるから、(共通点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度である。

(共通点イ)

 仕切りの下端は、意匠全体に占める割合が小さく、格別、需要者の注意を惹かないから、(共通点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

 

 イ 相違点の評価

(相違点ア)

 本願意匠は、枠、メッシュ及び仕切りが、おおむね同じ厚みで同一平面をなす略厚板状のものであることで、需要者に、全体が一枚の厚板であり、一体的でシンプルな印象を与えているのに対し、引用意匠は、メッシュを枠及び仕切りの背面側に取り付けたものであることで、需要者に複数の部材からなる複雑な印象を与えていることから、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

(相違点イ)

 プレートが、仕切りとおおむね同じ厚みで同一平面をなすことで、全体が一枚の厚板である印象を強めるのに対し、引用意匠は、プレートを、仕切りの表面側に取り付けていることで、複数の部材からなる複雑な印象を強めることから、需要者に別異の印象を強く与えており、(相違点イ)が、(相違点ア)と相まって、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

(相違点ウ)

 この種物品の分野において、メッシュの孔を正面視ハニカム状の略角丸六角形状としたものは、参考意匠に見られるとおり、本願出願前から公然知られており、本願意匠にのみ見られる態様でなく、格別、需要者の注意を惹くものではないから、(相違点ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

(相違点エ)

 引用意匠は、12.3であり、略横長で扁平である印象を与えているのに対し、本願意匠は、11.8であり、比較的縦横のバランスが取れている印象を与えていることから、(相違点ウ)が、両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものである。

(相違点オ)及び(相違点カ)

 メッシュの外形の左右の辺の立ち上がり角度(相違点オ)及び仕切りの上端の態様(相違点カ)は、意匠全体を占める割合が小さく、(共通点ア)に埋没する程度の僅かな相違であるから、(相違点オ)及び(相違点カ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

 

(3)両意匠の形状等の類否判断

 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、

 (共通点ア)及び(共通点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度又は小さいのに対し、

 (相違点ウ)から(相違点カ)が、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度又は小さいものの、

 (相違点ア)及び(相違点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きく需要者に別異の印象を強く与えるものであるから、相違点全体が相まって、両意匠の類否判断に与える影響が大きいものである。

 したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない

 


関連情報

 


弊所独自の観点で、編集・加工を行っています。
正確な全文は、審判番号から審決公報をご確認ください。
(作成2026.02.20、最終更新2026.02.20)

Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

秘密意匠について(必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用)【動画】

秘密意匠について(必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用)について、解説動画をYouTubeに投稿しました(6分45秒)。

秘密意匠とは何か、秘密意匠の必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用について、わかりやすく解説します。

2026年2月現在の情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


秘密意匠について(必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用)【動画】

 


(作成2026.02.20、最終更新2026.02.20)
Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠審決の読解17(共通点は公知であるが、相違点は先行意匠に照らして本願意匠のみの特徴的なもの)

【17】不服2025-9614

意願2024-7657「浴槽」拒絶査定不服審判事件

原査定を取り消す。本願の意匠は、登録すべきものとする。

意匠法第3条第1項第3号(新規性)

【弊所メモ】外形状、内部の形状等、需要者の注意を強く惹く部分、共通点は出願前から公然知られている、両意匠にのみ見られる態様とはいえない、姿勢の安定性や出入りのしやすさを想起、秩序のある凹凸に富む入り組んだ印象、先行意匠に照らして本願意匠のみの特徴的なもの

◆図面・写真・画像は、審判番号から、特許庁の審決公報をご覧ください。

 


1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

 いずれも「浴槽」であり、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

 

(2)両意匠の形状等

 ア 共通点

 (共通点ア)全体について、平面から見た浴槽の輪郭形状を、浴槽の左右をそれぞれ同径の略円形部とし、その両円形部と最もくびれた中間部とを滑らかな略凹弧状でつなぎ、一体となるように形成した略落花生形状としている点

 (共通点イ)縁部について、平面視において端部を略鋭角状の細幅とし、正面視において縁部全体を水平に形成している点

 (共通点ウ)壁部について、正面視において縁部から外壁の下方に向けて外方向に緩やかに傾斜させ、外壁の下部付近で丸みのある膨らみを有する点

 

 イ 相違点

 (相違点ア)内壁下方について、平面視において本願意匠の内壁には左側及び右側の略円形部の最も膨らんだ箇所に互いに対向するように、略変形三角形状の載置台を計4つ形成しているのに対し、引用意匠の内壁には載置台が確認できない点

