はじめに
- 特許法第38条の2~第38条の5について、条文を解読してみます。
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目次
- 第38条の2(特許出願の日の認定)
- 第38条の3(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)
- 第38条の4(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等)
- 第38条の5(特許出願の放棄又は取下げ)
(特許出願の日の認定)
第38条の2
特許庁長官は、
特許出願が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、
特許出願に係る願書を提出した日を特許出願の日として認定しなければならない。
一 特許を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
二 特許出願人の「氏名若しくは名称」の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
三 明細書(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面。以下この条において同じ。)が添付されていないとき(次条第1項(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)に規定する方法により特許出願をするときを除く。)。
2 特許庁長官は、
特許出願が前項各号のいずれかに該当するときは、
特許を受けようとする者に対し、
特許出願について補完をすることができる旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知を受けた者は、
経済産業省令で定める期間内に限り、
その補完をすることができる。
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特許法施行規則
(手続補完書の提出期間)
第27条の7 特許法第38条の2第3項の経済産業省令で定める期間は、同条第2項の規定による通知の日から2月とする。
4 前項の規定により補完をするには、
経済産業省令で定めるところにより、
手続の補完に係る書面(以下「手続補完書」という。)を提出しなければならない。
ただし、同項の規定により明細書について補完をする場合には、
手続補完書の提出と同時に明細書を提出しなければならない。
5 第3項の規定により明細書について補完をする場合には、
手続補完書の提出と同時に第36条第2項の必要な図面(外国語書面出願にあつては、必要な図面でこれに含まれる説明を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)を提出することができる。
6 第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしたときは、
その特許出願は、手続補完書を提出した時にしたものとみなす。
この場合において、特許庁長官は、手続補完書を提出した日を特許出願の日として認定するものとする。
7 第4項ただし書の規定により提出された明細書は願書に添付して提出したものと、
第5項の規定により提出された図面は願書に添付して提出したものとみなす。
8 特許庁長官は、
第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしないときは、
その特許出願を却下することができる。
9 特許を受けようとする者が第2項の規定による通知を受ける前に、その通知を受けた場合に執るべき手続を執つたときは、
経済産業省令で定める場合を除き、当該手続は、その通知を受けたことにより執つた手続とみなす。
- 特許法施行規則
(手続の補完が認められない場合)
第27条の9 特許法第38条の2第9項の経済産業省令で定める場合は、同条第2項の規定による通知を受けた場合に執るべき手続を特許出願として提出された書類が特許庁に到達した日から2月を経過した後に執つた場合とする。
(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)
第38条の3
特許を受けようとする者は、
外国語書面出願をする場合を除き、
第36条第2項(特許出願に必要な書類)の規定にかかわらず、
願書に「明細書及び必要な図面」を添付することなく、
その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。
ただし、その特許出願が
・前条第1項第一号(特許を受けようとする旨が不明確)
・又は第二号(特許出願人の氏名等が不記載・不明確)
に該当する場合は、この限りでない。
2 前項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、
「その旨」及び「先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項」を記載した書面を
当該特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
- 特許法施行規則
(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願をする場合の手続等)
第27条の10
特許法第38条の3第2項の経済産業省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 先の特許出願をした国又は国際機関の名称
二 先の特許出願の出願日
三 先の特許出願の出願番号
2 特許法第38条の3第1項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、当該特許出願の願書にその旨及び前項に掲げる事項を記載して同条第2項に規定する書面の提出を省略することができる。
3~7 省略
3 第1項に規定する方法により特許出願をした者は、
経済産業省令で定める期間内に、
当該特許出願に係る願書に添付して提出すべき「明細書及び必要な図面」並びに「同項に規定する方法における主張に係る先の特許出願に関し経済産業省令で定める書類」を提出しなければならない。
- 特許法施行規則
(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願をする場合の手続等)
第27条の10
1~2 省略
3 特許法第38条の3第3項の経済産業省令で定める期間は、特許出願の日から4月とする。
4 特許法第38条の3第3項の経済産業省令で定める書類は、先の特許出願をした国又は国際機関の認証があるその出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲及び図面に相当するものの謄本(以下この条において「先の特許出願の認証謄本」という。)及び先の特許出願の認証謄本が外国語で記載されている場合にあつてはその日本語による翻訳文とする。
