特許費用の削減(費用を安く抑える方法)

特許出願費用・特許取得費用にお悩みではありませんか?

特許出願したいけれど、費用が心配、という方もいらっしゃると思います。

特許費用(特許の出願から登録までの費用)でご紹介のとおり、請求項と呼ばれる権利請求欄が一つだけの場合でも、特許庁費用だけで、出願料14,000円、出願審査請求料142,000円、設定登録料13,800円となり、合計で169,800円が必要です(2023年12月現在)。通常、この金額が特許取得のための最低額となります。出願やその後の手続を代理人(特許事務所の弁理士)にご依頼の場合、さらに代理人費用(事務所手数料)も必要となります。

これら費用を削減することは可能でしょうか?

特許出願・特許取得を、できるだけ安価に、格安に、できる方法はないのか、検討してみます。

なお、自治体などによる助成制度もあり得ますが、適用を受けるには各種の要件があるでしょうから、ここでは、そのような助成制度ではなく、恒常的に誰でも実行できる費用の削減方法について考えてみます。

 


目次

 


(1)先行技術調査による削減

特許出願の多くは、審査を受けると、一度ぐらいは拒絶理由通知(特許できない旨の通知)を受けます。たとえば、出願発明が先行技術(従来技術)と同一か、同一でないにしても先行技術から容易に発明できる、として特許できない旨の通知を受けます。これに対し、出願人は、先行技術との構成上の違いや、それによるメリットなどを主張して、特許化を図ることになります。

出願前に先行技術調査することで、出願発明が先行技術と同一など、出願しても特許にできない発明について、無駄に出願するのを防止することができます。

また、出願前に先行技術を適切に把握していると、出願書類の品質が向上します。出願段階から先行技術との差異を明確にしておくことで、拒絶理由通知を受けないか、拒絶理由通知を受けても回避しやすくなります。結果として、特許取得費用の削減につながります。

先行技術調査は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)にて、誰でも無料ですることができます。

弊所でも、特許出願のご依頼を受けた場合、通常、まずは先行技術調査を行います。ご相談時、時間が許せば、その場で先行技術調査したり、調査の仕方をご紹介したりすることもできます。100%の調査はなし得ませんが、先行技術調査することで、拒絶されるリスクを軽減することができます。

先行技術調査をご自身でもしていただくことで、費用の削減を図ることができます。

 


(2)実用新案登録による削減

特許と似たものに、実用新案登録というものがあります。

ご相談時、「実用新案は無駄らしいから特許でお願いします」というご意見をいただくこともあります。

しかし、それは同じ費用なら!という前提が付いた議論です。

特許と実用新案、権利化までの費用が全く異なります。

出願から登録までの費用(特許庁印紙代)は、請求項と呼ばれる権利請求欄が10の場合(2022年の平均請求項数は9.8)、特許では213,900円ですが、実用新案では23,300円で済みます(2023年12月現在)。この費用は、特許庁費用のみで、手続を代理人(特許事務所の弁理士)にご依頼の場合、さらに代理人費用(事務所手数料)が必要です。

実は出願費用としては大きな差は出ないのですが、特許の場合、出願後に各種の手続が必要なため、登録までの費用に大きな差が出ます。

出願から登録までのトータルの費用として、費用がご心配な場合、実用新案を選択する方法も考えられます。実用新案登録後、「やはり特許にしたい」ということであれば、出願から3年以内であれば、特許出願に変更できる場合もあります。

実用新案登録については、次のページをご覧ください。「実用新案でも高額の損害賠償請求や差止請求が認められることがある“事実”」も知っていただきたいと思います。

 


(3)出願書類作成費用の削減

(3-1)自分で(自社で)出願する?

ご自身で書類作成して出願し、その後の手続もできれば、代理人費用(事務所手数料)はかかりません。

しかし、一般的には、出願書類を独自に作成することが容易であるとはいえません。

また、特許出願の場合、出願して終わりではありません。特に、審査において、拒絶理由通知に対する応答が必要となる場合も多いです。この応答手続が、慣れない方には、最も難しい実務であると思います。また、そもそもの出願書類の出来が悪ければ、対応が難しくなります。

