特許・実用新案のわかりやすい例(その2)
特許・実用新案登録の例をご紹介します。特許庁の審査をパスして、実際に登録になった例です。
今回は、スポーツ用品の特許・実用新案登録の例です。権利内容が比較的分かりやすいと思われるものを抽出しました。【特許請求の範囲】、【実用新案登録請求の範囲】が権利範囲となります。読み方は、特許請求の範囲について、をご覧ください。
出願日を基準に審査されるので、あくまでも出願時において、従来同じものがなく、容易に考えられないと判断されたことになります。しかし、今見ても、興味深いものがあります。
実用新案登録も含まれますが、旧実用新案制度の下での登録例です。当時は特許と同様に、登録前に実体審査がありました。方法の発明ではなく、物の発明の場合、通常、特許でも、実用新案でも、いずれでも出願・登録できます。
現在も権利が存続中とは限りません。基本的には、既に権利が切れたものを探しました。最新の状況は、特許庁にてご確認をお願いします。
金属製バット
【実用新案登録番号】第2074759号(実公平6-44447)
【出願日】1989年3月30日
【実用新案登録請求の範囲】先端を塞いだバット本体(2)の先端中央部に穴(3)を設け、
形状記憶ポリマーで該穴を覆う傘状頭部(4)とその中央下に該穴に嵌合する胴部(5)と胴部の下部を開いてバット本体の内面に密着せしめる脚部(6)とからなる栓体(A)を一体に成形し、
該栓体(A)の脚部(6)を直立状に変形させて該穴(3)に嵌入した後、40℃以上の温度で該栓体(A)の脚部(6)を元の形状に戻して固着したことを特徴とする金属製バット。
【備考】打球部の先端を開口してゴム栓を嵌合固着したバットは、消音効果があって鈍い打球音になるため、難聴障害や騒音公害を予防することはできるが、打球を反復するうちにゴム栓が抜け飛ぶ事故があり、これを防止しようとすると補強物体を用いなければならず必然的に先端の重いバットになってしまう欠点があった。
ビート板
【実用新案登録番号】第2116656号(実公平7-27949)
【出願日】1993年2月17日
【実用新案登録請求の範囲】シート状部材で形成した空気袋本体1内の一方の側縁2に沿って該側縁2を保形する支持部材3を収納し、前記空気袋本体1の任意個所に空気注入装置4を備えたことを特徴とするビート板。
【備考】水泳の練習時に使用されるビート板に関し、従来の発泡体で形成された固形式のものに換え、空気注入式のものとしコンパクトに折り畳んで携帯、持ち運びに便利なビート板を提供する。
球技用ボール
【実用新案登録番号】第2124238号(実公平7-31802)
【出願日】1989年8月7日
【実用新案登録請求の範囲】30個の6角形区画と、12個の5角形区画にてボール基体表面を覆うとともに、上記各区画の境界に細溝を形成してなる球技用ボール
【備考】サッカーボール、ハンドボール等の球技用ボールに関し、特にその表面構造に改良を図ったものである。
サッカーゴール
【特許番号】第2750298号
【出願日】1994年5月31日
【特許請求の範囲】傾動したときに直立状態に復帰させる重りが底部に設けられた可撓性の薄膜部材により形成される高さ方向に収縮膨張可能な中空の空気室と、該空気室と外気とを開閉自在に連通する空気出入口(7)と、前記空気室の外周に高さ方向に並設されるネット係止部材(8)とを備え、互いに別体に構成され間隔を存して起立して配置される一対のゴールポスト(3)と、
前記ネット係止部材により前記ゴールポスト間に係止されるゴールネット(4)とからなるサッカーゴール。
【備考】空き地や砂浜等でサッカーの練習をする場合などに、大型で重量のある競技用サッカーゴールは持ち運びできないためにこれを用いることができない。このようなサッカーゴールを使用しない場合にはゲーム中にシュートしたときにもゴールしたか否かわからない。
バレーボール用ネット
【特許番号】第3040349号
【出願日】1996年9月30日
【特許請求の範囲】ネット本体又はその上縁に装着した白帯の両方又は一方が電気的発光装置を内蔵し、該電気的発光装置が得点のある都度、人が操作するスイッチにて点灯し、消灯し又は点滅するようにしたことを特徴とするバレーボール用ネット。
【備考】電光表示板では、競技に熱中している観客にはそれが見えないで伝わらないこともあるし、正面からでなければその表示内容を確認することができない。観客が常に監視している競技場の内部において得点の瞬間をアピール又はショーアップする手段を設ける。
練習用ハードル
【特許番号】第3600967号
【出願日】1995年5月17日
【特許請求の範囲】左右の支持パイプ(5)を上下方向にスライド可能に備えたハードル本体と、上記左右の支持パイプの上端に屈曲可能なワイヤーを介して三次元的全方向に回動可能に取り付けられた左右のバー部材(11)と、を具備したことを特徴とする練習用ハードル。
【備考】小学校におけるハードル競争の体育授業やハードル競争選手の初級者の練習に適した練習用ハードルである。ハードリング時に足が当たるとハードルバーが前方に揺動するように構成されたものの改良である。
参考情報
- 特許・実用新案の例(その他の特許・実用新案の実例)
- 特許とは・特許の取り方
- 実用新案登録とは・実用新案権の取り方
- 意匠登録とは・意匠権の取り方
- 特許・実用新案のご相談は、お問合せのページからお気軽にご連絡ください。
(作成2023.05.22、最終更新2023.06.07)
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