5~7 省略
4 前項の規定により提出された明細書及び図面に記載した事項が、第1項に規定する方法における主張に係る先の特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(当該先の特許出願が、外国語書面出願である場合にあつては外国語書面、外国においてしたものである場合にあつてはその出願に際し提出した書類であつて明細書、特許請求の範囲又は図面に相当するもの)に記載した事項の範囲内にない場合は、
その特許出願は、前条第1項の規定にかかわらず、前項の規定により明細書及び図面を提出した時にしたものとみなす。
5 第3項の規定により提出された明細書及び図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
6 前各項の規定は、
・第44条第1項(出願分割)の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、
・第46条第1項又は第2項(出願変更)の規定による出願の変更に係る特許出願
・及び第46条の2第1項(実用新案登録に基づく特許出願)の規定による実用新案登録に基づく特許出願
については、適用しない。
(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等)
第38条の4
特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、
願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面又は必要な図面でこれに含まれる説明を同項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)について、その一部の記載が欠けていることを発見したときは、
その旨を特許出願人に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知を受けた者は、
経済産業省令で定める期間内に限り、
明細書又は図面について補完をすることができる。
- 特許法施行規則
(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の手続等)
第27条の11
特許法第38条の4第2項の経済産業省令で定める期間は、同条第1項の規定による通知の日から2月とする。
2~12 省略
3 前項の規定によりその補完をするには、
経済産業省令で定めるところにより、明細書又は図面の補完に係る書面(以下この条及び第67条第3項第六号において「明細書等補完書」という。)を提出しなければならない。
4 第1項の規定による通知を受けた者が第二項に規定する期間内にその補完をしたときは、
その特許出願は、第38条の2第1項又は第6項(特許出願の日の認定)の規定にかかわらず、
明細書等補完書を提出した時にしたものとみなす。
ただし、その補完が第41条第1項(国内優先権主張)の規定による優先権の主張又は第43条第1項(パリ条約優先権主張)、第43条の2第1項(優先期間徒過救済措置による優先権主張)(第43条の3第3項(パリ条約の例による優先権主張)において準用する場合を含む。)若しくは第43条の3第1項若しくは第2項(パリ条約の例による優先権主張)の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係るものであつて、かつ、前項の規定により提出した明細書等補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にあるときは、この限りでない。
- 特許法施行規則
(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の手続等)
第27条の11
1~5 省略
6 特許法第38条の4第4項ただし書の経済産業省令で定める範囲内にあるときとは、同項ただし書に規定する優先権の主張の基礎とした出願(以下この条において「優先権主張基礎出願」という。)に完全に記載されているときとする。
7~12 省略
5 第2項の補完をした特許出願が、第38条の2第1項第一号(特許を受けようとする旨が不明確)又は第二号(特許出願人の氏名等が不記載・不明確)に該当する場合であつて、
その補完に係る手続補完書を第3項の規定により明細書等補完書を提出した後に提出したときは、
その特許出願は、前項の規定にかかわらず、当該手続補完書を提出した時にしたものとみなす。
6 第2項の規定によりその補完をした明細書又は図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
7 第2項の補完をした者は、
経済産業省令で定める期間内に限り、
第3項の規定により提出した明細書等補完書を取り下げることができる。
- 特許法施行規則
(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の手続等)
第27条の11
1~2 省略
3 特許庁長官は、特許法第38条の4第4項本文の規定によりその特許出願が明細書等補完書を提出した時にしたものとみなされたときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
4~9 省略
10 特許法第38条の4第7項の経済産業省令で定める期間は、第3項の規定による通知の日から1月とする。
11~12 省略
8 前項の規定による明細書等補完書の取下げがあつたときは、
その補完は、されなかつたものとみなす。
9 第38条の2第9項の規定は、第1項(明細書又は図面の一部の記載が欠けている旨の通知)の規定による通知を受ける前に執つた手続に準用する。
- 特許法第38条の2第9項
特許を受けようとする者が第2項(補完できる旨の通知)の規定による通知を受ける前に、その通知を受けた場合に執るべき手続を執つたときは、経済産業省令で定める場合を除き、当該手続は、その通知を受けたことにより執つた手続とみなす。
10 前各項の規定は、
・第44条第1項(出願分割)の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、
・第46条第1項又は第2項(出願変更)の規定による出願の変更に係る特許出願
・及び第46条の2第1項(実用新案登録に基づく特許出願)の規定による実用新案登録に基づく特許出願
については、適用しない。
(特許出願の放棄又は取下げ)
第38条の5
特許出願人は、
その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、
その承諾を得た場合に限り、
その特許出願を放棄し、又は取り下げることができる。
(作成2021.06.13、最終更新2021.06.13)
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