一方、実用新案の場合、出願して登録にすることまでは可能かもしれません。しかし、登録後の手続は、案外、複雑です。安易に技術評価請求したり訂正請求したりすると、取り返しがつきません。また、実用新案の場合、出願後の書類修正が難しいため、それを見越した出願書類が求められます。実際、無審査登録制度の導入時、特許庁は次のとおり解説しています。すなわち、「実体的な要件の審査が行われず、早期に権利付与が行われることから、出願人は自ら先行技術調査を十分に行い、質の高い明細書を作成することが求められる」とされています(特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室編著『改正特許法・実用新案法解説』有斐閣,1993年)。そのため、実用新案だから出願書類が簡単という訳ではありません。

そう考えますと、特許はもちろん、実用新案だとしても、ぜひ弁理士にご依頼いただければと存じます。

 

(3-2)安い特許事務所を探す?

弁理士にご依頼いただくとして、その費用を削減することは可能でしょうか?

現在、代理人費用は自由化されていますので、安い事務所を探されるという方法があります。弊所も、お客様の費用負担の軽減に努めております。弊所手数料については、特許費用実用新案登録費用のページをご覧ください。詳細は後述しますが、弊所の場合、費用削減のためには、鉛筆描きか写真でも結構ですから、図面の原案をご用意ください。トレース(清書)や符号入れは、弊所で行います。お客様のご協力により、安価に出願いただけます。出願後も、拒絶理由通知対応費用を成功報酬制とするなど、万一特許を取れない場合に要らぬ費用がかからない料金体系を採用しております。もちろん、仮に特許にならなくても、特許出願すること自体で、もう後から他人に権利を取られるおそれはなくなるので、一定の効果があります(特許出願の必要性、特許権取得の意味)。

なお、特許出願の場合、事務所により得意な技術分野が異なりますので、費用だけで選択することはできません。また、弁理士との相性も重要だと思います。さらに、特許事務所(弁理士)は競合他社の受任が難しいですから、たとえば、あるメーカのカメラの出願が多い事務所に、カメラが得意そうだからといって、別のカメラメーカが依頼することができない場合もあります。このような事情がありますから、特許事務所の選択は難しいものとなります。

弊所の場合、機械の構造および制御に関するものを得意とします。機械、器具、装置など、大型機械から日用品まで幅広く対応します。そうはいっても、前述のとおり、先行のお客様との関係で、ご依頼ご相談に対応できない場合もございますので、その場合には、何卒ご容赦ください。弊所については、「小山特許事務所のこだわり(ご利用のメリット)」「小山特許事務所について」「特許事務所選択の参考情報(小山特許事務所の場合)」もご覧ください。

 

(3-3)弊所での費用削減方法

弊所をご利用いただく場合において、代理人費用(弊所手数料)を削減できる方法をご紹介させていただきます。

 

【方法1】図面又はその原案をご用意いただくことで、弊所手数料を削減できます。

図面又はその原案をご用意いただくことによる費用削減方法について、詳しくは、次のとおりです。

  • (a) お客様でご用意いただいた図面を、そのまま出願に使える場合、弊所手数料を減額いたします。どのような図面が必要かは、ご相談いただけます。符号(部品番号)は弊所で入れます。紙または電子データ(bmp, gif, jpeg, pdfファイルなど)でご用意ください。
  • (b) お客様でご用意いただいた図面(鉛筆描きでも可)を、そのまま出願に使えなくても、それを若干修正したりトレース(清書)したりして利用できる場合、減額いたします。
  • (c) 図面ではなくイラスト(鉛筆描きでも可)や写真でも、それを“そのまま”トレースできる場合、減額いたします。写真(又はスケッチ)をトレースしてみる」のような感じでトレースして、出願用図面を作成できる場合、図面代の削減を図ることができます。できるだけ、発明の特徴点として、構造や使用状態などが分かる状態で、ご用意ください。また、できるだけ背景が写り込まないようにお願いします。どのような写真が必要かは、ご相談いただけます。ご相談時にご一緒に撮影したり、現物をお預かりして弊所で撮影したりすることもできます。
  • (d) イラストや写真があっても、それをトレースするのが困難な場合、あるいはトレースするだけでは不十分な場合、通常、減額にはなりません。
  • (e) 明細書の原稿をご用意いただいても、通常、減額にはなりません。原稿(文章)の作成は、すべて弊所にお任せいただきたく存じます。詳しくは、よくあるご質問とその回答の「自分で明細書の原稿を作成したので、特許・実用新案登録の出願費用を安くして欲しい。どの程度安くなりますか?」をご覧ください。
  • (f) 図面をご用意いただける場合の費用(減額後の金額)は、特許費用または実用新案登録費用のページにおいて、「通常コース(お客様から図面提供)」または「お任せコース(お客様から図面提供)」をご覧ください。