 (相違点イ)浴槽底部について、平面視において本願意匠の浴槽底部には略円形部と中間部との境界部分にそれぞれ直線状の段差を形成しているのに対し、引用意匠の浴槽底部は、お湯が張られているため、具体的に特定出来ない点

 

2 両意匠の類否判断

(1)意匠に係る物品

 両意匠の意匠に係る物品は浴槽であり、一致するから、同一である。

 

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価

 両意匠は、床面に設置する「置き型」と呼ばれるタイプの浴槽であり、設置後も浴槽の外形状全体が見られることから、浴槽の外形状は、需要者の注意を強く惹く部分である。また、浴槽は内部に湯を張り、座って入浴することから、外形状だけでなく浴槽の内部の形状等も需要者の注意を強く惹く部分である。

 

 ア 共通点の評価

 この種物品分野について、

 (共通点ア)浴槽の左右を同径の略円形部とし、その両円形部と最もくびれた中間部とを滑らかな略凹弧状でつなぎ、一体となるように形成した略落花生形状の輪郭形状とするものは、例えば、参考意匠1に見られ、

 (共通点イ)縁部を平面視において略鋭角状の細幅とし、縁部全体を水平とするものは、例えば、参考意匠2に見られ、

 (共通点ウ)壁部を正面視において縁部から外壁の下方に向けて緩やかに外方向に傾斜させ、外壁の下部付近で丸みのある膨らみを有するものは、例えば、参考意匠3に見られるとおり、

 いずれも本願出願前から公然知られており、両意匠にのみ見られる態様とはいえないが、(共通点ア)から(共通点ウ)は、両意匠の外形状全体の態様を表し、共通感を醸し出しているから、両意匠の類否判断に一定の影響を与えている

 

 イ 相違点の評価

 (相違点ア)は、内壁下方に係るものであって、本願意匠が内壁に左側及び右側の略円形部の最も膨らんだ箇所に互いに対向するように載置台を計4つ形成したものであり、入浴中の姿勢の安定性や入浴時の出入りのしやすさを想起させるととともに、秩序のある凹凸に富む入り組んだ印象であるのに対して、引用意匠は内壁に載置台が確認できないことから、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

 (相違点イ)は、浴槽底部の形状等についての細部に係る態様の相違点であるが、中央部が左右よりも低くなっている本願意匠の態様は、この種物品の先行意匠に照らして、本願意匠のみの特徴的なものであり、引用意匠の浴槽底部が特定できないことを踏まえても、(相違点イ)が、類否判断に与える影響は一定程度ある。

 

 ウ 形状等の類否判断

 上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、両意匠の形状等について、共通点が類否判断に与える影響は一定程度であるのに対して、相違点が類否判断に与える影響は大きいか、一定程度あって、需要者に別異の美感を与えているというべきであるから、両意匠の形状等は、類似しない。

 

(3)小括

 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形状等においては、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に別異の美感を与えているというべきであるから、両意匠は類似するということはできない。

 


関連情報

 


弊所独自の観点で、編集・加工を行っています。
正確な全文は、審判番号から審決公報をご確認ください。
(作成2026.02.18、最終更新2026.02.18)

Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠審決の読解16(両部分の位置大きさ範囲は一致、形状等も類似するが、用途及び機能が相違し非類似)

【16】不服2025-14379

意願2024-17854「包装用噴射器」拒絶査定不服審判事件

原査定を取り消す。本願の意匠は、登録すべきものとする。

意匠法第3条第1項第3号(新規性)

【弊所メモ】部分意匠の類否判断。意匠に係る物品は同一、両部分の位置・大きさ・範囲は一致、両部分の形状等は類似するが、両部分の用途及び機能は類似しておらず、用途及び機能の相違が類否判断に与える影響が極めて大きいため、本願意匠は引用意匠に類似しない。

◆図面・写真・画像は、審判番号から、特許庁の審決公報をご覧ください。

 


1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

 どちらも液体等の内容物を収容して注出する容器であって、その用途及び機能は共通しているから、意匠に係る物品は、一致する。

 

(2)両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲

 ア 両部分の位置、大きさ及び範囲

 両部分は、いずれも容器本体の上端部に設けられた注出口の周囲の、容器本体よりやや縮径させた位置から上方に、突出して注出口の外側に設けた略円筒状の周壁であり、容器全体に占める位置、大きさ及び範囲は一致する。

 

 イ 両部分の用途及び機能

 両部分は、周壁により注出口付近に空間を設けるという点では機能の一部に共通性が認められるが、空間の用途は相違しており、その他の用途及び機能についても、以下のように一致しない

