特許の重点5:他人の特許出願への対応(特許前)

特許の重要な点を確認してみる「特許の重点」シリーズです。

これまでは、出願人や権利者の側から見てきましたが、今回は、それ以外の人から見てみます。

他人の出願や特許に気になるものを見つけた場合、端的には邪魔な出願や特許を見つけた場合、どのような措置をとることができるのかについて、検討してみます。

まずは、「特許前」に取り得る措置、すなわち他人の特許出願への対抗措置について、検討してみます。「特許後」については、次回「特許の重点6」をご覧ください。

本ページ末尾の掲載日における情報であり、弊所の見解です。

 


(1)出願経過を監視する。

◆出願審査請求の有無や、審査状況について監視する。

◆拒絶理由通知があれば、その内容や、出願人の対応も確認する。権利範囲が狭まったり、拒絶査定になる場合もある。

◆拒絶理由通知で挙げられた引用文献についても確認する。

 


(2)何もしない(しばらく様子をみる)。

◆出願日から3年以内に出願審査請求しないと、出願は取り下げたものとみなされる。何もしなければ、出願人は出願審査請求せず、権利化しないかもしれない。

◆特許出願された発明が新規性や進歩性などの特許要件を満たさない場合、通常、放っておいても、特許庁の審査において出願は拒絶されるか、権利範囲は限定される。

◆下手に動けば、「寝た子を起こす」ことになりかねない。たとえば、第三者から特許庁に、後述する情報提供などがなされると、出願人は、「他人が興味を示す発明」、「権利化する価値がある発明」と認識するかもしれない。多少の先行技術があっても、なんとか違いを出して、しかも情報提供者等の製品が権利範囲に含まれる形での権利化を目指すことが考えられる。もちろん、特許性が相当乏しければ、出願人が権利化を断念することは考えられる。

◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


(3)特許庁に情報提供する。

◆先行技術調査して、特許性がどの程度あるのか検討する。特許性を否定する先行文献が見つかった場合、特許庁に情報提供することができる。

◆すなわち、特許庁に刊行物や特許出願書類の写しなどの書類を提出することにより、特許出願が所定の拒絶理由に該当する旨の情報を提供することができる。

◆情報提供は、誰でも、無料ですることができる。

◆情報提供は、匿名ですることもできる。

◆なお、特許性を検討する際、【特許請求の範囲】の各【請求項】は、現状の記載だけでなく、将来補正される可能性も考慮する。すなわち、現状の【請求項】に特許性がなさそうでも、補正すれば特許性が出る可能性もある。明細書や図面に“補正のネタ”がないか、出願人側に立って検討する。

◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


(4)出願審査の請求をする。

◆出願審査の請求がなければ、特許庁は出願内容を審査しない。出願日から3年以内なら、出願人でなくても、出願審査の請求をすることができる。早く審査請求すれば、早く審査結果を得ることができる。

◆特許になるか否か、どのような内容で特許になるか、早く決着をつけることができる。

◆特許にならなかったり、確定した権利範囲によっては、安心して実施することができる。

◆出願人に代わって印紙代を負担することになる。

◆出願人が出願分割するなど、すべての関連出願について、早期決着するとは限らない。

◆放っておけば、出願人は出願審査請求しないかもしれない。その場合、出願は取り下げたものとみなされる。

◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


(5)ライセンス・権利譲渡を受ける。

◆将来、(特許になる可能性が高く、特許後)独占的に実施したければ、典型的には、仮専用実施権の設定を受ける。

◆特許権者等が実施したり、他にもライセンスするかもしれないが、とにかく実施できればよいのであれば、仮通常実施権の許諾を受ける。

◆ライセンスに代えて、権利譲渡(出願人名義変更)を受けることもできる。

◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


(6)設計変更・改良発明について

◆特許になっても権利侵害とならないように、設計変更する。

◆改良発明を考えて特許出願する。将来、クロスライセンスに使えるかもしれない(特許を互いに融通)。

◆同等の効果を奏する別発明を考えて特許出願する。

◆場合により、開発や製造販売を中止する。

◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。

 


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(作成2023.02.13、最終更新2023.02.25)
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