はじめに
- 特許法第1条~第28条の総則について、条文を解読してみます。
- 条文解読の前に、予備知識(条文の読み方)として、法律における「条」「項」「号」、「並びに」と「及び」、「又は」と「若しくは」、「その他の」と「その他」について、確認してみます。
- 条文等は、本頁末尾の掲載日時点の弊所把握情報です。
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目次
- 予備知識(条文の読み方)
- 第1条(目的)
- 第2条(定義)
- 第3条(期間の計算)
- 第4条(期間の延長等)
- 第5条
- 第6条(法人でない社団等の手続をする能力)
- 第7条(未成年者、成年被後見人等の手続をする能力)
- 第8条(在外者の特許管理人)
- 第9条(代理権の範囲)
- 第10条 削除
- 第11条(代理権の不消滅)
- 第12条(代理人の個別代理)
- 第13条(代理人の改任等)
- 第14条(複数当事者の相互代表)
- 第15条(在外者の裁判籍)
- 第16条(手続をする能力がない場合の追認)
- 第17条(手続の補正)
- 第17条の2(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
- 第17条の3(要約書の補正)
- 第17条の4(優先権主張書面の補正)
- 第17条の5(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
- 第18条(手続の却下)
- 第18条の2(不適法な手続の却下)
- 第19条(願書等の提出の効力発生時期)
- 第20条(手続の効力の承継)
- 第21条(手続の続行)
- 第22条(手続の中断又は中止)
- 第23条
- 第24条
- 第25条(外国人の権利の享有)
- 第26条(条約の効力)
- 第27条(特許原簿への登録)
- 第28条(特許証の交付)
予備知識(条文の読み方)
条>項>号
(期間の計算) |
見出し |
第3条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。 | 第3条 >第1項(第3条第1項) |
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。 | >>第一号(第3条第1項第一号) |
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。 | >>第二号(第3条第1項第二号) |
2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条第1項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。 | >第2項(第3条第2項) |
「並びに」>「及び」
A及びB → AとB
- 例:第1条「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」
→この法律は、発明の「保護」及び「利用」を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
A、B及びC → AとBとC
- 例:第36条第2項「願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。」
→願書には、「明細書」、「特許請求の範囲」、「必要な図面」及び「要約書」を添付しなければならない。
A及びB並びにC → 「A及びB」並びに「C」
- 例:第64条第2項第四号「願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容」
→願書に添付した『「明細書」及び「特許請求の範囲」に記載した事項』並びに『図面の内容』
「又は」>「若しくは」
A又はB → AかB
- 例:第3条第1項柱書「この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。」
→「この法律」又は「この法律に基く命令」の規定による期間の計算は、次の規定による。
A、B又はC → AかBかC
- 例:第5条第1項「特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。」
→「特許庁長官」、「審判長」又は「審査官」は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
A若しくはB又はC → 「A若しくはB」又は「C」
- 例:第66条第2項「…第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があったときは、特許権の設定の登録をする。」
→…『第一年から第三年までの各年分の特許料の納付』又は『その納付の「免除」若しくは「猶予」』があったときは、特許権の設定の登録をする。
「その他の」と「その他」
aその他のA → aはAに含まれる(aはAの一種)
- 例:第34条第4項「特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。」(「相続」は「一般承継」に含まれる。「相続」などの「一般承継」)
Aその他B → AはBに含まれない(AやB)
- 例:第64条第3項「特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第36条第7項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第五号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。」(「第36条の第7項の規定に適合しないとき」や「(その他)必要があると認めるとき」)
第1章 総則
(目的)
第1条
この法律は、
発明の「保護」及び「利用」を図ることにより、
発明を奨励し、
もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
- 発明の保護=特許権付与(新規発明開示の代償として一定期間、独占権を付与)
- 発明の利用=権利存続中は特許権者や実施権者による実施、権利消滅後は第三者による自由実施
*出願公開・特許掲載公報で発明公開
(定義)
第2条
この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
- 実用新案法第2条第1項=この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。
- 創作とは、「新しいものをつくり出すこと」をいい(「デジタル大辞泉」小学館)、発明とは、「創作のうち高度のもの」をいう。そのため、発明とは、そもそも新規性(新しいこと)や進歩性(創作容易でないこと)を備えているのが前提なのか?→「発明時」に発明者が「主観的」に新しいと思えば、それが発明であり、その後、審査において「出願時」を基準に「客観的」に新規性や進歩性について判断される。
- 特許拒絶理由>発明該当性(「発明」でない場合)
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
- 発明のカテゴリーとして、「物の発明」「方法(単純方法)の発明」「物を生産する方法(生産方法)の発明」がある。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
- 物の発明の実施=その物の「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入」又は「譲渡等の申出」をする行為
- 物=プログラム等を含む。
- 譲渡等=「譲渡」「貸渡し」「(プログラム等の)電気通信回線を通じた提供」
- 譲渡等の申出=譲渡等のための展示を含む。
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