 本願部分は、キャップの噴射口周りの略円筒状の周壁であり、その用途及び機能は、本願部分を噴射対象物である布製身回品に押しつけることで、内容物を噴射口から噴射し、また、噴射される内容物を布製身回品と共に区画して空間を構成する用途及び機能を有している。

 一方で、引用部分は、キャップの一部である周壁箇所であり、キャップを下にして容器を倒立させて保管する際に、注出開口と接地面が接触しないように空間を設ける用途及び機能を有しており、両部分の用途及び機能は一致しない

 

(3)両部分の形状等

 ア 共通点

 両部分は、全体が一定の厚みの略短筒形状である点において、共通する。

 

 イ 相違点

 全体の縦、横(径)の長さの比率について、本願部分が約1:3.14であるのに対し、引用部分は、約1:3.57で、本願部分の方が引用部分より縦長である点において相違する。

 

2 両意匠の類否判断

(1)意匠に係る物品

 両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。

 

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能

 両部分の位置、大きさ及び範囲は一致する。また、両部分は注出口付近に空間を設けるという、一部の機能について共通する。

 しかしながら、本願部分は、当該部分を噴射対象物である布製身回品に押しつけることで、内容物を噴射口から噴射し、また、噴射される内容物を布製身回品に浸透させるため、布製身回品と共に区画して空間を構成する用途及び機能を有しているのに対し、引用部分は注出開口と接地面が接触しないように空間を設ける用途及び機能を有しており、両部分は用途及び機能に相違点を有している。

 この相違点は、当該箇所の可動性にも係る相違点であり、すなわち、当該箇所が使用時において、本願部分は下方に押し込まれるのに対し、引用部分は固定されているといった相違も相まって、需要者の注意を引くものである。

 そうすると、需要者は、本願部分について主に、内容物の噴射が空間内に行き渡るかとの観点から観察するのに対し、引用部分については、倒立させた際、抽出口が接地しない程度の間隔が設けられるかとの観点から観察することとなる。この観点の相違は、両部分について、需要者に異なる美感をもたらすものといえる。

 したがって、両部分の用途及び機能は一致しておらず類似していないのであって、当該用途及び機能の相違が両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい

 

(3)両部分の形状等

 ア 共通点の評価

 両部分は、一定の厚みの中空円筒形状である点において共通しており、この共通点は需要者に共通の美感を強く与えていることから、両部分の共通点が類否判断に与える影響は大きい

 

 イ 相違点の評価

 両部分においては全体の縦、横径の長さの比率について、本願部分が約1:3.14であるのに対し、引用部分は、約1:3.57で、本願部分の方が引用部分より縦長であるものの、その差はわずかであるから、相違点が両部分の類否判断に与える影響は小さい

 

 ウ 形状等の類否判断

 両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両部分の類否判断に与える影響は大きいのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるから、両部分の形状等は、類似する

 

(4)小括

 そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の位置、大きさ及び範囲は一致し、両部分の形状等においては類似するが、両部分の用途及び機能は類似しておらず、当該用途及び機能の相違が類否判断に与える影響が極めて大きいため、本願意匠は引用意匠に類似しない

 


関連情報

 


弊所独自の観点で、編集・加工を行っています。
正確な全文は、審判番号から審決公報をご確認ください。
(作成2026.02.18、最終更新2026.02.18)

Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

秘密意匠について(必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用)

意匠登録後の公報発行によるデザイン公開を遅らせたい方へ

秘密意匠とは何か、秘密意匠の必要性、メリット・デメリット、請求手続、請求費用(特許庁費用と弁理士費用)について、わかりやすく解説します。

前提となる意匠(いしょう)や意匠登録については、「意匠登録とは・意匠権の取り方」をご覧ください。

目次

 


はじめに

新商品のデザインである意匠(いしょう)を保護したい場合、特許庁に意匠登録する必要があります。意匠登録するには、特許庁に意匠登録出願して、審査をパスしなければなりません。審査をパスして意匠登録されると、登録意匠と同一・類似の意匠を、独占的に実施(製造販売等)することができます。

意匠登録されると、その内容は、意匠公報(登録公報)に掲載されるのが原則です。第三者の実施を制限する関係上、権利内容を広く知らせる必要があるためです。この例外となるのが、秘密意匠制度です。

 


