はじめに
意匠法は、「工業上利用することができる意匠」を保護します。
そのため、そもそも意匠に該当しないか、工業上利用することができない意匠は、意匠登録を受けることができません。
工業上利用することができる意匠か否かが争われた無効審判事件を確認してみます。
特許庁(無効審判):昭和48年 審判第438号
- 意匠に係る物品=車輪用ナット
結論
本件意匠の登録は、これを無効とする。
理由
ナットとは、…雌ねじが切られているということが、いずれの箇所に用いられるものであっても、ナットとしては必須条件であると認められる。
しかるに、本件登録意匠は、…いずれの部分にも螺旋状溝は無く、ねじが切られていないもので、ナットとしての必須条件を欠くものであり、車輪用ナットとしての用をなさないものであると認められる(願書には、ねじが切られていなくても自動車用ナットとして使用し得る何らの説明も記載されていない。)。
したがって、本件登録意匠は、意匠法第2条に規定する意匠を構成しているとはいえないから、意匠法第3条第1項柱書の工業上利用することができる意匠に該当しないものといわざるを得ない。
関連事件
- 意匠権侵害訴訟:昭和49(ワ)第3436号(請求棄却)
詳しくは、「車輪用ナット事件:ねじ溝の図示がないナット、製造途上の半製品で独立して取引対象とならない物品」をご覧ください。
関連情報
(作成2023.03.17、最終更新2024.09.26)
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