特許・実用新案のわかりやすい例(その4)
特許・実用新案登録の例をご紹介します。特許庁の審査をパスして、実際に登録になった例です。
今回は、調理器具・調理道具の特許・実用新案登録の例です。権利内容が比較的分かりやすいと思われるものを抽出しました。【特許請求の範囲】、【実用新案登録請求の範囲】が権利範囲となります。読み方は、特許請求の範囲について、をご覧ください。
出願日を基準に審査されるので、あくまでも出願時において、従来同じものがなく、容易に考えられないと判断されたことになります。しかし、今見ても、興味深いものがあります。
実用新案登録も含まれますが、旧実用新案制度の下での登録例です。当時は特許と同様に、登録前に実体審査がありました。方法の発明ではなく、物の発明の場合、通常、特許でも、実用新案でも、いずれでも出願・登録できます。
現在も権利が存続中とは限りません。基本的には、既に権利が切れたものを探しました。最新の状況は、特許庁にてご確認をお願いします。
スタンド型まな板
【実用新案登録番号】第1641849号(実公昭60-33891)
【出願日】1981年9月10日
【実用新案登録請求の範囲】まな板を構成する外側周縁部中、前後側周縁部の何れか一方に、まな板の前後側周縁部の長さよりも短く、且まな板の厚さより幅員が大きく均一な板状スタンド体を別設し、該体の中心部を回動自在に装着したことを特徴とするスタンド型まな板。
【備考】まな板として使用するときには、まな板の調理板面と平行に回動し、且つ、まな板を傾斜させて調理作業をスムーズに行わせる。不使用時には板状スタンド体をまな板の調理板面に対して直角状に回動して、まな板を直立させて水切り、乾燥を早める。
やかんの簡易水量表示具
【実用新案登録番号】第1998122号(実公平5-8917)
【出願日】1988年6月14日
【実用新案登録請求の範囲】やかん内の所定水量を表示し得る簡易水量表示具において、
内部に流動体(9)を収容し得る容器(7)と、
やかん(1)内の所定水量と対応する所定の指標部(10)、とを有し、
上記指標部の所定部分は、やかんの注ぎ口から水が出はじめる角度にやかんを傾斜したときに、容器(7)内の流動体(9)の水平な流動体面部分に近接する位置に設けられ、
これによりやかん内の所定水量が視覚的に認識できることを特徴とする簡易水量表示具。
【備考】やかんを傾けたときのその角度とやかん内に残る水の量とは所定の関係を有する。この関係を利用することによりやかん内の水量を間接的に知る。やかん1を傾けて注ぎ口2aから水を流出させながらガラス容器部7に注目する。ガラス容器部7内の流動体9の上面と基準線10とが一部接した時点でのやかん内に残っている水の量は所望の水量となる。
変形卵ゆで器
【実用新案登録番号】第2003103号(実公平5-10780)
【出願日】1986年7月3日
【実用新案登録請求の範囲】生卵を所定の形状に成形する、変形卵ゆで器に於て、
生卵を収納することができる開口部2を有する鋳型本体1と、
この鋳型本体1の開口部2を覆う、該鋳型本体1に着脱可能に取付けられた蓋3と、
この蓋3に形成された、前記鋳型本体1内に収納された生卵をゆでる場合に、膨脹する余分の卵を外部へ排出するための気孔4とからなることを特徴とする変形卵ゆで器。
【備考】動物、植物、乗物、漫画のキヤラクター、バレーボール、サツカーボール等、さまざまな形状のゆで器に、生卵を割って入れゆでて、ゆで器と同じに変形したゆで卵をつくることのできるゆで器である。
コースター併用鍋つかみ
【実用新案登録番号】第2102659号(実公平7-19403)
【出願日】1993年6月4日
【実用新案登録請求の範囲】厚紙製コースター1を設け、そのコースター1の二箇所に切離自在のループ状切目2,2と、それぞれの中央に折目3を施し、鍋つかみ4,4を区切って設けたことを特徴とするコースター併用鍋つかみ。
【備考】インスタント食品又は調理済食品等の加熱用アルミ鍋を載置するコースター1とそのアルミ鍋を安全につかむことのできる鍋つかみ4とを併用し、或いはアルミ鍋の蓋をも兼ねたコースター併用鍋つかみである。
調理用ザル
【実用新案登録番号】第2515286号
【出願日】1993年6月24日
【実用新案登録請求の範囲】ザル(4)の上縁A下端から空隙hを設けて補強用のたが(1)を設け、該たが(1)の互に対象となる位置に柄(2)と引掛け具(3),(3)を設けたことを特徴とした調理用ザル。
【備考】ザル(4)を洗い桶(5)の端に引掛具(3)をかけて蛇口Bの水Wを流してザルの中の野菜やゆで麺を水洗いすると、洗い桶(5)の水が一杯になって桶(5)から流れ出ても、ザルの縁Aが水面上にあるため水洗いをしている野菜や麺が水と一緒に流れ出ることがない。
調理指導容器
【特許番号】第2850206号
【出願日】1995年4月5日
【特許請求の範囲】適宜形状の透明な容器の周壁に、所定の飲食物に要する各種調味料又は調合料の配合割合を各調味料又は各調合料を混合する順序にしたがって容器の下から順にその調味料又は調合料を投入した時の総体量として目盛で表示した配合割合指示部(4)を設けたことを特徴とする調理指導容器。
【備考】配合割合指示部4の目盛5に従ってだしの素、砂糖、水、酒、醤油の順序で各調味料を目盛5のところまで容器1に投入すればよい。その割合で配合すれば料理専門家が作るものと同じ味付けに仕上がる。製法指示部6には、肉じゃがを2~4人前作るのに要するじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、豚肉の量を示すと共に、これらの切り方と大きさを実物大の絵によってそれぞれ示している。
参考情報
- 特許・実用新案の例(その他の特許・実用新案の実例)
- 特許とは・特許の取り方
- 実用新案登録とは・実用新案権の取り方
- 意匠登録とは・意匠権の取り方
- 特許・実用新案のご相談は、お問合せのページからお気軽にご連絡ください。
(作成2023.05.27、最終更新2023.06.07)
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