秘密意匠とは

秘密意匠とは、出願人の請求により、意匠権の設定登録日から3年以内の期間を指定されて、その期間だけ公報掲載されずに秘密にされる意匠をいいます。

意匠登録後、指定期間(最長3年間)、登録意匠の内容は公開されません。どのような物品等について、どのようなデザインで意匠登録されたのか、意匠公報には掲載されません。

◆意匠登録後、最初の公報(登録時の公報)には意匠の内容は掲載されず、秘密期間経過後の秘密意匠解除公報に意匠の内容が掲載されます。

◆秘密意匠は、意匠登録されても、指定期間だけ、登録意匠の内容が公報に掲載されないので、模倣や転用を防止できると共に、商品発売まで斬新性を保つことができます。

追加費用が必要で、権利行使に制約も出るなど、デメリットもあります。

秘密意匠

 


秘密意匠の必要性

意匠登録制度は、本来、新規な創作を開示した代償として、意匠権を付与して、一定期間の独占的な実施(製造販売等)を認める制度です。公衆への公開が条件ですから、特許庁への出願が審査をパスして意匠登録されたなら、登録意匠の内容は、意匠公報(登録公報)に掲載されます。第三者としても、登録意匠と同一・類似範囲では実施が制限されますから、どのような意匠に権利が付与されたかを知る必要があります。

しかしながら、意匠は、目で見て分かり非常に模倣されやすいです。そのため、新商品の発売まで、秘密状態を確保する必要があります。発売前にデザインが公開されたのでは、斬新性が損なわれ、売れ行きに影響を与えるおそれもあります。

一方で、出願日を基準に審査される関係上、一日でも早く出願する必要があり、必ずしも商品完成後に出願するものではありません。そのため、商品発売前に意匠登録され公報発行される場合もでてきます。

このような意匠特有の事情を考慮して、意匠登録されても所定期間だけ、「秘密意匠」として、登録意匠の内容を秘密にすることができるようにしています。

 


秘密意匠のメリット

登録後、最長3年間、登録意匠の内容を秘密状態にできます。

模倣や転用を防止できると共に、商品発売までデザインの斬新性を保つことができます。

どのような内容で意匠登録したのか不明ですから、他社をけん制できます。つまり、登録内容が分かれば、他社はそれを回避する手段を考えることができますが、そもそもの登録内容が不明ですから、対処が難しくなります。

◆開発途中で生じた各種デザインを取り敢えず登録しておいて、秘密状態でストックしておき、その中から商品化を目指すこともできます。

 


秘密意匠のデメリット

第三者は権利内容を知らない訳ですから、権利行使に制約が生じます。具体的には、次のとおりです。

製造販売等の差止めを求める際、登録意匠の内容などを記載した書面であって、特許庁長官の証明を受けたものを提示して、まずは警告することが条件となります。

損害賠償を求める際、侵害者側に過失があったことを、権利者側が立証しなければなりません。なお、損害賠償請求の要件として、侵害者側に故意・過失があったことが要件となりますが、秘密意匠ではない通常の意匠登録なら、侵害者側に過失があったものと推定されます。

秘密意匠の請求がなければ、未然に防止できたかもしれない紛争が生じるおそれがあります。つまり、他社権利を侵害しないように事前に登録公報を調査しても、登録内容が公開されていないので、知らずに権利侵害してしまう人が出る可能性があります。その場合、その対応が必要となります。

 


秘密意匠の請求手続

意匠登録出願人が請求できます。

意匠登録出願時、または設定登録料納付時(審査パス後の第1年分の登録料納付時)に、請求できます。

登録日から3年以内の期間を指定して、請求できます。

 


秘密意匠の請求期間の変更

◆登録日から3年以内の期間でしたら、秘密請求期間について、延長または短縮ができます。

 


秘密意匠の請求費用

特許庁印紙代として、5,100円が必要です(2026年2月現在)。

◆弊所では、手数料無料、印紙代のみでご利用いただけます。

 


意匠登録のご相談

秘密意匠など、意匠登録に関するご相談・ご依頼は、お問合せのページからお気軽にご連絡ください。

◆日本全国からオンラインでリモート相談できます。弊所からEメールをお送りするので、そのメールに記載のリンクをクリックするだけでご参加いただけます。

◆出願へ向けたご相談は、初回60分まで無料です。費用が発生する場合、事前に申し上げます。

◆出願から登録までの流れと費用をご説明させていただきますので、その上で、正式に依頼するか否かを決めていただけます。ご相談時にその場で依頼の有無を決める必要はございません。

