特許・実用新案の例1:園芸用品・栽培方法

特許・実用新案のわかりやすい例(その1)

特許・実用新案登録の例をご紹介します。特許庁の審査をパスして、実際に登録になった例です。

今回は、園芸用品・栽培方法の特許・実用新案登録の例です。権利内容が比較的分かりやすいと思われるものを抽出しました。【特許請求の範囲】、【実用新案登録請求の範囲】が権利範囲となります。読み方は、特許請求の範囲について、をご覧ください。

出願日を基準に審査されるので、あくまでも出願時において、従来同じものがなく、容易に考えられないと判断されたことになります。しかし、今見ても、興味深いものがあります。

実用新案登録も含まれますが、旧実用新案制度の下での登録例です。当時は特許と同様に、登録前に実体審査がありました。方法の発明ではなく、物の発明の場合、通常、特許でも、実用新案でも、いずれでも出願・登録できます。

現在も権利が存続中とは限りません。基本的には、既に権利が切れたものを探しました。最新の状況は、特許庁にてご確認をお願いします。

 


育苗用遮光板

【実用新案登録番号】第2016926号(実公平5-29017)

【出願日】1987年12月28日

特許・実用新案の例:育苗用遮光板

【実用新案登録請求の範囲】育苗用栽培床の上に載置される平板状部材に複数の孔を穿設し、該孔にそれぞれ個別の遮光材を設けたことを特徴とする育苗用遮光板。

【備考】播種時には発芽を促進するため種の部分が暗所となるように全面に新聞紙やわら等を拡げて覆ったり、暗所に持ち込んだりしていた。しかし、一つの栽培容器に種類の異なる種を蒔いている場合、発芽の時期が異なり、発芽が遅い種類があると、発芽している種があっても覆いを取らずに暗所に置いておかなければならなかった。同一種類の種の場合でも、発芽の日時が異なるため同様の問題があった。

 


鎌兼用スコップ

【実用新案登録番号】第2532556号

【出願日】1989年9月18日

特許・実用新案の例:鎌兼用スコップ

【実用新案登録請求の範囲】スコップ先端に刃部を有すると共に、スコップを手前に引いたときに茎や根が引掛かるような切欠き部をスコップの側部に設け、前記切欠き部に刃を設けたことを特徴とする園芸用スコップ。

【備考】従来園芸用に使用されるスコップは、土中に深く根が張ったり、太い根の張った雑草や作物等を取り除くことを目的としていない。

 


花器

【特許番号】第2857605号

【出願日】1996年2月6日

特許・実用新案の例:花器

【特許請求の範囲】有底外筒(1)内に内筒(2)を配置し、上記外筒(1)と内筒(2)との上端を上部環状板(3)で接続し、内筒(2)の下縁と上記外筒(1)の内面とを下部環状板(4)で接続し、下部環状板(4)と上記外筒(1)の底板(1’)との間に貯水空間(s)を介在し、かつ上部環状板(3)には注水用開閉栓(5)を設け、下部環状板(4)には滴下水ノズル(6)を設けてなり、
 冬期は上記内外筒(1,2)間の空間(s”)を空にして上記貯水空間(s)及び内筒(2)内の空間の上部まで水を溜め、
 夏期は上記内外筒(1,2)間の空間(s”)に水を充満し、水面を上記ノズル(6)に至る深さに貯水するよう形成してなる花器。

【備考】水の供給を夏と冬で切換えることによって花器の水中に差した茎の腐敗を防止し特に夏期における水の供給を合理的に行う。

 


苗の貯蔵方法

【特許番号】第2939545号

【出願日】1998年6月10日

【特許請求の範囲】園芸作物の苗を二酸化炭素濃度が18~23%の条件下で貯蔵することを特徴とする苗の貯蔵方法。

【備考】苗の貯蔵は5℃程度の低温で行われているが、冷熱エネルギー消費を考えると、室温に近い温度での貯蔵が望ましい。しかし、貯蔵温度が高くなると、貯蔵中に苗が徒長し、軟弱になるし、定植用機械に適用できなくなる。薬剤を用いる方法は安全性や定植後の残存薬効の問題がある。紫外線を照射する方法は、安全性の他に、陰の部分では効果が得られない。

 


移動式プランター

【特許番号】第3074153号

【出願日】1997年6月25日

特許・実用新案の例:移動式プランター

【特許請求の範囲】コーナーに脚部(7)を設けた支持フレーム(6)の、前記脚部(7)にキャスター(8)を取付けて車椅子(21)が下に入るワゴン(2)を形成し、
 このワゴン(2)の上部に受水槽(3)を載置し、この受水槽(3)の長手方向に沿った両側面に車椅子(21)に乗ったまま身体の一部が入る凹部(10)を形成し、
 更にこの受水槽(3)に園芸用土壤(4)を入れてプランター(5)を形成し、このプランター(5)の底部を貫通して排水ホース(15)を接続すると共に、前記ワゴン(2)又はプランター(5)に排水ホース(15)の先端側を着脱自在に係止する係止部(17)を設けたことを特徴とする移動式プランター。

【備考】車椅子に乗ったままでもプランターに植えた草木の手入れを行なえると共に、プランターを自由に移動できるので室内でも手入れや鑑賞ができ、また日光に当る場所への移動や水遣りも容易な移動式プランターを提供する。

 


マツタケの増産方法

【特許番号】第3337425号

【出願日】1998年6月1日

【特許請求の範囲】8月に、マツタケの発生する地域の地表をプラスチックシートで覆い、該地域の地温を上昇させ、9月には、該プラスチックシートを除去し、前記地域に人工的にかん水して、9月に適用される水分量が天然の降水量を含めて230~270mmとなるようにすることを特徴とするマツタケの増産方法。

【備考】マツタケを、自然条件下で、気象条件にあまり影響されることなく、増産しうる方法を提供する。

 


園芸容器の受器

【特許番号】第3975306号

【出願日】1998年3月10日

特許・実用新案の例:園芸容器の受器

【特許請求の範囲】より高い方に順次内蔵される段階的な高さの差がある複数の伏箱形の受台(2a、2b、2c、…)を、これより高さのある外容器(1)の内部に収めて成る、園芸容器の受器。

【備考】植木鉢、プランター、コンテナなどの園芸容器に使用して、これに水遣りの便と水切りの効果をもたらし、さらには、高さを数段階に変えることで効果的なディスプレイを可能にする。

 


参考情報

 


(作成2023.05.21、最終更新2023.06.07)
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