新素材の保護(知財)

新素材を開発した場合、知財に関連して、どのような保護が可能でしょうか?

新素材の保護について、検討してみます。

なお、ここでいう新素材には、従来公知の素材に何らかの手を加えて、見た目・質感が異なる程度の材料も含むものとします。

 


特許出願・実用新案登録出願の検討

技術的なアイデアは、特許または実用新案登録の対象となります。

具体的には、素材自体、その素材の製造方法製造機械製造用具などについて、特許出願することが考えられます。また、その素材の特性を利用した物(素材の用途)についても、特許出願の対象となります。

たとえば、撥水や防水効果が優れる素材を開発した場合、その素材自体、その素材の製造方法や製造機械の他、その素材を用いた物(レインコートや傘)などについて、特許出願を検討します。

物品の形状・構造・組合せに関するアイデアについては、特許出願できる他、実用新案登録出願することもできます。そのため、「物」でしたら、多くの場合、特許と実用新案の内、いずれかを選択できます。

特許と実用新案登録とは、ともに技術的アイデアを保護するものですが、登録までの手続、費用、存続期間などが大きく異なります。実用新案登録出願しても、通常3年以内でしたら特許出願に変更できます。逆に、特許出願しても、一定要件下、実用新案登録出願に変更できます。

なお、実務的な内容となりますが、物の発明を製造方法で特定することは原則としてできません。たとえば、レインコートについて特許が欲しいのに、その素材の製造方法を伴う記載を含んで、権利請求することはできません。製造方法に特徴がある場合、方法の発明として特許出願する必要があります。

特許・実用新案登録について、詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


意匠登録出願の検討

新素材の見た目・質感が特異な場合、意匠登録の対象となります。

たとえば、生地として、素材自体の出願ができます。また、その素材を用いた物(レインコートや傘)などについても、意匠登録の対象となります。

意匠登録について、詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


商標登録の検討

素材自体やそれを用いた商品などに使用するネーミングやマーク等は、商標登録の対象となります。

商標登録について、詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


留意点

  • 特許・実用新案登録・意匠登録について出願をご希望の場合、原則として、製品を市場に出したり、アイデアを第三者にしゃべったりする前に、まずは特許庁への出願が必要です。
  • 創作した日は関係なく、一日でも早く特許庁に出願した者に権利が付与されます。そのため、できるだけ早く出願することが必要です。
  • 手間や費用をかけても、登録されないこともあり得ます。たとえば、特許の場合、従来技術と同一でないか、従来技術から容易に考えられないかなどの観点で審査されます。

 


(作成2021.10.14、最終更新2021.10.14)
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