 

【方法2】出願書類の作成を弊所にすべてお任せいただくことで、弊所手数料を削減できます(お任せコース)。

骨子段階で1回、全文完成後にもう1回、書類をチェックいただけますが、これ以外の修正を従量課金とする「お任せコース」をご用意しております。詳しくは、次のとおりです。

  • (a) ご依頼いただくと、まずは【特許請求の範囲】と【図面】を作成した後、一度ご確認いただき、必要な修正を行った上で、出願書類全体を作成します。出願書類の骨子段階で一度チェックいただくことで、お客様のご要望とずれることなく、出願書類全体を仕上げることができます。
  • (b) 出願書類全体を作成後、出願前に原稿をチェックいただきますが、無料での修正は1回に限らせていただきます。また、お客様にて修正案(加筆修正後の文章)を10日以内にご提示いただきます。その内容を加味して弊所にて原稿を修正し、特許庁に提出いたします。提出前の最終原稿もお客様にご提示いたしますが、修正ご希望の場合、追加料金をお願いします。
  • (c) このように、「お任せコース」をご利用いただいた場合でも、少なくとも骨子段階で1回、出願書類完成後にもう1回、無料での修正に対応いたします。このような流れにより、お客様のご希望の内容で、迅速、安価に、出願いただけます。
  • (d) 書類の品質自体は、「通常コース」と全く変わりません。原稿の修正方法と修正回数に制限があるだけです。
  • (e) 具体的な費用(減額後の費用)は、特許費用または実用新案登録費用のページにおいて、「お任せコース」をご覧ください。

 

【方法3】発明内容の追加や変更がない状況でご依頼いただくと、追加費用がかかりません。

  • ご依頼確定後、図面や文章の作成に着手します。ご依頼確定後に発明内容に追加や変更があると、図面や文章の書き直しが必要となります。基本的には追加費用が必要となってしまいます。発明に複数の実施形態・変形例があっても構いませんが、内容に追加や変更がない形でご依頼ください。結果として、迅速、安価に、出願いただけます。

 


(4)出願後の手続についての特許庁減免措置

中小企業・ベンチャー企業・個人事業主でしたら、特許料金(出願審査請求料、特許料)の減免措置(軽減制度)があります。弊所では、特許庁減免措置を積極的に利用して、お客様のご負担の軽減に努めております。

たとえば、特許出願後、出願審査請求する場合、請求項と呼ばれる権利請求欄が10の場合、178,000円が正規料金ですが、これが、1/2または1/3まで軽減できます。設定登録のための特許庁費用などについても、同様です。

特許庁減免措置については、次のページをご覧ください。詳しくは、ご相談時にご説明させていただきます。

 


(5)意匠登録による削減

特許や実用新案登録は、技術的アイデアを保護するものですが、意匠(いしょう)登録といって、物品等のデザインを保護する方法もあります。特許や実用新案登録と比較して、意匠登録は安価にご利用いただけます。

意匠登録は、図面または写真で出願することができます。ハンドメイド作品など、図面がない場合でも、現物さえあれば、写真で出願することができます。弊所では、プロカメラマンの協力のもとでのスタジオ撮影でありながら、安価に出願いただけるように努めております。その他、一定要件下、現物で出願することもでき、その場合には、一層安価に出願いただけます。

技術的に新しくなくてもデザインが新しければ、意匠登録することができます。

特許(または実用新案登録)と意匠登録とによる重複保護を図ることもできます。

意匠登録については、次のページをご覧ください。

 


特許・実用新案登録・意匠登録についてのご相談

◆ご依頼ご相談は、お問合せのページからお気軽にご連絡ください。

◆会社やご自宅でのご相談、レンタルスペースでのご相談、ネットを介したご相談も可能です。

◆来所によるご相談の場合、弊所は完全予約制です。来所前にご連絡をお願いします。

◆詳しくは、特許相談実用新案登録相談意匠登録相談をご覧ください。

 


関連情報

特許について

実用新案登録について

意匠登録について

小山特許事務所について

 


(作成2022.10.28、最終更新2023.12.21)
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