意匠の類否判断事例4(拒絶査定不服審判:自動車ホイールキャップ)

意匠の類否判断手法(基本的構成態様と具体的態様の認定による形態の類似/非類似)を事例で確認していきます。

今回は、意匠に係る物品が相違する場合です。

他の事例は、意匠の類否判断事例をご覧ください。

 


特許庁(拒絶査定不服審判):不服2002-22253

本願意匠は、引用意匠に類似しない。

本願意匠

引用意匠

自動車ホイールキャップ

自動車用ホイール

本願意匠:自動車用ホイールキャップ

引用意匠:自動車用ホイール

 

両意匠の対比

両意匠を比較すると、意匠に係る物品については、本願意匠は「自動車用ホイールキャップ」であるのに対し、引用意匠は「自動車用ホイール」であるから、両意匠は、意匠に係る物品が相違するものと認められる。

そして、その形態については、それぞれ、その物品特有の構成により、形成されているものと認められる。すなわち、本願意匠はホイールを覆うキャップであるから、ディスクキャップ部と着脱片部とにより形成されているのに対し、引用意匠はホイールそのものであるから、リム部とディスク部とにより形成されているものである。

 

類否判断

以上の点を総合して、両意匠の類否を検討すると、両意匠は、物品の機能が明らかに異なるものであって、たとえ形態の一部に共通する点があったとしても、全体的に見れば非類似の意匠であると認められる。

 

意匠は、物品と形態が一体不可分のものであるから、対比する両意匠の「意匠に係る物品」が同一又は類似でなければ意匠の類似は生じない。つまり、物品が同一・類似であることが、意匠類似の前提となる。
そのため、仮に形態が同じでも物品が異なれば意匠は異なる。たとえば、亀の形状を有する置物と石鹸は、別個の意匠を構成する。
詳しくは、意匠の類否(物品面と形態面)をご覧ください。

 


関連情報

 


(作成2022.11.01、最終更新2022.11.01)
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