コンパスで楕円を描ける!?
斜視図(等角図)の描き方、等角図と等角投影図で見たように、等角図では35度の楕円が用いられます。
楕円定規(テンプレート)がない場合、コンパス(または円定規・テンプレート)を用いて、楕円を作図することになります。
コンパスによる近似楕円の作図方法のうち、最も一般的で簡単と思われる方法をご紹介いたします。
まず、35度楕円定規による作図がどのようなものか確認した後、コンパスによる作図方法を見ていきます。
- 本ページの解説動画:コンパスによる楕円の描き方【動画】
35度楕円定規(テンプレート)による作図
楕円の描き方は、斜視図(等角図)の描き方、特に円柱や円錐の描き方にてご紹介のとおりです。
なお、下記において、等角軸については、等角図とは?をご覧ください。
また、楕円の長軸・短軸・斜軸については、楕円の長軸・短軸・斜軸とは?をご覧ください。
上図は、35度楕円定規(テンプレート)により、直径L(図示例では5cm)の楕円を描いた図(等角図)です。
楕円は、一辺の長さがLの四角形(等角図上では菱形)に内接します。この四角形の各辺は、水平線に対し30度の傾きの線(等角軸に平行な線)となります。また、楕円の長軸は、前記水平線と平行な方向に配置され、楕円の短軸は、その水平線に対し垂直な方向に配置されます。そして、楕円の斜軸は、四角形の各辺と平行に配置され、この斜軸寸法は、円の直径として実寸Lとなります。さらに、四角形の各辺の中点において、楕円と四角形とが接します。
従って、次の点が分かります。
- 円の直径は楕円の斜軸寸法Lで実寸となる。
- 直径寸法Lを一辺とする四角形内に、楕円が内接する。
- 四角形と楕円との接点は、四角形の各辺の中点となる。
これに基づき、下記のとおり、楕円定規を用いないで、コンパス(または円定規・テンプレート)で楕円(近似楕円)を描くことができます。
コンパスによる近似楕円の作図
(a)まず、直径L(図示例では5cm)と対応した寸法を一辺とする四角形(菱形)を等角図で描きます。四角形の各辺は、水平線に対し30度の傾きの線(等角軸に平行な線)となります。そして、各辺を二等分する箇所として、各辺の中点M1~M4も求めます。
(b)頂点Aと中点M2,M3とを線でつなぎます。同様に、頂点Cと中点M1,M4とを線でつなぎます。これら線は、頂点Dと頂点Bとを結んだ線上で交差し、交点E,Fを求めることができます。
(c)頂点Aを中心として、半径をA-M2(A-M3)とする円弧を、中点M2とM3との間に描きます。同様に、頂点Cを中心として、半径をC-M4(C-M1)とする円弧を、中点M4とM1との間に描きます。
(d)交点Eを中心として、半径をE-M3(E-M4)とする円弧を、中点M3とM4との間に描きます。同様に、交点Fを中心として、半径をF-M1(F-M2)とする円弧を、中点M1とM2との間に描きます。
このようにして、楕円定規を用いなくても、コンパス(または円定規・テンプレート)を用いて、近似楕円を描くことができます。
コンパスによる図示と楕円定規による図示との比較
上図において、黒線は、コンパスを用いた近似楕円を示し、赤線は、35度の楕円定規(テンプレート)による楕円を示しています。
両者に若干のズレはあるものの、円弧で近似楕円を描けていることが分かります。
関連情報
- 斜視図(等角図)の描き方
- 等角図と等角投影図(等角図と等角投影図との違い)
- 六面図とは(正投影図)
(作成2021.02.14、最終更新2021.02.14)
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