- 単純方法の発明の実施=その方法の「使用」をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
- 生産方法の発明の実施=その方法の「使用」をする行為のほか、その方法により生産した物の「使用、譲渡等、輸出若しくは輸入」又は「譲渡等の申出」をする行為
4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。
- プログラム等=「プログラム」の他、「電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるもの」
- プログラム=電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたもの
(期間の計算)
第3条
この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条第1項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
・期間の計算(特許法第3条)>特許法第3条の条文解読 - 手続=特許出願、請求その他特許に関する手続
(期間の延長等)
第4条
特許庁長官は、
遠隔又は交通不便の地にある者のため、
請求により又は職権で、
・第46条の2第1項第三号、
・第108条第1項、
・第121条第1項又は
・第173条第1項
に規定する期間を延長することができる。
- 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、所定の「法定期間」を延長することができる。
- 第46条の2第1項第三号
第三者による実用新案技術評価の請求があった旨の最初の通知を受けた日から30日を経過したときは、実用新案登録に基づく特許出願をすることができない。 - 第108条第1項
第1~3年分の特許料(設定登録料)は、特許査定謄本等の送達日から30日以内に一時に納付しなければならない。 - 第121条第1項
拒絶査定を受けた者は、その査定謄本送達日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。 - 第173条第1項
再審は、請求人が取消決定又は審決が確定した後、再審の理由を知った日から30日以内に請求しなければならない。
第5条
特許庁長官、審判長又は審査官は、
この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、
請求により又は職権で、
その期間を延長することができる。
- 特許庁長官、審判長又は審査官は、請求により又は職権で、「指定期間」を延長することができる。
- 指定期間=特許法において「相当の期間を指定して」と記載された期間
例:第17条第3項「特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。」
2 審判長は、
この法律の規定により期日を指定したときは、
請求により又は職権で、
その期日を変更することができる。
- 審判長は、請求により又は職権で、「指定期日」を変更することができる。
- 第145条第3項「審判長は、…口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。」
- 第151条「…民事訴訟法第93条第1項(期日の指定)…の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。…」
>民事訴訟法第93条第1項「期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。」
3 第1項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、
その期間が経過した後であつても、
経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。
- 特許法施行規則
(期間の延長の請求等の様式等)
・第4条の2第5項
特許法第5条第3項の経済産業省令で定める期間に係るものは、次の各号に掲げるものとする。
一 特許庁長官が指定した期間(「特許権の存続期間の延長登録の出願」、「特許異議の申立て」又は「審判、再審若しくは判定の請求」に関する手続に関し特許庁長官が指定した期間を除く。)に係る延長
二 審査官が指定した期間(「特許法第162条(前置審査)の規定による審査において同法第48条の7(先行技術文献情報開示要件違反通知)の規定により審査官が指定した期間」並びに「同法第67条の4(期間補償のための特許権の存続期間の延長登録の出願の審査)(同法第67条の8(医薬品等の特許権の存続期間の延長登録の出願の審査)において準用する場合を含む。)及び同法第163条第2項(前置審査)において準用する同法第50条(拒絶理由の通知)の規定により審査官が指定した期間」を除く。)に係る延長
・第4条の2第6項
特許法第5条第3項の経済産業省令で定める期間は、特許庁長官又は審査官が手続をすべきものとして指定した期間の末日(当該期間の末日が同法第3条第2項の規定の適用を受けるときにあつては、同項の規定の適用がないものとした場合における当該期間の末日)の翌日から二月とする。
(法人でない社団等の手続をする能力)
第6条
法人でない「社団又は財団」であつて、「代表者又は管理人」の定めがあるものは、
その名において次に掲げる手続をすることができる。
一 出願審査の請求をすること。
二 特許異議の申立てをすること。
三 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
四 第171条第1項(再審の請求)の規定により「特許無効審判又は延長登録無効審判」の確定審決に対する再審を請求すること。
2 法人でない「社団又は財団」であつて、「代表者又は管理人」の定めがあるものは、
その名において「特許無効審判又は延長登録無効審判」の確定審決に対する再審を請求されることができる。
- 法人でない社団等は権利能力がないので、次の点は規定されていない。
・無効審判を請求されること。
・訂正審判を請求すること。
・第172条第1項(詐害審決(審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもってさせた審決)に対する再審の請求)の規定により再審を請求すること。
(未成年者、成年被後見人等の手続をする能力)
第7条
未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは、この限りでない。
- 未成年者は、法定代理人(親権者)によらなければ、手続をすることができない。
ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるとき(たとえば婚姻をしたとき)は、この限りでない。 - 成年被後見人は、法定代理人(成年後見人)によらなければ、手続をすることができない。
2 被保佐人が手続をするには、保佐人の同意を得なければならない。
3 法定代理人が手続をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
4 被保佐人又は法定代理人が、その特許権に係る「特許異議の申立て」又は「相手方が請求した審判若しくは再審」について手続をするときは、前二項の規定は、適用しない。
- 被保佐人等の特許権に対して特許異議の申立てがなされたとき、又は相手方が請求した審判や再審について手続をするときは、被保佐人等は、保佐人等の同意を得ることなく手続をすることができる。
民法
- (成年)
第4条 年齢18歳をもって、成年とする。
- (後見開始の審判)
第7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。 - (成年被後見人及び成年後見人)
第8条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
