特許の重要な点を確認してみる「特許の重点」シリーズです。
第1回目は、発明完成から特許出願前の話です。
どのようなものが特許の対象となるのか、誰が特許出願できるのか、特許出願前の注意点について、確認してみます。
- 本ページの解説動画:特許の重点1:出願前【動画】
(1)特許の対象は「発明」である。
◆発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
◆次のものは、発明ではない。
- 自然法則自体(万有引力の法則)
- 単なる発見であって創作でないもの(鉱石)
- 自然法則に反するもの(永久機関)
- 自然法則を利用していないもの(ゲームのルール)
- 技術的思想でないもの(フォークボールの投球方法(技能))
◆発明であっても、次のようなものは、特許の対象ではない。
- 医療行為
- 個人的にのみ利用される発明(喫煙方法)
◆条文上「高度のもの」とあるが、身近な日用品の改良も、発明として特許の対象となる。
◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
(2)本来、発明者が特許を受けることができる。
◆特許を受ける権利は、発明完成と同時に発明者に生じる。そのため、原則として、発明者が特許出願をすることができる。
◆職務発明については、契約や勤務規則などにより、会社が出願できることもある。その場合、従業者は、相応の見返りを受けることができる。
◆共同で発明した場合、特許を受ける権利は共有となる。各共有者は、他の共有者と共同で出願する必要がある。
◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
- 特許法第33条~第35条の条文解読(特許を受ける権利)
- 職務発明(条文解読)
- 共同出願と特許権共有
- 特許拒絶理由>冒認出願、共同出願
(3)出願前に発明を公開しない。
◆特許を受けるには、新規性(発明が出願前に知られていないこと)が必要である。
◆出願前に商品販売・学会発表・ネット掲載などにより発明を公開した場合、自分の発明であっても、原則として新規性がないとして、特許を受けることができない。
◆但し、最初の公開から1年以内なら、例外的な取扱いを受けられる場合もある。
◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
(4)できるだけ早く出願する。
◆特許は、新しい技術を(出願により)公開した代償として付与される。
◆出願日を基準に審査され、1日でも早く出願した者に、特許が付与される。
◆発明完成後、速やかに出願書類を整えて、特許庁に出願する必要がある。
◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
(5)まずは先行技術調査してみる。
◆特許出願の審査を受けると、多くの場合、新規性がない(出願前に知られている)、進歩性がない(容易に発明できる)などにより、特許できない旨の拒絶理由通知を受ける。これに対し、出願人は、審査で挙げられた先行技術とは異なる旨を反論したり、権利範囲を狭めて先行技術との違いを出したりして対応する。
◆出願前に先行技術を知っておけば、無駄な出願をすることがなくなる。
◆他社が既に権利をもっていれば、自社の製造販売が制限される可能性もある。但し、調査で抽出された出願が、特許されたか、どのような内容で特許されたか、特許権が現在も存続中かなどは、別途調査する必要がある。
◆100%の調査はなし得ないが、審査で拒絶されるリスクを低減することができる。
◆先行技術調査は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)にて、誰でも行うことができる。
◆詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
関連情報
(作成2022.12.29、最終更新2023.01.14)
出典を明示した引用などの著作権法上の例外を除き、無断の複製、改変、転用、転載などを禁止します。
Copyright©2022-2023 Katanobu Koyama. ALL RIGHTS RESERVED.