意匠の創作非容易性の判断事例2(拒絶査定不服審判:置物(だるまねき))

意匠の創作非容易性の判断事例を確認します。

創作非容易性とは何か、その特許庁審査基準、他の事例は、意匠の創作非容易性をご覧ください。

 


特許庁(拒絶査定不服審判):不服2010-27757

置物(だるまねき)

◆意匠に係る物品=置物(だるまねき)

◆本願意匠は、だるまの左半分と招き猫の右半分を組み合わせた後、だるまに目を入れる等の通常行われる程度の改変を加えて置物の意匠として表したにすぎないか?

 

結論

本願の意匠は、登録すべきものとする。

 

理由

 (a) この種の縁起物の分野において、だるまと招き猫の形態を組み合わせて一つの置物の意匠として表すことは、本願出願前より公然行われていたことである。

 (b) 組み合わせの手法として、異なる生物の左半身と右半身を結合させて異形の形状とすることも置物等の分野において普通に行われていることである。

そのため、本願意匠の、だるまと招き猫の形態を縦に等分に結合させた構成そのものには特段の創作は認められない

しかしながら、本願意匠においては、上記構成に加えて、次のものである。

 (x) 招き猫に相当する右半分につき、頭部の大きさを公知例(招き猫の例示意匠)よりも極端に大きく、全高の約3/5を占めるものとし、相対的に身体部の大きさを全体の約2/5の大きさに縮め、さらに身体部は後脚が捨象された単純化した形態としている。

 (y) だるまに相当する左半分についても、頭部は、顔面と鼻部が頭部から面一に続く曲面上に形成され、眉毛や髭の模様も、細線によって一部が顔面からはみ出す態様で表されるなど、公知例(だるまの例示意匠)とは明らかに異なる態様としている。

 (z) 本願意匠は、だるまと招き猫の形態を縦に等分に結合させるに際し、身体部には招き猫の首飾りをだるま側にはみ出す態様で表す一方、だるま側の「福」の字模様を省略する等し、それぞれの形態要素を選択的に組み合わせて一つの置物の意匠として統合・一体化したものである。

そのため、その創作は、「だるま」と「招き猫」を組み合わせて通常行われる程度の改変を加えた範囲を超えるものと認められる。

したがって、本願意匠は、公知意匠に基づいて容易に創作できたものとはいえない。

 


関連情報

 


(作成2023.03.15、最終更新2023.03.15)
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