意匠登録とは・意匠権の取り方

小さな会社のはじめての意匠登録:弁理士への出願相談

ハンドメイド作家さんのための「手の届く」意匠登録サービス【出願すべきかのチェックリスト】

 


関連情報

 


(作成2026.02.11、最終更新2026.02.13)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠登録出願すべきかのチェックリスト【動画】

意匠登録出願すべきかのチェックリスト」について、解説動画をYouTubeに投稿しました(5分31秒)。

意匠登録出願すべきかのチェックリストのご紹介です。意匠出願すべきか否か、意匠登録の必要性についてのセルフチェックリストです。該当項目が多いほど、意匠登録出願をおすすめします。特に、8番と10番に該当するなら、出願をご検討ください。

ハンドメイド作家さんを想定していますが、それ以外の方も同様にご利用いただけます。「作品」を「製品」または「商品」と読み替えてください。

2026年2月現在の情報であり、弊所の見解です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


意匠登録出願すべきかのチェックリスト【動画】

 


(作成2026.02.04、最終更新2026.02.04)
Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠登録の出願理由(なぜ意匠登録するのか、登録のメリット)【動画】

意匠登録の出願理由(なぜ意匠登録するのか、登録のメリット)について、解説動画をYouTubeに投稿しました(20分19秒)。

意匠登録(いしょうとうろく)する理由、意匠登録出願する理由、意匠登録のメリットについて、意匠登録の現場からご紹介します。

新製品のデザインや、新作のハンドメイド作品のデザインなどについて、製造販売等を独占したい場合、意匠登録する必要があります。

中小企業様や個人事業主様から様々な意匠登録相談を受ける中で分かった「なぜ意匠登録するのか」、「出願(申請)する理由は何か」、「意匠登録するメリット」について、“実際の肌感覚”でご紹介します。

2026年1月現在の情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


意匠登録の出願理由(なぜ意匠登録するのか、登録のメリット)【動画】

 


(作成2026.01.01、最終更新2026.01.01)
Copyright©2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠登録の出願理由(なぜ意匠登録するのか、登録のメリット)

目次

 


はじめに

意匠(いしょう)とは、物品等のデザイン(形状、模様、色彩又はこれらの結合)をいいます。新製品のデザインや、新作のハンドメイド作品のデザインなどについて、製造販売等を独占したい場合、意匠登録する必要があります。意匠登録を受けるには、特許庁に意匠登録出願(申請)して、審査をパスしなければなりません。意匠登録出願すると、同一・類似のデザインが過去にないかや、創作容易でないかなど、所定の登録要件について審査されます。審査をパスして意匠登録を受けることで、登録意匠のみならず類似意匠についても、独占的に製造販売等することができます。他社が勝手に実施すれば、意匠権の侵害として、製造販売等の差止めや損害賠償などを請求できます。

弁理士小山は、中小企業様や個人事業主様から意匠登録の出願・申請について、様々なご相談に対応してまいりました。完全な個人事務所ですが、意匠登録の出願・申請について、年間数十件以上、ご相談いただいております。ほとんどの方は、意匠登録がはじめての方です。アンケートした訳ではありませんし、お伺いしてもおりませんが、ご相談時の雑談の中で、ご相談者様から、意匠登録する理由をお話いただくことがあります。

そこで、これまでの経験を踏まえて、「なぜ意匠登録するのか」、「出願(申請)する理由は何か」、「意匠登録するメリット」について、“実際の肌感覚”でご紹介したいと思います。以前、「意匠登録のメリット・デメリット」を投稿済ですが、今回はもう少し具体的な「意匠登録の出願理由(なぜ意匠登録するのか、登録のメリット)」のご紹介です。ここでは、基本的に、異なる相談者様から複数回お聞きした理由を中心に、ご紹介いたします。互いに重複・関連する項目もありますが、ご了承ください。

もちろん、意匠登録する理由は、会社により、人により異なります。なぜ意匠登録するのかの審査はありませんし、弊所でもお尋ねしませんから、意匠登録について、もしご興味があれば、お気軽にご相談ください。

 


意匠登録の出願理由(意匠登録する理由・メリット)