- (保佐開始の審判)
第11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。 - (被保佐人及び保佐人)
第12条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
- (補助開始の審判)
第15条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第7条又は第11 条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 ・・・ - (被補助人及び補助人)
第16条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
(在外者の特許管理人)
第8条
日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、
政令で定める場合を除き、
その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、
手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。
- 在外者は、
政令で定める場合を除き、
特許管理人によらなければ、
手続をすることができず、また、
この法律(若しくはこの法律に基づく命令)の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。 - 在外者=日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者
*日本人であっても、日本国内に住所も居所も有しなければ、在外者である。 - 特許管理人=在外者の特許に関する代理人であって日本国内に住所又は居所を有するもの
- (在外者の特許管理人の特例)
第184条の11 在外者である国際特許出願の出願人は、国内処理基準時までは、第8条第1項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで手続をすることができる。・・・(第184条の11(在外者の特許管理人の特例)) - 特許法施行令
(在外者の手続の特例)
第1条 特許法第8条第1項の政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 特許管理人を有する在外者(法人にあつては、その代表者)が日本国に滞在している場合
二 在外者が特許出願(特許法第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法第46条第1項又は第2項の規定による出願の変更に係る特許出願及び同法第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願を除く。)その他経済産業省令で定める手続を自ら行う場合
三 在外者が特許法第107条第1項の規定による第四年以後の各年分の特許料の納付をする場合
2 特許管理人は、
「一切の手続」及び「この法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟」について
本人を代理する。
ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。
(代理権の範囲)
第9条
「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするもの」の委任による代理人は、
特別の授権を得なければ、
・特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、
・特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、
・請求、申請若しくは申立ての取下げ、
・第41条第1項(国内優先権)の優先権の主張若しくはその取下げ、
・第46条の2第1項(実用新案登録に基づく特許出願)の規定による実用新案登録に基づく特許出願、
・出願公開の請求、
・拒絶査定不服審判の請求、
・特許権の放棄又は
・復代理人の選任
をすることができない。
第10条 削除
(代理権の不消滅)
第11条
手続をする者の委任による代理人の代理権は、
・「本人の死亡」若しくは「本人である法人の合併による消滅」、
・「本人である受託者の信託に関する任務の終了」
・又は「法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅」
によつては、消滅しない。
(代理人の個別代理)
第12条
手続をする者の代理人が二人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。
(代理人の改任等)
第13条
特許庁長官又は審判長は、
手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、
代理人により手続をすべきことを命ずることができる。【選任命令】
2 特許庁長官又は審判長は、
手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、
その改任を命ずることができる。【改任命令】
3 特許庁長官又は審判長は、
前二項の場合において、
弁理士を代理人とすべきことを命ずることができる。【弁理士選任命令】
4 特許庁長官又は審判長は、
第1項又は第2項の規定による命令をした後に「第1項の手続をする者又は第2項の代理人」が特許庁に対してした手続を
却下することができる。【命令後の却下可】
(複数当事者の相互代表)
第14条
二人以上が共同して手続をしたときは、
・特許出願の変更、放棄及び取下げ、
・特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、
・請求、申請又は申立ての取下げ、
・第41条第1項(国内優先権)の優先権の主張及びその取下げ、
・出願公開の請求
・並びに拒絶査定不服審判の請求
以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。
ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
・共同出願と特許権共有>第14条(複数当事者の相互代表)
(在外者の裁判籍)
第15条
在外者の特許権その他特許に関する権利については、
特許管理人があるときはその住所又は居所をもつて、
特許管理人がないときは特許庁の所在地をもつて
民事訴訟法(平成8年法律第109号)第5条第四号の財産の所在地とみなす。
- 民事訴訟法
(財産権上の訴え等についての管轄)
第5条 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
一 財産権上の訴え 義務履行地
二~三 省略
四 日本国内に住所(法人にあっては、事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え 請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地
五~ 省略
(手続をする能力がない場合の追認)
第16条
未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、
法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。
2 代理権がない者がした手続は、
手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。
3 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、
被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。
