意匠の創作非容易性の判断事例1(意匠登録無効審判:表示具)

はじめに

意匠の創作非容易性でご紹介のとおり、容易に創作できる程度の意匠は、出願しても意匠登録を受けることができません。

特許庁の意匠審査基準には、具体例も挙げられています(意匠の創作非容易性(意匠審査基準の読解))。

今回は、実際の審決例をみてみたいと思います。

青地に白抜きで車椅子のマークを付けた標識が、創作容易か否かが争われた無効審判事件です。

 


特許庁(無効審判):昭和51年 審判第7034号

結論

本件意匠の登録は、これを無効とする。

表示具

  • 意匠に係る物品=表示具
  • 枠体=板体+支柱
  • 板体の表面には、青地に、白抜きの縁取りと白抜きの図形

理由

意匠法第3条第2項違背について審案するに、
本件登録意匠と同様の枠体は、道路標識として、その登録出願前より広く知られるところであり、
青色の地に白抜きの縁取り及び白抜きの図形を配した表示板も、同じく道路標識として広く知られるところであり、
更に、本件登録意匠と同様の図形(シンボルマーク)についても、…広く知られたものであることは充分認められる。

従って、本件登録意匠の構成要素たる、枠体の形状、図形(シンボルマーク)、配色のいづれにも、独自の意匠の創作性を認めることができないから、上記の周知の事実に基いて通常の知識を有する者が容易に意匠の創作をすることができたものというほかない。

以上の通りであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当し、同法同条の規定に違反して登録されたものであって、その他の点について言及する迄もなく、その登録は、無効とすべきものである。

 


関連情報

 


(作成2023.03.14、最終更新2023.03.15)
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