(1)他社に真似されないようにしたい。

◆新製品を発売すると、すぐに他社に真似されそうなので、意匠登録しておきたい。

以前、デザインを真似されたことがあるので、今回は、意匠登録しておきたい。

◆アマゾン(Amazon)や楽天市場(Rakuten)で販売するが、ライバルの参入を防いで販売を独占したい

◆メルカリ(Mercari)などのフリマアプリや、ベイス(BASE)などのネットショップで販売したいが、自分の作品が真似されるのは嫌だ

◆ハンドメイドの教室・ワークショップをやりたいが、受講者が勝手に商品販売までするのは認めない

◆他社に商品化を提案または製造委託したいが、デザインを盗まれないか心配なので、先に意匠登録しておきたい。

◆市販の部品を用いて誰でも簡単に作れるので、真似されないようにしたい。

◆起業に向けて準備しているが、開業後に販売する主力商品については、保護しておきたい。

【解説】意匠登録を受けることで、登録意匠と同一・類似の意匠について、製造販売等を独占することができます。他人が勝手に実施すれば、意匠権侵害として、製造販売等の差止めや損害賠償などを請求できます。

 

(2)自分が1番に考えたことを残したい。

◆自社商品を発売(自分の作品を発表)すると、すぐに他社に真似された上、(自社の会社規模からして)その他社のコピー商品の方が、自社商品よりも売れて有名になるかもしれない。そうなると、自社商品がまるで模倣品のように思われるのではないかと心配している。自社が(自分が)本家本元であることを確保したい

◆従来の市販品の欠点をなくす商品を考えた。一番に考えたのは自分だから、その証明が欲しい。

◆老い先短い。これまでの経験を、最後に形あるもので残したい

◆当面、自分で(自社で)使用して商品化する予定はないが、他社に先に出願されては困る

◆自分自身で使ってみて便利だから、今後商品化したいが、それまでに他社に先に出願されないか心配だ

◆広くいろんな人に使って欲しいし、模倣品が出ても権利行使するつもりもないが、他人が勝手に出願したり、誰のデザインか不明になるのは嫌だ

【解説】意匠登録を受けると、意匠登録公報が発行されると共に、意匠登録証が交付されます。それにより、いつ誰が創作したかを公的に残せます。いまでも、明治からの登録公報を、誰でもネットで見ることができます。

また、意匠登録されるということは、従来、同一・類似のデザインがなかったことになります。理論上、「世界になかったデザイン」ということになります。意匠登録後、意匠登録済であることの権利表示が可能ですから、自分が本家本元であることのアピールに使えます。

 

(3)他社の権利を侵害することなく安心して販売したい。

抵触する他人の意匠権がないかを確認したい。商品販売後、他人から文句を言われたくない。警告を受けたり、侵害訴訟になったりするのは、避けたい。

◆ハンドメイド作品を展示即売するイベント(ハンドメイドマルシェ、手作り市)に出展したり、あるいはSNSに投稿したりしたところ、他の作家さんから「似ている」と文句を言われた。あるいは、ある特徴を有する作品には、片っ端から侵害している旨のメッセージを送る人がいるらしい。全く似ていないと思うので、何らかの保険をかけておきたい。

【解説】意匠の登録要件の一つとして、「新規性」や「先願」があります。出願前に知られた意匠と同一・類似の意匠は、新規性がないとして、意匠登録を受けることができません。また、同一・類似の意匠について、先行する意匠登録があった場合も、意匠登録を受けることができません。

そのため、意匠登録出願の審査を受けることで、他人の意匠権との抵触も確認できます。言い換えれば、他人の権利を侵害しないかについて、自社で製造販売等する際の一つの安心材料を得ることができます。

但し、やや専門的になりますが、他人の登録意匠等との利用関係や、特許権等との抵触関係までは審査されません。そのため、意匠登録を受けても、製造販売等できない場合もあり得ます。たとえば、登録意匠の一部(部品や部分)について、他人が先に意匠登録を受けている場合などです。あるいは、意匠登録ではなく、他人が特許を有する場合などです。

しかし、このような例外はあるものの、意匠登録が一つの安心材料にはなります。また、先行登録意匠との関係では、出願の仕方を工夫することで、ある程度、リスクを低減できます。

なお、特許や商標の場合、出願して拒絶になると、その情報は公開されますが、意匠の場合、仮に拒絶になっても、原則として(一部の例外を除き)、他人に知られることはありません。そのため、たとえば、自社の出願意匠が、先行する他社の登録意匠に類似するとして拒絶されても、他社に知られることはありません。権利の抵触関係が知られず、安心です。

ちなみに、先行する他社の登録意匠(登録公報)の存在を理由に拒絶されても、直ちに自社の実施が制限される訳ではありません。拒絶の根拠となった先行意匠について、現在も権利が存続中とは限りません。登録料不納や存続期間満了などで、現在は権利が消滅している可能性もあります。また、たとえば、全体意匠と部分意匠との関係、さらには実施意匠との関係で、「権利が取れるか」と「実施できるか」は別問題として、改めて検討が必要となります。