4 後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、
後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。
(手続の補正)
第17条
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第17条(手続の補正)
(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第17条の2
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
・特許手続の補正(条文解読)>第17条の2(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
・明細書・特許請求の範囲・図面の補正(条文解読)
・明細書・特許請求の範囲・図面の補正(まとめ)
(要約書の補正)
第17条の3
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第17条の3(要約書の補正)
(優先権主張書面の補正)
第17条の4
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第17条の4(優先権主張書面の補正)
(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第17条の5
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第17条の5(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
(手続の却下)
第18条
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第18条(手続の却下)
(不適法な手続の却下)
第18条の2
- 本条の条文解読は、次のページをご覧ください。
特許手続の補正(条文解読)>第18条の2(不適法な手続の却下)
(願書等の提出の効力発生時期)
第19条
『願書』又は『「この法律若しくはこの法律に基づく命令」の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているもの』を
『郵便』又は『民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号。以下この条において「信書便法」という。)「第2条第6項に規定する一般信書便事業者」若しくは「同条第9項に規定する特定信書便事業者」の提供する同条第2項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるもの』により提出した場合において、
その『願書』又は『物件』を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、
その『郵便物』又は『信書便法第2条第3項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)』の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、
その『郵便物』又は『信書便物』の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、
その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。
- 『願書』又は『(この法律・命令の規定により)特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているもの』を
『郵便』又は『信書便法の所定の信書便であつて経済産業省令で定めるもの』により提出した場合において、
その『願書』又は『物件』を日本郵便営業所に差し出した日時を『郵便物』の受領証により証明したときはその日時に、
その『郵便物』又は『信書便物』の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、
その『郵便物』又は『信書便物』の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、
その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。 - 特許法施行規則
(特許法第19条の経済産業省令で定める信書便の役務)
第11条の4の2 特許法第19条の経済産業省令で定める信書便の役務は、信書便物を引き受けた後、速やかに、当該信書便物に通信日付印を押印するものとする。
(手続の効力の承継)
第20条
「特許権」その他「特許に関する権利」についてした手続の効力は、
その「特許権」その他「特許に関する権利」の承継人にも、及ぶものとする。
- 特許に関する権利=専用実施権、通常実施権など
(手続の続行)
第21条
特許庁長官又は審判長は、
特許庁に事件が係属している場合において、
「特許権」その他「特許に関する権利」の移転があつたときは、
「特許権」その他「特許に関する権利」の承継人に対し、その事件に関する手続を続行することができる。
(手続の中断又は中止)
第22条
特許庁長官又は審判官は、
決定、査定又は審決の謄本の送達後に中断した手続の受継の申立について、
受継を許すかどうかの決定をしなければならない。
2 前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
第23条
特許庁長官又は審判官は、
中断した「審査」、「特許異議の申立てについての審理及び決定」、「審判又は再審」の手続を受け継ぐべき者が受継を怠つたときは、
申立てにより又は職権で、
相当の期間を指定して、受継を命じなければならない。
2 特許庁長官又は審判官は、
前項の規定により指定した期間内に受継がないときは、
その期間の経過の日に受継があつたものとみなすことができる。
3 特許庁長官又は審判長は、
前項の規定により受継があつたものとみなしたときは、
その旨を当事者に通知しなければならない。
第24条
民事訴訟法第124条(第1項第六号を除く。)、第126条、第127条、第128条第1項、第130条、第131条及び第132条第2項(訴訟手続の中断及び中止)の規定は、審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の手続に準用する。
この場合において、
・同法第124条第2項中「訴訟代理人」とあるのは「審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の委任による代理人」と、
・同法第127条中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判長」と、
・同法第128条第1項及び第131条中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判官」と、
・同法第130条中「裁判所」とあるのは「特許庁」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法【読替後】
(訴訟手続の中断及び受継)
第124条
次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。
この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
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相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
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二 当事者である法人の合併による消滅