以上は、他社が先に登録しているかの問題でしたが、意匠登録を受けると、他社が後から登録するのも防止できます。すなわち、出願し意匠登録を受けると、同一・類似範囲での他人の登録を、確実に排除できます。本来、自社が意匠登録しなくても、自社が先に商品販売等していれば、それと同一・類似の意匠については、あとから他社が出願しても、意匠登録を受けられません。しかし、実店舗での販売など、公開の日付と内容について、立証が難しい場合もあります。ところが、自社が先に意匠登録しておけば、登録公報により、いつ誰が出願したか、容易に確実に立証でき、審査でも参照してもらえます。結果として、同一・類似範囲での他人の登録を確実に排除できます。

意匠の類似の確認方法については、「意匠の類否(類似/非類似)」や「意匠の類似範囲の確認手段」をご覧ください。

 

(4)新製品を発売(あるいは新作を発表)したら評判がよいから意匠登録したい。

◆つい最近(あるいは何ヶ月か前に)新製品を発売したところ、非常に売行き(引き合い)がよい。他社が参入しないように、意匠登録しておきたい。販売代理店からも意匠登録をすすめられた。

◆SNSで作品を公開したら、バズったので意匠登録したい。

◆SNSで作品を公開したら、コメント欄から意匠登録をすすめられた

◆イベント・展示会に出品したら、評判がよかったので、意匠登録したい。

◆発売前だが試作品を試してもらったら、専門家から褒められたので、意匠登録したい。

【解説】意匠登録を受けるには、前述したとおり、「新規性」が必要です。出願前に商品販売やネット掲載されますと、原則として、もはや意匠登録を受けることはできません。ご自身のデザインであっても、出願前に公開すると、意匠登録を受けられません。しかしながら、最初の公開から1年以内なら、所定の例外申請をすることで、公開はなかったものとして、意匠登録を受けられる場合もあります。

但し、あくまでも例外ですから、本来は、デザイン公開前に出願するのが原則です。デザイン公開後に意匠登録出願をご希望の場合、それ以上の公開は控えて、お早めにご相談ください。意匠の新規性喪失の例外について、詳しくは「意匠の新規性喪失の例外(商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願)」をご覧ください。

 

(5)自分の作品が意匠登録されるか、腕試ししたい。

◆新作のハンドメイド作品が、客観的に本当に新しいものか、創作容易と判断されないか、意匠登録審査を受けてみたい。

◆趣味で手作りしたが、知り合いに見せると評判がよいので、本当にすごいものか、意匠登録で試したい。

既存部品の組合せだが、結果として従来にないものができた。意匠登録できるか試したい。

【解説】意匠登録出願すると、「新規性」や「創作非容易性」について、審査されます。出願前に同一・類似の意匠がなかったか、容易に創作できたものでないかなどを審査されます。意匠登録されるということは、従来、同一・類似のデザインがなく、しかも創作容易でもない、ことになります。

 

(6)新製品(あるいは新作のハンドメイド作品)を安く保護したい。

特許は費用がかかり過ぎるので、意匠登録で済ませたい。

【解説】特許と比較して、意匠登録は、出願から登録までの費用が、非常に安いです。具体的には、出願から登録までの費用は、特許の場合、最低でも169,800円が必要ですが、意匠の場合、24,500円で済みます(2025年12月現在)。中小企業様や個人の方は、特許費用の減額を受けられる場合もありますが、それとの比較でも、通常、意匠登録の方が安くなります。

なお、上記各費用は、特許庁へ支払う印紙代です。多くの意匠登録出願は特許事務所の弁理士が代理してなされますが、その場合、特許事務所の手数料が別途必要です。弊所の場合、「意匠登録費用」をご覧ください。

しかし、単に安いからというだけで意匠登録を選択してはなりません。特許と意匠登録とは、守備範囲が全く異なります。特許は、技術的なアイデアを保護するのに対し、意匠登録は、商品等のデザインを保護します。デザインが異なってもよいなら(つまりデザインを変えて他社が実施してくる可能性があるなら)、まずは特許(または実用新案登録)を検討してみる必要があります。詳しくは、「特許と意匠の違い」をご覧ください。

 