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合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
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三 当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
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法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
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四 次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了
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当該イからハまでに定める者
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イ 当事者である受託者
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新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
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ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人
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新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
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ハ 当事者である信託管理人
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受益者又は新たな信託管理人
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五 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
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同一の資格を有する者
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2 前項の規定は、「審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の委任による代理人」がある間は、適用しない。
3 第1項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。
4 第1項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。
5 第1項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
一 被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
二 被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。
(相手方による受継の申立て)
第126条
訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。
(受継の通知)
第127条
訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、「特許庁長官又は審判長」は、相手方に通知しなければならない。
(受継についての裁判)
第128条第1項
訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、「特許庁長官又は審判官」は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。
(裁判所の職務執行不能による中止)
第130条
天災その他の事由によって「特許庁」が職務を行うことができないときは、訴訟手続は、その事由が消滅するまで中止する。
(当事者の故障による中止)
第131条
当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは、「特許庁長官又は審判官」は、決定で、その中止を命ずることができる。
2 「特許庁長官又は審判官」は、前項の決定を取り消すことができる。
(中断及び中止の効果)
第132条第2項
訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。
この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
(外国人の権利の享有)
第25条
日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない外国人は、
次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。
一 その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。【平等主義(内国民待遇)の国】
二 その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。【相互主義の国】
三 条約に別段の定があるとき。
(条約の効力)
第26条
特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。
(特許原簿への登録)
第27条
次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
一 特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
二 専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
四 仮専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
2 特許原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
3 この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。
(特許証の交付)
第28条
特許庁長官は、
・特許権の設定の登録があつたとき、
・第74条第1項(移転請求権)の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたとき、
・又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正をすべき旨の決定若しくは審決が確定した場合において、その登録があつたときは、
特許権者に対し、特許証を交付する。
2 特許証の再交付については、経済産業省令で定める。
- 特許法施行規則
第67条 特許証をよごし、損じ、または失つたときは、特許証の交付を受けた者は、特許証の再交付を請求することができる。ただし、よごし、または損じた場合は、その特許証を提出しなければならない。
(作成2021.05.30、最終更新2021.06.11)
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