(7)技術的に新しい訳ではないので特許は難しそうだが、なんとか保護したい。

◆特許出願しようと専門家に相談に行ったが、新規性がない(既に知られた技術である)、あるいは進歩性がない(先行技術と同一ではないが容易に考えられる)として、特許は難しいとの見解であった。しかし、諦めきれず、なんとか保護できないかとネットで調べてみると、意匠登録というものがあることを知った。意匠登録してみたい。

既存の部品の組合せではあるが、全く新たなデザインであるし、用途も少し異なる。意匠登録してみたい。

【解説】技術的に新しくなくても、デザインが新しければ、意匠登録を受けることができます。しかし、意匠登録を受けても、保護される範囲は、あくまでも出願し登録を受けた登録意匠と、その類似範囲に限られます。デザインを変更すれば、他社は製造販売等ができます。その点を考慮して、費用をかけてまで意匠登録すべきかの検討は必要です。そのデザインだからこそお客様に買っていただけるという場合、意匠登録は有効です。なお、技術的な改良改変部を見つけることで、特許または実用新案登録を受けることができる場合もあります。特許(または実用新案登録)と意匠登録との双方で保護することもできます。「特許と意匠の違い」もご覧ください。

 

(8)思い入れのある作品なので、意匠登録したい。

◆家族など大切な人との関係で、思い入れのある作品である。意匠登録という形で残したい。

◆家族やご近所に喜んでもらっている。意匠登録という形で残したい。

◆特定の人を念頭に、役立つものを届けたい困っている人を助けたい、あるいは仕事を創出したい

◆デザインコンテストでの受賞作品について、意匠登録したい。

卒業制作の作品、あるいは卒業論文のための試作品について、意匠登録したい。

【解説】意匠登録されるということは、従来、同一・類似のデザインがなく、しかも創作容易でもないことになります。また、意匠登録を受けると、その内容は意匠登録公報に掲載されると共に、権利者には意匠登録証が交付されます。

なお、前述のとおり、出願前にデザインを公開すると、原則として意匠登録を受けることはできなくなりますが、最初の公開から1年以内なら、例外的に意匠登録を受けられる場合もあります。詳しくは「意匠の新規性喪失の例外(商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願)」をご覧ください。

 

(9)意匠登録済の表示でビジネスしたい。

◆アマゾン(Amazon)、楽天市場(Rakuten)、ヤフーショッピング(Yahoo!)のようなECモール、自社独自のECサイトなど、各種のショッピングサイトで販売する際、「意匠登録済」などをアピールして、他社製品と差別化したい。

【解説】意匠登録を受けると、権利者は、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品やその包装等に、「意匠登録表示」を付することができます。法律上、厳密にいえば「登録意匠第○○○○○○○号」と表示することになりますが、単に「意匠登録済」のような表示も(法律上の登録表示ではありませんが)みられます。意匠登録表示ついて詳しくは、「意匠登録表示とは」をご覧ください。

 

(10)今なら助成金(補助金)が出るので、意匠登録したい。

◆意匠登録にかかる費用を心配していたが、たまたま助成金(補助金)の案内があったので、意匠登録したい。

【解説】意匠登録についても、費用の補助を受けられる場合があるようです。詳しくは、たとえば、お住まいの市区町村や公的団体などにお問合せください。

次のリンク先もご覧ください。
意匠登録のメリット(必要性)【要点・図表】
意匠登録出願すべきかのチェックリスト
1分で判定! 意匠登録の必要性のセルフチェックリスト

 


関連情報

 


(作成2025.12.25、最終更新2026.02.23)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2025-2026 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.

意匠の「新規性」と「新規性喪失の例外」【動画】

意匠の新規性喪失の例外(商品販売後・ウェブ掲載後の意匠登録出願)の内、意匠の「新規性」と「新規性喪失の例外」について、解説動画をYouTubeに投稿しました(3分12秒)。

意匠の「新規性」と「新規性喪失の例外」についてのまとめです。意匠の登録要件として、「新規性」があります。出願前に同一又は類似のデザインが知られている場合(たとえば自ら商品販売やネット掲載等した場合)、新規性がないとして、意匠登録を受けることはできません。但し、最初の公開から1年以内でしたら、「新規性喪失の例外」として、意匠登録できることもあります。具体例で確認していきます。

2025年9月現在の情報です。

なお、再生速度は変更可能です。画面右下の歯車のアイコンをクリックいただき、1.25倍、1.5倍などに変更できます。
手っ取り早く動画内容を確認されたい場合、お試しください。

 


意匠の「新規性」と「新規性喪失の例外」【動画】

 


(作成2025.09.28、最終更新2025.09.28)
Copyright©2025 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.